64 リカルド式ブートキャンプ (大元) 8 冒険者
アドソンの宣言に思わず意味不の声が中庭に木霊してしまった。
少ししてから、シグナルもあまりの出来事に石化していたが我に返り、アドソンに話しかけた。
「あ、アドソン隊長、いきなり何をっ。というか、そんなこと許されるわけ・・・」
ない。と言おうとするがすぐに言葉は返る。
「ライド様が時期公爵に就任され、我らが絶対の臣従にてサーマム(リリアス)の後ろ盾となり、認められれば、すぐにでもリカルド様は公爵家たった一人の男子となる。
それが例え庶子であろうと。」
重いその言葉にシグナルはゆっくりと顔を上げ俺を見る。ジッと見つめ、さまざまなことを考えているように見えたがすぐにシグナルも膝を突き、頭を垂れた。
シグナルは言葉にはしなかった。
でも、その姿勢が物語るものは解った。
ワイハンもリクスもシグナルと同じくして姿勢を正し、頭を垂れる。
俺の心情は『えええええーーーーーー!!!! 無理なんだけど(次期公爵やだ)ーーーー!!!』無言の宗教が目の前にあった。
でも、そこは空気を読んではいけない気がしたから、極力明るく言ってやるぜ!
「いや、無理」
「「「「・・・・・・・」」」」
ガバっと四人の顔があがる。
えっ!? て、顔して、ここは『あい解った』とか言うところじゃないの? って顔しているから、
「俺、将来は冒険者になろうと思っていたんだ。で、冒険が終わったら義伯父上のところで父さんみたいに義伯父上の兵士(騎士)でもやろうと思ってたんだ。
だから、そのー悪いんだけどー、その類の忠誠入らない・・。なんか・・・ごめん」
「「「「・・・・・・! えええええええええええええええ!!!!!」」」」
何で!? 何で!? とアドソンたちは互いに互いの顔を見て聞き間違いや空耳ではないかと首を左右に振っている。
次第にお互いが聞いた言葉が嘘でないことがわかってくるとそれぞれが次々と口を開きだす。
「な、なぜですか?」
「それだけの強さがあればどこにでも仕官できるし、家(公爵家黙らせるのにも)を継ぐのにも問題がないのでは?」
「なぜ、なぜ? よりにも寄って、冒険者!?」
「いや、お前ら知らないから言っておくが母さんも父さんもはAランク冒険者だし、物心つく前から冒険の話を聞いていれば、冒険者になりたいと思うのは当たり前だろ?」
まあ、大概は母さんが色々話してくれた。父は酒に酔うと話してくれて、俺には冒険者にはなるなといってくる。どうも母さんが原因で色々・・・本と色々苦労とかも含めて体験してきたみたいだ。
でも、俺は転生者(変産者)だから冒険してみたいと思うのは仕方ない。ここでは男の子の本能と、言わせてもらおうかっ!
なぜ冒険者になりたいのかの理由を話すと「Oh」と顔を抑える騎士たち。
主人たち(母と父)が原因のせいでこれ以上とめることができなくなった。
俺は学習しているわけでないが、大概母と父のせいにすれば問題ないことが改めてわかった。よし、大概これでいけたら行こうとそっと頷いておく。
「まぁ、そういうことだから、あきらめてくれ」
頷きつつもこの雰囲気どうすればいいかわからなかったがとりあえずこれだけいえたら俺今日何もしなくて良いんじゃね! という気持ちになる。
でも、違った。
思った以上にアドソンは立ち上がりながら真剣な目でアドソンクオリティーを展開してきた。
「解りました。とは伝えておきましょう・・・が、冒険者になれる御年齢はご存知ですか?」
うん。と頷いておく。一応規定が15歳から。
「解りました。ですが、私の忠誠心はリカルド様にお預けします!」
「ふぁっ?」
何で? そうなった? と考えているとそれを汲み取ったアドソンは言う。
「騎士の誓いを立てただけ、主がそれを認めようとしなくとも私の誓いは私のものです」
あっ、なるほど。許可でなく押しか女房ならぬ、押しかけ騎士か。と納得してしまった。だから、当人がそれで良いならと俺は頷いた。
「理解した。なら、好きにしてくれ」
「はい! 好きにさせていただきます」
呆れる俺と素敵なナイスガイ笑顔のアドソンが居た。
ついでに言うとアドソンのこの発言と行動に周りの騎士たちは呆然としていた。




