60 閑話 図書館が開いてから
図書館が開いてからはや2ヶ月の月日がたっている。
朝の風物詩といえば日の出とともにカールドという学者兼初代大公さまの残留思念が従士に取り立てたものとして有名を馳せているがその従士が奇声を上げて、タイヤのついたロープを腰に巻きつけ後ろに初代様が鞭を振るいながら、「早く走れ、馬っ!」と罵声を浴びせているのが図書館の日課となっている。
あれ見ていて、思うのが中々痛々しいという表現が正しすぎるだろう。
初代様のあの訓練見ているものがドン引きしてしまっている。
彼の奇声を上げた訓練はいつ終わるのかを皆でトトカルチョしているのは秘密である。
さて、ワシは一体誰なのかというと、ミドルネームにリカルドと名が入っている。
恐れ多くともあるが同時に誇りにも思っているこの名を持つ私こと現大公をしているルーファス・シン・リカルド・エルハルムという。愛称はルーである。
ワシは初代様の直系の子でもある。リカルド様にあるときこの手の話が出たときにこういわれたことがある。
『いや、確かにお前は直系男子の俺の子孫だけど、直系男子という子だけだと直系男子というので良いなら、姓はなくなったカールドも俺の直系男子だよ。あとはローグとアイザン・ベルン…』
と、男系の直系がいることに驚いたそして、今度彼らを大公家に招いてみようかなとか思った。
ここの招こうと思った理由は初代様の面影とか残っているやついるのかな? という疑問だ。私も初代様の面影があまりないほうでどちらかというと私の父が覚醒遺伝で髪が真っ赤だったというくらいしか見たことがない。
だからこそちょっとした興味だ。
その間も初代様の話は続いており私に言われた言葉はこうだった。
『・・・だから、正確にはお前さんの場合は姓と家を…家名を守ってきた直系男子というのが正しい。』
ということらしい。でも初代様はいい意味も悪い意味もあるけど一律に子孫たちが生きていることのほうがうれしいと笑われていた。
にしても、カールド厳しくないですか?
と聞くと、『モヤシ騎士入らん。どうせ騎士にするなら人外の領域まで鍛えたほうが面白いじゃん!』とある人物が可愛そうになる発言を聞く。もちろん可愛そうなのはカールドではある。
知らぬ間に彼はどこかの領域に問答無用で行かされようとしていたのだった。
そして、今日の仕事の時間は私の思いつきと初代様にお願いしてカールドを休ませてあげることにした。
我が縁者カールドよ。私はお前をかげながら応援させていただくぞ。きっと私には立場が邪魔してできないことを今お前がしている。
いつかお前はこの国を立つ男になるだろうから、私もできることをする。
そう誓って執務に戻ることにした。
初代様は約束を守ってくれたのか次の日、アリス嬢が艶々した表情で私に朝の挨拶をしてきた。
どうしたのかを聞いたら、(カールド)の訓練がなかったから一緒にお買い物行って、デートを楽しんだというが、その横から初代様の魔法が耳に飛んでくる。
何でも、カールドが夜だいぶ搾り取られていたらしい。
私は、その日カールドを見たとき思った。
下手に彼に休養を与えないほうが、こんなにげっそりしないんじゃないだろうか? と。




