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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
公爵家の最初の子供  前編
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36⑨ お迎え騎士たちと食事


 我らは目の前の食事に絶句を覚えていた。

 なぜなら、黒パンによくわからない赤い汁物である。

 女は当然ながら食べ始め、ライド様もさも当然と食事をはじめ、少年もといリカルド・・・・殿というべきか? リカルド殿も食事をしだした。

 それと同時に我らは黒パンを見て、今のこのみすぼらしい家にライド様がいるのに感情が迸る。

 というのも、黒パンは日持ちを優先させるために美味さやパンの柔らかさを捨てた貧乏人が食べるもの。

 それを今ライド様は何も言わず食べているこれは公爵家が食べるべきのものではない! と我ら騎士は涙を流さんばかりにパンに手を伸ばし、感触に違和感を持った。

『『『『?????』』』』

 我らは互いに顔を見合わせ、もう一度『?』をだして、そのパンを齧った。

 目の前を爽快な大空が見えるほどバターの味と柔らかさが口の中に飛び込んできた。

 何故? と、思う気持ちとは別にもう一つのパンを掴んで食べていた。

 その時のいいわけをしていたら、5日間まともなものを食べていないせいだ! と言っていただろうが、女とリカルド殿は気付いていないのか何も言わずに食事をしているのが横目に見えた。

 我らは、このパンが黒いが美味かったせいも5日間まともなものを喰わなかったこと以前に空腹感があのパンで爆発した事も要因だった。

 赤い汁。

 赤い汁だが、回り(騎士以外)は美味そうに食している。

 だからこそ、そっと、匙を取り口に試すように僅かに舐める。

 そして、


「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」


 我らは必死に、必死に! 必死に!!! それを口の中に入れだした。

 言うなら、この五日粗食しか食わず早馬を使いかけてきた。その間もまともな飯は食べていなかった。

 しかし、この赤い汁は酸味をベースにそれぞれ煮込まれた野菜の甘みと僅かに舌を転がす肉の獣脂が混ざり、胃に入るとバンバン催促してそれをもっと欲しがるように自分の手足をコントロールして口に運んでいくのが解かる。

 そして、なぜかは解からないが隣の奴に負けるわけには行かない気がした。

 ゆえにガツガツと口の中に赤い汁は吸い込まれていったのだ。

 空に成った皿を置き、ふと我に返る。

 我らは女と敵対している。女からしたら我らのしたことを思えば有利に立てる。ならば、もし自分の立場なら如何するかを考えると、女は無言で魔法を使い我らの更に御代わりをくれた。

 くれたのを見た瞬間自分の愚かしさに一瞬恥を覚えたが、回りはそうではなかった。

 他三人は皿をかっ込み食いだしている。

 私は負けてはいけない気がして皿をかっ込む事にした。

 そして、食事は終わった。

 満足な余韻に浸りたかったが同時に羞恥心を覚えた。

 そして・・・・・その後起こった魔法を見て我らは呆然としていた。


 いつの間にか目の前にお茶があったことにも驚いた。


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