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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
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254 リ・オルタイシ   10.5日目 

 アドソン並びに小隊とメインの伯父家族が到着したが、伯父と叔母が幌から出てくると村の光景絶句していた。

 あたりに内臓がとびっちていれば絶句するかぁ…。見え張るためにやり方間違えちまったぜぃ(( ´∀` ))

 この時の最適解は炭にすればよかった。だな(^^♪。

 じゃっ、魔石あるやつは魔法で魔石抜いて、後は内臓や血だまり人族以外の下に3mの穴をあけて埋め閉じる。

 これで子供が出てきても驚くことはないだろう。ただ、人間の手足の千切れたのをどうするか、それぞれの持ち主と思われる人のところの近くに置いておくべきか考えてしまうがそれよりも、

「リッド、リッドじゃないか!」

 と声を上げるのは、年齢と顔立ちからして父親か? もといじいさんと思われる。

「っ親父……親父!」 

 無事だったのか、と駆け寄っていくリッド。

 リッドの名前と声を聞いて親父もとい祖父とその家族が集まってきてお互いの無事を確かめ合い抱きしめあっている。

 その間にも、「ナーシャ、ナーシャも来てくれていたのかい」と建物のそばで祖母が声をかけている。

「お義母さん」

 と、まぁひと騒ぎ。



 リッドたちが無事を確かめあっている中、俺はガファルを見た。

 ガファルは先ほどと違い、追い返そうとする姿勢からなぜか受け入れる姿勢に変わっていた。

「ガファル殿、よろしいか」

「いかようなことでしょうか?」

「人にあだ名す敵がまだ山中にいる。追い出したいかもしれんが、俺を追い出したら、おそらく次はこの村は全滅する。

 さすがにリッド伯父上や母の両親がいる村を見過ごして去るつもりはないことを伝えておく、よろしいか」

 俺はひかんぞ、倒すものを倒すまでは、拒否するならお前を倒してから敵を倒しに行く。にらみを利かせてみると、ガファルの目が逡巡し確認をとった。

「リリアス殿のご子息か、貴公は……」

「ああ、そうだが……」

 なんだこいつ、神妙して緊張感がある顔して俺に聞いてきたが、何? おかんになんか(縛られたり、甚振られたり、囮に、女装に、喜んだり)された人なん? 疑惑的に肯定する。被害者かなぁ。

「承知しました。リカルド様っ……」


 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 全身を針で刺されるような魔力の波動が山から村全体を襲うように降り注ぐ。

 空から押さえつけられるように、唐突に重力が5倍に増えたような錯覚で俺以外が覚える内容だ。

 村人たちは膝をつき、騎士たちは一部堂々と立っている。暗部の紹介はいいか。

 コンマ数秒が数秒に感じられる魔波動。

 終わると同時にそこかしこで息をつく音がする。

 視界の端にリックが父に恐怖で抱き着き、ナーシャさんは怯えつつも気丈にふるまい、リッドは思ったよりはなんか平気だ。しかし、リーシャちゃんは目に涙をため、声を出して泣き出してしまった。

 正直俺としては、こんなことをするのは普段ならナンセンス、やらないを選択するのだが、我が可愛し妹分いとこがギャン泣きしているのに何もしないなんて言うのは俺の矜持がものをいう。

 もっと言えば先ほどの魔波動は部下がやられたことが分かった山の中の親玉が威嚇と威圧に脅迫で自分の武威を示すために行ったものなのは明白だし、それを考えられる頭があるなら、下手にこちらから威圧返しをすると逃げられる恐れがある行為はしたくないのだが、先ほども言った通り俺としては守らなければならないリーシャたちを恐怖に陥れ、なおかつ妹分を泣かした奴に一発お見舞いしなきゃ気が済まなくなってしまった。

 ゆえに、ゆっくりと大きく腕を広げ、一つ「キーン」と音が響き軽めの魔力を載せて柏手を一つ打つ。

 ゆっくりと広がり耳に心地のいい音で心を落ち着け寄り添うように己の魔力を飛ばす。

 近くにいたガファルは地面を向いていたのにゆっくりと顔を上げて俺を見る。

 俺はガファルを見返して、口角を軽く上げて「安心しろ」と一言告げる。

 そしてもう一度、同じように柏手を打つ。

 緩やかに広がる音と俺の魔力。

 徐々に人の怯えていた、山のほうもだが、顔を上げることすら恐れる状況から、村人は顔を上げて、音の出ている方をそっと見上げ俺がいることにふと落ち着きを取り戻していく、いつの間にかリーシャちゃんも泣き止んで潤んだ真ん丸な目でこちらをキョトンとした目で見て、その瞳からは先ほどの怯えがなくなっている。

 俺は踵を緩やかに向け早くも遅くもないスピードで歩み寄り、リーシャとナーシャの前に膝をつきリーシャの涙袋に溜まっている涙を自分の甲で拭う。

「リーシャちゃん、大丈夫、俺が怖い奴ら倒してくるから大丈夫だよ」

 立ち上がりながら頭をなで、ナーシャに語り掛けるように肩を擦るように、恐怖を振り落とすように擦るようにも払う。

 俺の手は暖かいから、特に怖いときは人の温盛を感じると人は落ち着くタッチセラピー効果を利用するし、今の俺は可愛らしい女装したら女の子に見える俺が言えばノンバーバル・コミュニケーションで安心感を伝えて伝播させる。

 俺は次にリックを抱いてる伯父の肩に軽くこぶしをつけて短く「さすが、伯父上怯えてないね」と、最後にリックに「落ち着けよ、リック。クマを一撃で倒せる俺がいるんだから比較してみろよ」拳を突き出して自分の拳に戸惑いながらも突き出して充ててくるリックにいたずらっ子の笑みを浮かべて笑って見せた。

 リッドたち家族を中心に周りの空気がゆっくりとだが弛緩していくのに時間はかからないだろうが、ここでの発言力をつけるには緩やかなふるまいもだが、厳格なふるまいと言葉を選び始めて会う親族に声をかける。

「お初にお目にかかります。おじい様、おばあ様、叔母上、伯父上。私はエルハルム公爵家の騎士 リカルド・ライド・ド・エスクワイア。父の名をライド、母の名をリリアスと申します!」

 凛とし堂々と、それでいてリリとライチに頭の中でお願いしていたことをやってもらう。

 口を閉じると同時に小精霊たちは俺の体から勢いよく飛び出だしつつ赤と黄の光と周囲に飛ばして、魔波動の威嚇のデバフをかき消すように怯えているものもそうでないものにも癒しと活力のバフを振りまいたのだった。

 そして、お冷静な俺は思っていた。

『恰好つけたのに、これで爺さん、ばあさんでなかったら、俺すげー恰好悪っ!((笑))』



とりあえずある分だけです。

ここで終わります。また不定期に出します。

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