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29話 体育倉庫

 不審者の出現により体力テストは急遽中止になり、生徒は体育館でしばらく待機ということになった。

 五月とはいえ扉はもちろん、鉄格子の無い窓も全て閉め切られてしまったので少しばかり暑い。


 生徒たちはそれぞれ仲の良い同士でグループになり、先生たちが必死に不審者の行方を追っている今も大声で談笑を楽しんでいる。

 一応体育館の中にも生徒を守るためとして二、三人先生はいるが、恐れおののくよりか楽観的な方がいいと判断したのか注意する気配がない。

 俺はその間に、ある人物の元へと駆け寄った。


「おい、おいエマ。ちょっと来い」


 クラスに馴染むことに無事成功したエマとセインはカースト上位の女子共と固まって喋っていた。


「ん、何も知らないよ私」


 それは知ってると言ってるようなもんだぜエマ……。


「いいから来い」


 とぼけるエマの手を少しばかり強引に引っ張ると


「うわ、エマちゃんは修くんのものなのに……」

「三股でしかも友達の彼女に手を出すなんて……」

「え、タクミ私は? ねえ私は?」


 とありもしないことを口走られてしまう。

 俺の悪評はいくとこまでいってるからたいしたダメージはないからもういいけどな。


「おい、なんか知ってんだろ。あの不審者のこと」

「んー知らないといえば嘘になるかなー」


 体育館の地下にある狭苦しい用具倉庫にいくとエマは重い口を開いた。


「実はね、アルガルドからねこっちにね来る直前ひと悶着あってね、それでね、もしかしたらとか思ってたんだけどね」

「その文節分けみたいな話し方やめろ。話が入ってこない」

「ごめんごめん真面目に話すよ。転移魔法を使ったところまでは誰にもバレずに済んだんだけど、魔法の発動中に一人だけ私たちの目論見に気付いて阻止しに来た奴がいたんだよー」

「……誰だ?」

「アリアだよ、アリア・エルフォード。ほら、セインの側近の融通利かなそうな奴いたでしょ」

「アリア、融通……すまん思い出せないな」

「ええっと、ちょっとつり目で髪は黒に近い緑、あと胸はこのくらいで」

「ああ、アイツか」


 俺は食い気味に言った。違う、つり目をヒントに思い出し口を開いた瞬間が丁度胸の説明の時だっただけだ。


「……まあ思い出したならよしとするよ」


 エマは胸元を両腕で覆い怪訝な表情を俺に向けている。完全に誤解されているな全く。男はそういう態度とられる方が嬉しい場合もあるんだぞエマ。


「で、アリアと揉めてる最中にこっちの世界にやってきてしまったというわけか」

「まあそんなところだね。でもこっちに来たとき近くにはセインしかいなかったから来てないのかと思ってたよ」

「じゃああいつがこの学校に来た目的は――」

「恐らくセインを連れ戻しに来たんだろうね。セインがタクミに思いを抱いているのを良く思ってなかったみたいだしね」


 確かに言われてみればそういう言動は垣間見えていた。

 アリアはセインの身の回りの世話をすることと護衛が仕事だったのでよく顔を合わせる機会があった。

 アリアはセインと楽しそうに話している時でも俺の話になるとすぐ表情を曇らせるし、話を早く終わらせようとしていた。

 

「知ったような口を聞くなあ、裏切り者」


 声は俺たちの背後、倉庫にあった飛び箱から聞こえてきた。  



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