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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
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245リ・オルタイシ   道中  3日目の子爵家  夜2


 リッド伯父上は意識を途中から放棄していた。放棄していても決定したら作らなければならないのは平民の嵯峨である。可哀想に………。

 厨房の椅子に座った瞬間動かなくなった。さっきから口から何だか魂が抜けている。大人なんだから自分で歩いて欲しかった。

 歩いていてまさか手を引っ張られるならまだしも手を引くとは思わなかった。

 ファリオス義伯父上にパンの提供話の段階で「皇太子殿下に……俺の作った……パンの献上………??? !!!!」と口に出して失心した。

 リックとリーシャちゃんはよくわかっておらず、伯母上は困りつつも表情は微笑んでいるようにも見えつつ口を押さえて呆けている。

 恐らく俺が何をしようとしているのかよくわかっていないのだと思われる。

 まぁ、言っちまえば伯父に箔をつけさせようと考えたのだ。

 どういうことかというと、オルタイシに着いたとしても義伯父上頼めば金くらいはくれるし俺も金くらいは渡せるが、この伯父の事だから決してお金を受け取ろうとしないとおもわれる。

 であるなら、恐らくは冒険者として活動するか、パン屋の場所借りてパン焼きをオルタイシで営むと思われる。

 正直、俺たちが一時的にとはいえオルタイシに移動させて冒険者させて没してしまわれると凄く後味が悪い。なんなら、母さんが落ち込む。母さんが落ち込むと、父が機能停止を起こすと思われる。今後の公爵家を思うとそれは不味い。

 それに、我が家で一番やってはいけない事は、母を悲しませる事である。なので、伯父には出来る限り安全にパンでも焼いていてもらえると非常に助かる。

 だが、古都で色々な食べ物屋が立ち並び、母がパンを焼けば飛ぶように売れる。

 それは母お手製のイースト菌であり、美味いパンを食いたいと思ったら必要ゆえに長期遠征時はいつも持ってきているし、今回は伯父上がいるから抜かりなく荷物にも加えて持ってきている。

 故に他の領地で食うパンよりはパンの味の質が良いのがことであろうし、事実旅中喰ったが美味かったよ。竃は即席で作れるしな。

 そんな中、伯父がパンを作るとなれば、数日で大人気店に早代わりするが同時にライバル店はいい気がしない。例えそれが母の身内でも。アホはいつでも湧き出てくる。

 そこで役立つのが紋章つきの感状になる。

 紋章つきとは言ってしまえば後ろ盾になる。

 学者諸君並びに読み手諸君はわかるだろうが、こういうのが初めてなニュービーに解り易く説明しておこう。

 簡単に言うと、『わりゃっぁぁ!! おおおう!! (うち)の爵家が後見人になっているのにもかかわらず、手を出す(暴力や圧力)たぁ、我が家の暴力装置(兵・財力)に喧嘩売っとんのか、ワレェェェェェ!!』であり、

 深く言うなら、『我が家が財力や兵力を貸しても痛いと思わない、有能な人材に暴力や圧力をかけ、その芽を潰す・危害を食らわす・秘匿しようというならば、相応の措置を取らせていただきます。

 また、このものの才能は我が家で召抱えたいのですが、現在別の家が先に目を付けていらっしゃり、その次は我が家を選んでもらうためにも家名で保護させていただいている人材。

 この能力のある人材が在野に放たれ知らぬ所で屍になるくらいなら、我が家の名を使ってでも守りたいと思うほどの人材です。

 よければこのものの能力を一度お使いになられてはいかがでしょうか? 私と同様に紋章(家名)をもって程したくなるのは必然となるでしょう。

 でも、秘匿しようとしたら、権力と武力を掛け合わせてぐちゃぐちゃにしてやる。ぶっ殺す。』異常である。あっ、間違えた。以上である。

 

 

(学者たち)

A「簡単と深くがめっさ違うんだけど、後者のほうが何か怖いのは気のせいだろうか?」

B「いや、それ以前に読み手って、俺ら以外に誰がいんだよ」

リ「お前ら以外の図書館利用者とか、この事が小説の単行本になったら目を通す読者だよ」

 なっ。解るだろ、野郎共!

