58 リカルド実験確認 2
後書き見ることを進めます。本性とつなげてもつなげなくても読めます。が、文字追っかけるのが好きな人はお勧めしときます。
今現在の私は馬屋で魔方陣の書き魔法薬につけた板と皮を取り出して魔法で乾燥させている。ちなみに乾燥のさせ方も少し工夫が必要である。
通常乾燥させる際は火の魔法で水分を取るのが通常であるが、そうすると皮が縮れてガビガビになる。でも、わずかに風と火の魔法を入れつつ魔力を放出し纏わせて行く。
適度に水分を飛ばすと空中に全部の素材を浮かべて状態固定の魔法を掛ける。
で、ここからが付与クオリティー。
この世界では魔力が高い素材ほど付与できる数が増えたり、能力が高める素材となる。しかも、特殊な効果が生まれることもある。
でも、特殊な効果が生まれた素材を俺は見たことがない。
母は一度だけ特殊な効果が生まれた素材を発生させたことがあるらしいが、何でこの素材でこれになった? 入らないと捨てたらしい。
売らなかったの? って聞いたら、売るまでもなくいらない。といいました。ああ、うん。と頷きました。いらないときもあるよね。と考え直しました。
と、脱線した。戻そうか。
今回はというか毎度ながらというか、いつものように外道な方法で素材の素質アップを済ませたブツを今度は魔法で加工していく。板を必要なサイズに切り分け削っていく。これが普通の鐫や刃物だとまず切れない。魔力の宿った刃物や専用に創られた魔法剣と同じ素材で初めて切れるというものである。まあそれでも相当の道具をだめにするが。
篭手・脛当て・上半身鎧と下半身鎧のトレント木材を四着。それとウルフハウンズの皮でできた上下の長袖・ズボンをこちらも四着と別様との皮が十数枚ある。それをそれぞれに付与の魔法を掛けていく。
篭手には状態異常耐性アップと魔法攻撃減退。胴鎧には自動魔・体力回復と連結素材の重量軽減。肩当簾部位に連結部位の能力反映。草摺部位には魔力運用補助・魔法攻撃減退、脛当てに脚力アップを仕込み、皮でできた素材には防御の強度と柔軟性を付与していく。
その間もトレントの鎧にウルフハウンドの防御強度を二重に付与して貼り付けていく。
防御強度で鉄並みに硬くなり、二重では鋼鉄並みになる。
魔力を膨大に使い処理をしていく俺に話しかけてきた人が居た。
「リカルド様、今いったい何をなさっているのですか?」
声からしてアドソンだった。出て行ってから1時間もたってない。どこにいたやら。まぁ、休養中は何しようがアドソンの勝手ではある。
「ん~古代魔道具の作成~?」
のんきな声を出しながらアドソンに返事を返してやる。
ただ、アーティファクトなんて言ったものの現時点で作れてるから古代道具なんて代物ではない。
そう、ただの魔道具である。
ですが、アドソンは言いました。
「こ、古代魔道具の作成!! …なんて冗談はよして下さいよ。で実際はこれからする訓練の案山子か何かですか?」
まさか! そんなことがっ! 見たいに言ったは見たものの俺の実力を知りつつもそこまでのことができるなんて思ってないせいか途中から砕けたが硬い口調で聞き返してくる。
なので、中途半端だが一応形になっている一つを着させてみた。
五分くらいで着終わると理解したらしい。
「なっ、なんで……すか…これはっ…」
魔道具と古代魔道具には大きな違いがある。魔道具とは魔力を流すことでその機能を発揮、または古代魔道具のように今の技術では作れないもの以外を通称して魔道具という。
では、古代魔道具とはいったいどういうものなのかというと、今よりもっと昔に製作者不明でその道具を使用しようとしたときや装備したときになんとなく使い方やどういう装備なのかがわかるもので、何よりも魔力を注がなくとも使用できる物が古代魔道具といわれている。
現在アドソンは魔道具とも古代魔道具ともいえる装備を身につけ俺を凝視しているから、
「なっ。…気が済んだら脱いで返してくれまだ完成というわけじゃないんだ。」
俺は魔法で次を削って、繋げて、縫っていく。黙々と魔法で作業していると、大声でアドソンが俺の肩に手を置いて叫んできた。
「り、リカルドさまーーーーー!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
