248 リ・オルタイシ ③ リード子爵家の騎士とエルハルム騎士団の交流試合。
翌朝、目が覚めると俺の寝ているベッドから人が1人いなくなっており、起きたのかなぁ。とか思いながら、無意識に知覚発動しベッドの下に両膝を着き、頭を下げるアドソンが居た。
俺はアドソンに聞く。
スゲー寝相だなぁ。ではない。
「よく眠れたかアドソン」
に
「大変!! 申し訳ありませんでしたーーーーーーーー!!!!!!!」
朝からうるさい大音量が俺のあてがわれた部屋に充満しているが俺は意に返さず、
「それだけ、でけぇ声出せれば十分だな。飯の時間なら行こう。でないなら、少し、外の散策に付いて来い」
俺はアドソンの護衛の件で俺のベッドで、俺と寝ていたことに対してかは、解らんが頭を下げっぱなしである。
ある種の、朝チュンであるが何もしてないし、何もされていないんだからね!
その上で、アドソンを素通りしたが振り返り、
「アドソン、そこに気絶させて寝かせたのはおれ自身である事が1つ。
護衛の際寝不足で動けない、なんてことは騎士であるお前は無いだろうが、俺の代わりに指揮をしてもらう必要もあるから寝かせた(ことにした)ことが2つ。
最後に、俺を1人で護衛も無しで行かせるつもりか?」
の、三つを示唆してやり背を向けて歩き出す。
三つを示唆してやっている最中にゆっくりと頭を上げて、三つ目で立ち上がり速やかに後背に付いた。
だから、最後のフォローに騎士に背を向けつつ、
「背を任せる」
バン! と、音を立てて歩く俺に直立不動で騎士の直立礼をとったおっさんが後にいた。
(カールド)
「知覚?」
「うん、知覚。まぁ、記憶のコピーもあるが知覚だな。起きると癖で発動している」
「知覚って便利だな」
「覚える気があるなら教えるが、応用も」
「それはまた今度で」
じーっと見つめると、
「また今度っていてるだろ!!」
焦りながら、恐怖の感情漂わせている。誘ってんのか!? まぁ、気持ち的なジャブを入れておこう。
「まぁ、時間は一杯あるからな」
カールドはさーっと青ざめ、逃げた。
今回は、俺はおわない。
さっきからこっちを見ていて話を聞いていたアストの肩をそっと組んだ。
「えっっぇぇ!!!」
キョドって左右に顔を向けて仲間に視線を向けるが、全員アストと目をあわさなかった。
そして、俺はそっと肩を叩いてアストからそっと離れた。
俺は客室からアドソンを連れて爵家の騎士が集まっている所に行く。
騎士たちが集まっている所に行く間に会うメイドに挨拶をされる。
知覚で伯父が起きていて厨房に居るのは分かった。
リックとリーシャに伯母はまだ寝室におり、伯父含めて護衛はロミオと他暗部に任せている。
ふらっと庭に出ると、うちの騎士たちは剣の素振りをしている。
それに触発されてか爵家の騎士たちも素振りして終わる所だった。
俺はその場に出向くとうちの騎士たちはもちろん爵家の騎士たちも気がつき朝の挨拶をしてくる。
知覚で感知していたが、向こう側からギラス子爵がやってくる。
俺は騎士の礼を子爵に向けると家と爵家の騎士がそちらに向き直り、見とがめ礼をする。
「うむ(我が騎士たち、)公爵家の騎士諸君、リカルド殿、よく眠れましたかな?」
「はい、子爵。一階の騎士にも特別な計らい感謝申し上げます」
胸に手を当てて、騎士の礼を取る。
ギラスは俺の姿勢を見て笑顔で頷く。
して、
「朝の調練ですかな?」
「私は今来た所ですが、子爵の騎士も真面目でよく励まれていました。」
俺の言葉に髭をつまみ上げ、本の少しうれしそうである。
「ですが、さすが公爵家の騎士たち見てわかるほど芯が鍛えられていますな。剣筋のブレがありませんでしたね」
何処からか見ていたのか家の騎士たちの重心の位置と剣筋を見て褒めてくる。
もっと言えば、俺の反応を見ているようだった。
俺は俺でホンノリと政治家の笑みを足して、
「ありがとうございます。子爵に其処まで言ってもらえるなら我らの誇りとなります」
