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8 美味しく頂いてます。

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 若い学者は魔法図書館の本を読み、一度前に戻って読み直してみた。

すると、なんと言う事か僅かに話の内容が変わっているのだ。一体全体どう言う事だ?と、頭を抱えて現実に回帰するとふとお菓子に気がついた。

最初は驚きつつもメモを取り、読み、少し考えた後余り気にせず食べ始めた。

幾つか食べるとお茶が欲しいな~、持ってくれば良かった。とか思っていると、いつのまにか飲み頃のお茶が置いてあって。

『ご親切に、ありがとうございます』

何となくそんな事を思いながら頭を下げていた。



 オトンが取り乱している中、オカンと義母たちがオトンに口を開いた。

「構わないでは有りませんか? リカルドさんも、もういい年なのですからそろそろ自由にしてあげても宜しいのではありませんか」

 第三夫人がオトンに顔を向けていう。

 別段第三夫人は俺が邪魔でこんなことを言っているわけではない事は言っておこう。というかおれ自身はオカンしかり、第二・三夫人とはそれなりに仲良くやっているし、子供の頃暗殺されそうに成ったが、自ら暗殺を食い止め釘と今後の俺が何をしたいのかを教えているせいで、協力を得ていたりする。

 だから、第三夫人は言う事を言って、俺に『こ、これでいいですよね』と怯えた瞳でこちらを見てくる。

 ついで正妻の第二夫人が喋る。

「そうですよ。旦那様。ルドさんだって、今までずーっと公爵家のために頑張ってきたのですから、いい加減自由にしてあげても良いのでは在りませんか。

それに可愛い子には旅をさせろというではありませんか?」

 オトンを見ているようで側室で第一夫人のうちのオカンを怯えながらチラチラ見ている正妻。

 そして、真打のうちのオカンが妖艶に、笑顔で微笑みながらオトンに顔を向ける。

「親として知らなかったのは貴方だけよ。」

 私たちは知っていたわ。と最後はピシャリと切り捨てるようにオトンを言葉で叩ききった。

 オトン(公爵=父)は母たちの見事な息子の弁明にすぐさま理解をする。

「・・・! まっ、まさかそなた達前々から知っていたのか、この事を?」

 妻達三人はオカン(実母)以外怯えながら頷いた。

 が、オトンは妻達の反応に納得行かなかったらしい。

「な、何故じゃ。何故言わなかった」

 の言葉に俺が口を挟む。

「いや、父上に言ったら絶対。仕事を大量に投げられ、縁談を持ってきて、策を弄してここに留めようとするじゃないですか」

 私が父上の性格をわかっていないとでも思ってるんですか? を含ませて言い切る。

 何故俺がそれを言うのかをオトンは直ぐに理解して顔を両手で覆い、「Oh」と呻いたのだった。

 だが、父は諦めていなかった。

 恐らくというか、自分で言うのもなんだが、うちのオトンがもっとも愛している妻は誰だと言われれば、誰にはばかる事も無く家のオカンだと答えるだろう。

 その上で子供達の中でもっとも愛しているのは誰か? と成ると、恐らくこう答える。

『長男のリカルドだ』と。

 その理由は簡単だ。

 一番に愛している妻の子供ゆえに、一時は妻と駆け落ちした時に出来た子供ゆえに。で、ある。

 そういう意味でも苦楽を共にした妻と子というのも有り、愛情は人一倍だ。

 一応オトンの名誉の為に言っておくが普段はそういうのはなるべく見せはしない。一律に子供を愛している事は伝えておこう。

 だからこそ、オトンは「オゥ」と顔を手に覆いつつ諦めたような声を出しつつも、全く諦める事無く、賢才という二つ名にちなみ考え始めていた頃だった。

「あなた・・・・駄目ですよ」

 ここで、初めてオカンはワインを台の上に起き、一つの笑顔も無く言い切った。

 オトンは数刻の無言の後、小さく頷いた。

 だが、ここで会話は終わらない。

 オカンは妖艶に言いました。

「では、旦那様・・・・後ほど寝室で、一杯お話をしましょうね。私は一杯お喋りをしたいです」

 オトンは「う、ふぅん!」と妙に嬉しそうに鼻息荒く頷いた。

 そうして、夕食が続けられるのだった。


 夕食が再開した頃、第一夫人は隣に座っている第二夫人に尋ねた。

「後で一緒に混ざる?」

 副音声で、その気があれば可愛がってあげるわ。と言い。

 第二夫人で正妻は、首を横に振って怯えるが、ウチのオカンは白身魚を食べながら笑顔で付け足した。

「はい、解かりました。以外認めません。決定事項です」

 この言葉で第二夫人「ヒッ」と怯え、持っていたフォークを床に落としたのだった。



(日記)

 ここで、ウチのオカンと第二夫人の関係を気になると思うから注釈しとくな。

 ウチのオカン、レズビアンやねん。レズビアンつーうのは、女だけど女が好きな人の事ね。

 そんなオカンが何故、オトンと結婚して俺を産んだのか、理由を聞いた事がある。

 そしたらオカン、『最初はキモイ。男だな~』と思っていたらしいんだけどいつかは生物として、子供を産まなければ成らないし、一度は産んでみたいと思ったところにオトンがいて、まあ、この人なら良いか。と思えるようになるくらい成れて来て妊娠したと聞いた。との事。

 ぶっ飛んでるよね~。


(若学者)

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 無言で若い学者は思う。

 今日はここまでにしよ。

 本を元のあったところに戻して岐路に着いた。

 コップと皿? 飲みきり、食べ切ったら空中に消えて言ったよ。


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