全部落としたよ。あまりのびっくり加減でトレントの鎧なりかけ爆発させなかった俺を褒めてくれ。
にしても、いきなり何しやがる!! 俺は瞬間的に怒りマックスに跳ね上がり肩を握っているおっさんに振り返ると目の前におっさんの顔、きつい。一瞬理解できなかったよ。
もう一度、
「っ!!!!!」
驚いている最中、アドソンが唾を飛ばしながら、大声で、
「リカルドさまーーー!!!」
「唾飛んで汚い! 顔近い! キモイ! 何じゃ、てめぇ~、オラー!」
早口で言いながら俺の貞操を守るためにも言いたいことを言いながら、最後にアッパー食らわせてやった。
ゆっくりと弧を描いて藁の中に落ちる。
アドソンは少ししてから顎を押さえながら、『お、お義母様!』みたいな姿勢で殴られた場所を押さえてこちらを見るアドソン。
だが、その痛みも胴鎧のおかげですぐに引くだろう。
でも、俺の怒りはまだ引かない。
「てめぇー! 精密作業中の魔法使いに驚かすような声掛けしてんじゃねーよ! ぶち殺すぞっ!」
魔波動はしないものの怒気を含めてにらみつけてやる。
すぐにアドソンは「す、すいません。」と謝罪してきた。
「で」
「!」
「いや、なんか言おうとしてたんだろ? 何だ」
「あっ、いや、失礼しました。しかし、これは(鎧)まさしく、古代魔道具と同等…まさかと思うのですが…」
アドソンが俺に言いたいことがなんとなくわかったから相手の言葉を途中からさえぎって答える。
「安心しろ。知っているのは義伯父上、父、母くらいだし、そんな事言ったら母も古代魔道具作れるし、第一俺の師匠は母だ。母からは今やっていることがどういうことなのかきちんと言われて理解しているから、アドソン殿が心配しているようなことはない。
それ以前に、うちの連中を特に俺と母をどうにかしようとしても、訓練して身にしみてわかるだろ?」
要するにアドソンは俺を心配してくれていた。現代に古代魔道具作れる人間は知る限りいない。が、居ちゃった。そして、それは子供だった。だから、興奮と冷静な部分が心配となりおっさんのドアップになった、らしい。きつかったーー。
俺の説明に冷静さを取り戻したのか頷くアドソンに向かい座り一つ頷きこの話は終わりというつもりでたずねた。
「アドソン殿は酒か女、行かなかったの?」
「…あ、いや…、はい。思わず飛び出してしまっただけで、良く当てもなく戻ってきたら、」
「母さんの結界で母屋に戻れず、こっちに光が見えたから来たということね」
はい、と頷くアドソンに、
「酒は飲めるほう?」
「えっ? ええ、まあ、はい」
「少し、待ってて」
俺は母屋の台所が見えるところに良き、魔法で酒瓶とカップを引き寄せ、ついでにつまみになりそうなジャーキーも引っ張り馬屋に戻る。
アドソンに、「はい」と渡すと、きょとんとしているから、
「見ているのは良いけど少し、気晴らしで飲んで鋭気を養いなったほうがいい。まだまだ、きつい訓練が待ってる。」
それだけ言うと俺の優しさが伝わったのか背越しに頭を下げ、飲みだすアドソンを感じて俺は黙々と作業に入るのだった。
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アドソンが酒を飲みだし、だまだまと俺の様子を見ること1時間。彼は唐突に話しかけてきた。
「リカルド様」
「ん~」
「リカルド様は、なぜ、今その魔道具を作ってるんですか?」
「お前たちに頼むだけ頼んで何にもしないのは、人としてクソヤロウの所業だと思うし、お前たちが強くなれば父の命は安全だし、お前たちが怪我をしなければ継続的に父は守られる。
そのためには護衛が武具ならびに武技が強ければ強いほど言いと思うからこれを創ってるんだ」
「…ライド様(父上)のためなのですね」
「それもある。」
「……」
「でも、アドソンたちにも傷つき死んで欲しいとは思ってないよ。だから、これを今作ってるんだ」
アドソンは酒を飲んでいたカップを置き、背中越しの俺に姿勢を正して深々と頭を下げているのだった。
「感謝は受け取った。今は休め、騎士アドソン」
頭を上げサイド頭を下げたが、すぐに上げ酒を飲み干し馬屋で眠りだしたのだった。俺は一度母屋に戻り掛け布団を引っ張ってきてアドソンに掛けて作業に戻った。