微笑んで見せると、ギラス子爵は口の端を上げながら、無言で俺を見つめてくる。
その瞳からは探るような目であるが何を探っているか解らない視線だったから、逆に尋ねてみた。
「何か………おありで…?」
「! いや、失礼しました。
ただ、前にこられたとき(第3章捕捉 閑話23・24)と比べられて、ここまで溌剌と話していただけるとは思っても居ませんでした。」
「正直なことを言えば理由は二つ、一つは母の弟子であれば信用に値するためお話させていただいているのと、二つ目が仕事ゆえに真面目にやると決めていますので、こうなります」
「はははははは、リカルド殿中々素直で嘘をいいませんなぁ。リリアス殿と別な意味で素直ですな! ははははははは」
少し見定める目をしていたが、最終的には豪快に1人で笑っていた。
俺たちは子爵の笑い終わるのを待った。どうせそんな長くは続かないと思ったから。
おっさん(ギラス子爵)は、10数秒笑ったくらいに「ふー」と息を1つ吐いて朝の素敵な笑顔(紳士スマイル)で、「そういえば」と話を切り出した。
「リカルド殿、もしよろしければ我が領の騎士たちと公爵家の騎士たちで一手申し込みたいのですがいかがでしょうか?」
紳士(子爵)は、紳士らしく上位と見とがめてアドソンではなく俺に話を向けている。
俺としては、フムと考える。
理由としては、家の連中のほうが普通に7回りも8回りも強い。なんだったら、12倍くらい強いものもいる。
果たして、戦わせもいいものなんだろうか? 自信をなくさせてしまうのは正直申し訳ない気がする。
うーん。と考えていると、子爵が紳士スマイルで、
「いやぁ、我が騎士は私が鍛えた精鋭です。公爵家の方々も強い方々がいらっしゃると思いますが、負けるのはやはり嫌ですよねぇ」
煽ってきやがった。スゲーいい顔で、その顔に俺は「ぶふぉっ!」と噴出した。
噴出して今度は俺が笑った。
この言葉が聞こえていた騎士たちは少しムッとした気配を出したが俺が笑ったことにその気配が霧散する。
俺は騎士たちに一言聞くことにした。
「正直、俺はお前たちが負けるところは想像が出来ない。
それ所か、子爵の家の騎士にトラウマを与えかねないと思っているほどだが………、お前らどうしたい?」
いたずらっ子の笑みで俺は俺の部下たちに聞いてみていた。
騎士たちは俺の言葉に気配が軟らかくなり、試すような笑みで向けた顔にこちらもすげーいい顔して、なぜか一番前にいたロイが戸惑いながらも戦いたいです。と、声に出した。
そして、ロイの肩に数人が良い笑顔で手に置き、他の数人が逆の肩を軽くロイを鼓舞するように叩いていた。ちょっと痛そうに見える。顔が少し引きつってんな、他の連中の肩たたきに悪意が無いのが……救いか? いや、あれは己も戦いたいぶっ潰すと言う気持ちを肩たたきで我慢して見える。ロイ、サンドバックか?
「なら、勝て。負けることは許さない。
負けるくらいならここで死ね。
負けた奴は俺が引導を渡してやる!!!!」
覇気もって有言実行をすると言う意思表示で笑みを湛えて本気の目を、ドラゴンの目を髣髴とさせる目で彼らを見た。
騎士たちは顔色が悪くなっていき、殺気が漲り始めた。
そして、子爵家の騎士たち戦う時になった時うちの連中の1人がこういった。
「主命ゆえ、手加減は出来ん。我らはまだ死にたくない」
低音で殺気というよりかは死を意識した死兵のような独特な迫力が子爵家に恐怖を与えたのかも知れない。
子爵が言っていた。
「あんな恐ろしい激励の仕方は始めてみました。」
なんだ、あれ。と、家の騎士たちの戦いを見て思い出し、恐怖していた気がした。
家の騎士たちのほうが全体的に4倍は強く、焦りなんて無いのに余裕が無く一振りの緊張感がハンパなかった。
どちらかと言うと、激励がきつすぎて動きが悪くなってしまった。故に4倍くらいの動きだったが、俺としては明日からどんな激励でもいつもの動きが出来るように確り肉体と精神に焼きを入れ込んでやることにした。