 

 

 最後に俺として、

『伯父上に手を出してみろ。伯父上に手を出して、母を悲しませたら地獄より地獄の其処に連れて行って、今お前が考える地獄の1000倍辛い目にあわせてやる。

 俺が、 俺がっ、 この俺様がっ!! 守護と庇護を与えた愛すべきリック(・・・)とその貞操と家族に手を出した瞬間、都市事消える覚悟しろ。

 だが、安心しろ。

 お前は必ず生かして目の前にある。お前がこよなく愛して友のいる都は確実に消してやる。

 人の阿鼻叫喚を耳にすり込ませ、何に手を出し後悔を始めて、命を立たせてほしいといってから数100回目で折り返し地点だ。

 最後に10本の指を折る際声を出さなかったら望みどおり殺してやる。だが、9本目で全部魔法で9本再生させて進ぜよう!! 感謝するがいい!

 あははははははははははははははははははははひゃひゃはやややややははははははっはあああああああああああああああああああああああああキャッキャッキャッキャッキャっきゃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! は、はーーーーーーはぁーーーーーーー!!!』

 


(学者たち)

「「「こ、怖ぇぇぇぇぇぇええええええええ」」」

カ「いや、爺さんの感想いらなくない? つーか途中から伯父家族で無くて、リックさんの貞操を守ろうとしてない? 可笑しくない?」

『『『(勇者(ばか)か?)………いや俺も思ったけど、それいったらお仕置きされる可能性は考えていないの、この人??』』』

リ「カールド、ばっか~っ! リックの貞操は大事に決まってんだろ。最終的にはリックの貞操を貰わなかったけど、リックの色々な悪戯した時の一番の表情は全て俺の者にしたかった。

 だから、こそ、大事な事だから言葉にするんだろ」

 と、笑顔でカールド以外の学者たちにウインクする。

 カールドは俺の言葉に本の少しの沈黙の後意味が解らないというように小さくため息を吐き本に視線を戻したのだが、学者たちはそんなカールドを嬉々とした笑顔で微笑んでいる俺を見て一瞬で理解をしたらしい。

『『『ああ、現代のリック卿の代わりがカールドなのか!!!』』』

 カールド以外の心の感情が俺に流れてくる。

『『『カールド(殿)には、あまり近づかないで置こう。下手に手(暴力や圧力)を出すと、都市が吹っ飛びかねないし、家族が目の前で焼かれるかもしれない』』』

 こうして、カールドから友達が少しへ………った……。いや、友達……、これ以上はいえない。俺も口からは何も言えない。

 カールドに見えないように自らの口を塞ぎ、声を押し殺して、涙が出そう。



「誠ですか! それは嬉しいことになりましたな!

 もしよろしければ、明日の朝にでも作っていただけるとありがたい事です。

 我が家でも改良はしているのですが、それでも納得いくものが出来ない有様でして、本物の美味いパンを焼いてくれるなら、お願いしたいくらいです!」

 ギラスは俺の言葉に大いに喜び期待した視線をリッド伯父上に注いだ。

 伯父の顔は引きつって、謙遜しようとしていたが、俺は伯父が喋るよりも前に、

「任せてくださいギラス子爵、我が伯父は見事子爵に口にあうハルト自慢のパンを作ってみせましょうぞ!」

 代わりに胸を叩いて応諾すると、伯父はプルプル震えたあと、全てを諦めるように深いため息を吐くと共に頷くのであった。

 ただ、明日の朝パン食いたいとか言っていたので、この後仕込む事になるのだが、そのためのイースト菌の手配を風に乗せてロミオの耳に運び準備させるのであった。



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