42 リカルド報告書 アドソンと等について 5
5歳児にガクガクする騎士たちは見るからに怯えていた。
5歳児の起こしたありえない事実と5歳児が発することが先ずおかしい幾人かの人の命を奪ってきたといっても信用されそうな冷たい視線を騎士たちは確りと感じ取っていた。
一体何物なんだろうと思う言葉が出てもおかしくないが今彼等の表情にはこれからの己がどのような目に遭うのかしか興味が無いだろう。
だから、こそ言う。
さて・・・。の一言に4人が緊張を始めるのが解かる。
「オレは腹が減ったから一度戻るぞ! 訓練は朝食を食べてから始めるから、それまでにその怯えた面構え直しておけ!」
俺の言葉に最初意味がわからないと言ったように『へっ!?』と呆ける顔をしたのち、次第に表情が緩み、僅かに此方を舐めるような引きつり笑みを見せるから、飛行魔法を使用して、一気に上空5000mに到達し俺は自分の身体にだけ結界魔法を掛け、後は自由落下に身を任せることにした。
で、地面ギリギリ5cmで止めてやると、案の定失神し上も下も垂れ流していて汚かった。
黙った。全員をそのまま母の居るオルタイシ領に空を飛んだまま、つれて帰ることにしたが、ここで問題が一つ生じたのだった。
約1kmほど先が見え始めてからの事だった。
城にたくさんの兵士が集まってきているのだった。
最初なんであんなにたくさんの城兵が集まっているのが解からなかったが、その原因は直ぐに自身の力で理解した。いや、自身の力のせいかと理解した。
アッ! 俺のせいか!! とこの時茸雲を起こした事と、膨大な爆音をさせていたあの爆発を思い出していた。
ヤバイよねー。と思いでと今の現状を見て重いつつ俺はこのまま、飛行を続行した。俺は結界において魔法で隠蔽工作をして、恐らくコレの式を取っている伯父上の元へ急ぐ事にした。
上空から城壁に近づいていくと、城兵は弓を番えて俺を狙いだす。
何か騒いでいるがまだ聞こえない。
次第に何を言っているか聞こえてくる。
「何で! 空、飛んでいるんだ!!」
「に、人間なのか!?」
「此方の言葉が分かるなら、その場で停止しろ!!」
何だかお祭り騒ぎで楽しかったです!
とはいえ、この状態は正直興奮状態で面倒くさいから声をかけるか考えさせられる。
下手に声を掛けると更に興奮状態が上がるから、まぁ~ぁ、喋らなくても興奮状態が増す事は多々あるんだけどね。
こういう時は知り合いを捜すのが一番早い。
と言う事で、下にいる人たちに一言「ちょっと待って」と声をかけてから目をあちらこちらに向ける。
一言の「ちょっと待って」に城兵たちはそれぞれに驚きの色を見せる。
俺が喋った事への驚愕。言葉が通じる存在への驚愕。言葉を返されたことで少し冷静になり相手が子供と認識して驚愕。取り合えず驚愕。何より空を飛んでいる事に驚愕。という風に様々な驚きが見られて楽しい状況だが、俺への警戒を解いてもらわなければならない。
ようやく、そう思っている中で知り合いを見つけた。
近所に住んでいる友人オルガのお父さんがこっちを目をまん丸にして見ている。それに俺も気が着き、
「オルガのおじさーん!!!」
手を振って見せると、おじさんがギョッ! とした後、「まさか、本当にリカルド・・・君?」と仲間の城兵を掻き分けて近くまでやってきた。
回りの上級兵士がオルガのオトンに詰め寄って喋りだす。
後はおじさんに任せとけば、俺の警戒がある程度下がるから、そこから義伯父上のところに行けばいいやと思っていた。
相手をそういうつもりでジーッと見ているとおじさんの回りの兵たちが興奮から一転、怯えと尊敬の視線を含んだ視線を俺の方に向けてくる。
その中でオルガのオトンとここで一番偉そうな城兵がこちらに来て頭を下げる。
「ヴォルからお話を聞きました。
先ず、貴殿に弓を引いた事を謝罪させてください。」
一番偉そうな城兵もとい城長と今だけ言おう。
その城長が姿勢を正している。ちなみに会話の中からヴォルとは誰のことか解かるから別にいいよな。
「いや、此方も失礼した。
下手に喋れば現状、緊張状態が増すと思い下手に喋りかける事を躊躇した。そちらに不快な思いをさせていたら失礼する。」
俺は城長と真っ直ぐ視線を見合わせ黙ってお互いに見据える。
数分の沈黙が一つの声に阻まれた。
「リカルドっ!」
城門の上に良く知っている人間の声が木霊する。城階段の登り口に全身鎧とマントをつけた一角の武将が、もとい、俺の親父が声をかけてきた。
父の姿を見せた城兵たちは鈍い動きだが俺達の入るところまで小さいながらの道が出来る。
更にその後に義伯父上の姿を見せると、兵士たちは兵士の礼をとり頭を下げていく。
現にここに入る城長も同様に義伯父上に頭を下げている。
「よっ! 父さん! 義伯父上!」
「よっ! じゃ無い。何をしているんだリカルド?」
少し、呆れそうな声を出しながら事の真相を聞いてくる。
「ここで話してもいいけど、父さん。父さんの家のことに関係する事だからここで言っていいなら言うけど如何する?」
「・・・・・・・・・」
父は無言でした。簡潔にいうと。無言で居る父に後ろから義伯父上が声をかけてくる。
「ハハハハハ。何か込み入った事くさいから、部屋をかそう。それで良いか?」
父は義伯父上を見て、無言で頷き。俺も頷いた。
でも、その前に、
「もしかしてなんだけどここにいっぱい兵士が居る理由は、あっちの方から爆音と粉塵が見えたからだったりする?」
指を指して、あえて聞いてみると二人は顔を合わせ互いに気が着く。そして、父たちは俺の両脇に立ちそれぞれ片方ずつ腕を掴みお持ち帰りされましたとさ。
ちなみにアドソンたちはまだ気を失っており、俺の魔法で一緒についてきています。




