5 大公家の言い伝え
c
大公家には代々ちょっとした言い伝えがある。
というのも、
どんな貴族家にも絶対的にあり、考えられる残念な問題がある。
それは・・・・・・(ドルルルルルルルルル・・・・ジャン!) 後継者問題である。
それぞれの家にとって、後継者が情けないと、又は優秀でないと今後の繁栄は望めず、望もうとするならばやはり優秀な者をすえるしかなくなる。
そのため、優秀な者をすえる為、その生んだ子ばかりに掛かりきり、愛情を注ぐと劣っているものには愛情が行かないときがある。又は、見捨てられる時がある。
その結果更に子供が落ち零れ、最終的には家族の不仲を巻き起こすことが考えられたし、良くない。という初代大公の考えにより、大公家ではその家で生まれた子供への愛情は均等に。という家族ルールを持っていたが、やはり守られない時もある。
その時、落ちぶれた大公家の子供は出会うと言われている存在が居る。
それは、初代大公の魂と言われている。
その存在は、落ち零れと、愛情を望まれなかった子供の目の前に現れ、その子に惜しみない愛情を注ぎ、そして、色々(愛・魔法・剣術・考え方・政治・農業等など)伝えるのだった。
結果。
落ち零れと言われた子供たちは優秀な人材に育つ。
その中でも有名を馳せるのが、
8代目=ルード・ガ・バル・エルハルム 稀代の魔法道具製作者
17代目=カイファス・ロン・シー・エルハルム 爆炎魔法の鬼・火魔法の応用者
22代目の子供=ガンズ・ド・ライ・エルハルム 良心のエルハルム
26代目=カルド・ファン・ザ・エルハルム 戦鬼の平和・平和の象徴・戦場の神
と、まだまだ優秀な存在は居るが、もっとも活躍し公(皇)国記に褒章を貰い歴史に残っているのは子の人たちだったりするが、彼らは実の所、親から見捨てられた経験がある大公家の子供達だというのは大公家の歴史上有名な話である。
しかし、彼らは曲がる事無く純粋に純然に育った。
その訳は・・・・・初代大公が子供達の目の前に現れるのだ。
後2、3年ほっといたらグレルだろうといわれている子供達の目の前(グレない子供でも寂びしそうしている子)に現れて、様々なことを教えてくれるというのだ。
ゆえに、子供たちはグレル事無く伸び伸びと楽しく、僅かに寂しくも、それで居ても優秀に育っていくのだった。
しかし、そんな事をすれば、その時代の大公はこう考えるだろう。
『子供を産むだけ産み、ほっとけば優秀に育つならほっとこう』
と、だが、それは一切ならなかったという。
これまた、なぜなら、そんな事を考える大公やその嫡男、また、これから親に成る血筋の者たちの夢の中に初代大公が出てきて、寝ている限り説教が毎夜繰り返されるというほぼ拷問に近い行動が行われたと言われる。
彼ら親たちは、ただひたすらに『辛い・きつい・逃げ出せない苦』と最長4ヶ月最短2週間で敗北に帰し、寝る前に土下座。
自身の指針の変更を約束して、安眠を得るのだったが、中には指針転向を約束してそれを破り、二度目の土下座をしても、それは許されず、毎日寝る前土下座を半年続けるという傍から見たら意味のわからない変人動作をさせられたということがあり、それが伝わっているせいで皆恐れて故意にはやらない。
その際こんな言葉も伝わっている。
『初代大公様が言われました。
次は、命まで追い込んでやる。例え俺の子孫でもな! 覚えとけ!!』
これを伝記に伝えた大公は先祖に嘘をついた後、優秀な子供に大公位を譲り、山に消えて言ったという逸話もあり、死にたくない子孫達や寂しさを知っている子供たちは愛情を自分に出来る限り与えて子供を育てていったというのだった。
そして、ここに1人落ち込んで蹲る28代目子孫だったが、その存在を見て叫んでいた。
「わ、私、初代大公の魂見ちゃったーーーーー!!!!!!!!!!!」
半透明な存在は言う。
「もう少ししたら、形作って会いに行くからちょっと、待ってろ」
「「「「「しゃ、喋ったーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」
学者や大公が驚いている間に半透明な存在は掻き消えるかのように空気に溶けて言ったのだったが、半透明の存在は消える間際に言い残す。
「現実は小説より奇なり。だぜ、一々驚くな、面倒くせぇ・・・・」