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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第三章 それぞれの冒険 転生親子とライド
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82 我が主のために 2 騎士団長共


 威勢の良い私の言葉に周りの団長たちは、最初鳩に豆鉄砲食らわしたような顔をしていたが次第にルダンはプルプルしだし、ラフィンは目を開き固まりつつ、何よりも第一騎士団長こと騎士総長は大爆笑し、他の団長たちを飲み込んでいた。

「・・・ぶわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 稀にしても見ない騎士総長が手をパンパン叩き、腹を抱えて笑っている。

 私以外は唖然としてそれを見ていたが、真っ直ぐ見つめる私にひとしきり笑った騎士総長がニヤリと笑い、「その申し出受け取った、しかし条件がある」と条件を飲むように申し出てくる。

「騎士総長ともあろう人が条件?」

「それは私を挑発しているのだろうが、挑発にはならんよ」

「ふむ、いかような条件でしょか?」

「その前に、ここにいる団長、副団長諸君。彼は多対一で勝負しようと言っているが君たちはどうする?」

 騎士総長の言葉にルダンがはっと気がつき、立ち上がりつつ解りきった答えを出す。

「上等だ。黙らせて見やがれ!」

「いいでしょう。やりましょう」

 冷静なラフィンが冷め舐めらたと思ったのか怒りの目でアドソンを見据えるように立ち上がる。

「他の副団長たちはどうするかね?」

 ルダンは自分のところの副団長を強制召喚し、ラフィンの副団長はシグナルなので無し。第一騎士団長は、自分とこの副団長に聞き参加を表明し、最後に一応で私の副団長にマーディに一応聞くと、

「あっ、私も参加していいのですね。では、あちらにいきます」

 戦いの後でもとは言ったがおそらく彼女にも彼女の理由があるのか私と戦う側にたった。

 そして、最後に騎士総長は言った。

「さてアドソンと戦うものはアドソンとこの副団長、ラフィン団長、ルダン団長。ルダンとこと私のところの副団長計5名となったわけだな」

『『『『ん?』』』』

「さて、条件を言おうか!」

「ちょっと、い・・・」

「まぁ、最後まで聞け」

 頷くと、

「条件は二つ。一つは今日ここにいるものを倒した後明日騎士団の前で同様の話をし、納得いかないものが出たら倒すこと、もちろんそのときはシグナルたちを混ぜて戦っていい。ということと、もう一つが私は不参加で」

「「「「えっ!?!?」」」」

「騎士総長が参加しない理由を聞いてもよろしいか?」

 私は誰よりも早く、誰もが知りたいと思うことを聞いた。

「私は、別にリリアス殿を押すのに忌避はないもの」

 ・・・・・・・はっ????

 ここにいる全員が騎士総長の言葉に同様に思っていると勝手に答えを話してくれる。

「昔、ライド様とリリアス殿と私ともう一人で山岳地帯へ旅に出たことがある。そのときにリリアス殿に色々あり、論破され、実力を見、魔法等のいろはを教わった。

 正直、ライド様とリリアス殿が駆け落ちしたときは、マサカ! と驚きつつも、いつか二人揃って帰ってくれば公爵領がすさまじい発展をすると期待していたら、こんなことになっているのに邪魔なんて出来ないだろ」

 私は騎士総長がリリアス様のことを知っていたことに驚きつつも、いろいろな疑問が出てきているのも嘘ではない。

 それは他の団長、副団長もそのような表情を見せている。

 特にルダンがそのことを騎士総長に聞いている。

「騎士総長。それはおかしくないか? あんたが一番否定するようなことを言っていたじゃないか?」

「確かにそうだが、どうせ誰かが聞くだろ? 平常心で聞けるのは私くらいだろ? ラフィンは冷静だが本質は劇場化だし、からめ手を取ろうと話が長くなるし、ルダンは納得いかないことをたびたび続くと本当に冷静さがなくなりただただ、激情のままに切れて話が出来なくなるだろ?」

「「うぐぐ」」

「では、なぜ我々に戦うか聞いたのですか?」

 うちのマーディが騎士総長に疑問とばかしに尋ねていた。

「私が最初アドソンに賛同していたらお前たちは戦おうとしたか?」

「・・・・・」

「したかもしれないが、迷った揚句か、もしくは戦おうとはしなかっただろ? 上官が戦わないといえば従わなければならないのだから、そう考えるのが騎士であり縦社会であるが、このアドソンの本質は納得が出来ない奴は戦って打ち負かせだ。

 私の意見で動く心ねなぞ入らんのだよ」

 その言葉に団長たちは唖然としていたが私は騎士総長に騎士の敬礼で感謝を示した。

 騎士総長はうんと頷くと手を二回拍手し意識が飛んでいる団長たちを呼び戻し訓練場に行こうと指し示した。

 私は外に向かい歩く。

 ワイハンたちもこれに続く。

 我々の中で最後に秘密の部屋を出ようとしたシグナルが、「このままだと不戦敗になりますよ」と挑発すると次々と外に団長たちが出てきたのだった。


 まずはじめに言おう。

 どうやら私は強くなりすぎたらしい。

 決闘開始とともに本当身体強化をし、遠慮なく私の部下で私を視認もとい感じとっていないマーディの鳩尾を殴り、ついで残りの副団長二人をすぐさま潰し、経験則で私を視認した団長二人も鳩尾殴って、地面と友好を結ばせている。

「い、・・・一体・・・・なにが・・・・・?」

 膝を地面について尻を突き上げたり腹を押さえている団長たちのうちの一人がそう呟いているとリクスが当たり前のように述べた。

「何って、純粋に身体強化して全員の鳩尾を殴っただけですよ」

 うんうんと頷いているほか二人に、団長たちの顔上げられるが立ち上がれない団長たちは意味が解らないみたいに声を出す。

「・・・・はぁっ・・・?」

 それを見ていた騎士総長が尋ねた。

「騎士リクスはアドソンが何をやったかわかったのかい?」

 余裕ある騎士総長がリクスに敬意を払い尋ねるとリクスはあっさりとした言葉を返した。

「はい。体の魔力の60%を足に移動させて、開始の合図とともにそれらを爆発させ近い順に鳩尾に拳を叩き込んでいただけです。

 その間も相手の目の前に行くと上半身に纏っていた40%の魔力を鳩尾殴るほうの腕に移動集中させてそれぞれ無力化できる力を制御して殴ってました」

 ワイハンとシグナルは僅かにウンと頷く姿を私も団長たちも見ていた。

 ルダンが引きつった笑い方をして「・・・マジかよ」と呟いていた。

 つまりだ。

 ようやく私と彼らがどれだけの力の差があるかを理解したみたいだ。

 それに今の彼らでは平騎士のリクス、ワイハンに勝てるかも定かではない。

 副団長たちは反応が出来ず、団長たちは反応が出来たが避け切れなかった。が、自分たちでは解らなかったことを、冷静に話しているリクスと頷いているワイハンの力が未知数になっている現状が生まれている。

だが、ラフィンが鳩尾を押さえながら幽鬼のように立ち上がり叫んだ。

「・・・ふ、ふざけるなぁっ!! ・・・・ハアハア・・・・」

 こんなことあってたまるかっ。とか、何とかぶつぶつと何かを喋っていた。まぁ、こいつの貴族上がりの騎士達を率いる騎士団ゆえ、平民出身の騎士団長にやられたことが気に入らないのだな。と私は見た。

 だが、騎士総長はなぜか私にはノリノリに見えた私が騎士総長の次の言葉に驚く。

「ラフィンそれに他に、今何をされたかわからず納得がいっていないものもいると思う。なら、彼、騎士リクスで再戦してみてはどうだろうか?」

 ニコニコしている騎士総長に言われたリクスは唐突のことで「え!」と驚いてはいるが私が頷くと覚悟をすぐに決める。

 一歩前に出て戦う意志を示すと、周りでうめいている団長たちがイラこの(イライラ)平騎士がっ、調子こくなよ(怒)!

 不屈の闘志のように立ち上がった。

 とりあえず思った、顔だけ怖い。それ以外に恐怖はない。

 リクスは・・・、あの顔はこの後勝った後のことを恐怖している顔だが、負けるとは思っていないみたいだな。

 しょうがない。

 私はリクスを応援することにした。

「リクス」

「! ハイ、アドソン団長、なんでしょうか?」

「ルダンは一見切れやすいが、男らしく器がでかい騎士団長だ。胸を借りるつもりで相手をしてもらえばいい!」

 この応援の虚にてルダンの気が削がれるし後々の言動行動にも規制がかかる応援になる。現にルダンが、「えっ? 俺?」みたいな顔してこっちを見ているがリクスは解ったらしく、止めを刺しに行く。

「ルダン団長、胸を借ります! よろしくお願いします!!」

 確りと目上の先輩に頭を下げ相手を立てることによって勝ったとして激怒率があがりにくくする完成された結界術、その名も【パワハラ上司暴走抑止術】で追い込むと、「お、おう」と返事をして今の段階で激怒率が下がった感じだ。

 うん。と頷いた騎士総長が声を掛けてくる。

「このまま連戦でいいかな? それとも鳩尾殴られたダメージが抜けてからにするかい?」 

 その言葉に二人の団長と二人の副団長が「このままでいい、始めてくれ!」と口を開き、ウチのマーディが「私は自分のところの団長がどのくらい強くなったのか見たかっただけなので不参加でお願いします」と冷静に言い、連戦を辞退した。

 団長・副団長たちは気にも留めていないのかやる気満々で開始の合図を待つ。

 ・・・・・・・はじめ! と、頷いてから二呼吸文くらいの間を空けて騎士総長が声にすると第二回目の戦いが始まったのだった。


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