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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
公爵家の最初の子供  前編
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36⑧ お迎え騎士と少年と魔法


 我らは女を貶して、女に助けられた。

 その重いが身体と頭がグルグルと駆け回りながら、下敷きになっている部下達を助け出して門の前で突っ立っていた。

 何故つったていたのかというと、理由は・・・・・入りづらい・・・・・どの面下げて(負けたてあい)入ればいいのかがわからない。

 だが、赤髪の女が出てきて、

「そこに居ると回りの家の邪魔になるから、さっさと入ってきなさい!」

 有無を言わせない魔力を我らだけに放り、我らは心が砕けそうになりつつも必死の抵抗を心中でしつつも入っていくのだった。

 

 入って直ぐにライド様が待っていた。

 馬の止め場を教えて、それが終わったら何処に来るかを教えてくれた。

 

 食事どころの扉を開けると鼻歌を歌っている赤髪の女とライド様、そして先ほどの子供がいた。

 子供の方は楽団の指揮者の用に指を振って遊んでいるのか? と疑問にして見ていると、違った。

 指の降る方向に雑巾があり天井を掃除し、もう片方の手でそこから落ちてくる誇りが風の渦の中に巻き込まれていく。

 少しすると、その風は開いていた窓から外に飛び出していき、次に戸棚が勝手に開いて皿やスプーンが配られていくのだった。

 その頃になると、我らに気付いた子供が言う。

「座んなよ」

 と、言われて、一番女から遠い椅子に座った。

 その中からこんな話し声が聞こえてきた。


「前から思ってたんだけど・・・・・(33参照)・・・・」

父「(33参照)」


 

 ある程度話を聞いて我らは慄いた。

 あれだけの魔法を操り、あれだけの魔波動を発動させ、しかも齢4、5歳の少年がここまで考え話しているなんて、大人として脱帽するものがある。

 聞いている最中も器用に魔法を使い母親の手伝いをするという技を見せられ、少年の名前をここで改めて知り、無言で聞きいていた。

 そこに女が口を挟んでライド様のことを話すと、また苛立ちが芽生えてくる。

 この女がライド様を誑かさなければこんな事にはなっていないという苛立ちが。

 そして、聞いた。

 この女の異常な性癖とライド様を傷つけていた事、そして、少年の方は何か気がそれていたみたいだが我らは聞いたのだ。聞いて女に暴言を吐いてしまったのだ。

「・・・・・・・な、何と・・・・無礼な・・・・」

「・・・・若様の目を覚まさなければ・・・・やはり斬るべきか・・・・・」

 それを言った瞬間人の頭部の5倍ある氷のジャベリンが四つ我らの目の前に現れた。

 それは死を連想させるための警告だった。

 それ以上いうと『なっ!?』という。

 でも、直ぐにそれは空気中に霧散した。

 女が子供の頭を叩き、叱り、何事も無かったかのように親の手伝いをしだした。

 

 少したってからこの時のことを考えると若君リカルドはとても母に優しいいい子であるといっても差し支えないだろうと1人で納得したものだ。


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