221 護衛騎士 6 良しっ!
従兄のリック君は何かを察知したのか発狂した。
きっとトラウマにならないと俺は願っているが、もっと後に彼はこういっていた。
『あの時(今日のこと)も最悪だったけど一番のトラウマはオルタイシのあいつら(幼馴染ら)の誘拐犯いびっている光景がときより寝ていると夢に出て飛び起きる。』
と言っていたので大丈夫だったよ。
(学舎たち)
『『『な、何が会った………』
このときのリックの奇声はコカトリスの断末魔に似ていたような気がするが何よりも天に届くんじゃないかと思われるくらい大音量で回りで聞いていた。若干野次馬はいたが、更に増えナンだったら家の中からリッドが出てくるくらいだった。
ついでに言うがリックは俺が速やかに気絶させる。
喉を痛めてしまうし、結構オブラートにやったつもりだったが、(この、ネタ晴らしの方法)何が駄目だったかが今後の課題である。そう思ったほどだった。
すぐさま父親で俺の伯父さんがリックの悲鳴に何事かと飛び出してきたが、俺の様を見て一瞬で疲れた顔になり一言。
「………その格好………リカルド君かい………?」
「はい、伯父様」
満面菜笑顔で受けると一瞬で倒れているというか俺の腕の中で俺にしなだれかかっているリックに哀れみの視線を向けて俺に近寄り引き取りつつ更に一言。
「程ほどにしてやってくれ」
「じゃぁ、伯父様をからかっても………」
「それもやめて」
ニコニコしながらそんなことを言うと小さく拒絶しながら頷いてお願いしてきた。
致し方なしのアルマジロ。
(アスト)
「時おり出る、言葉を調べるの面倒なので言わないでくれませんか?」
アルマジロってナンだ? と首をかしげている。
「図鑑渡してるだろ。前世の動物図鑑、そういうのが異世界にいると思ってみろよ」
「いや、文語長調べたり、動物調べたりと面倒でどっちか解らないと非常に時間がかかるんですよ」
「ガンバッ!」
「おいいいいい!!」
いたし方ありませんわね。と、ニコニコしながら俺は言う。
伯母は気絶しているリックを抱えて店の奥に入っていく。
伯父は俺に目を向けて尋ねてきた。
「ところでリカルド君は、どうしてここへ?」
「リック従兄をからかいに」
「うん……ホントほど程にしてあげてね。」
「大丈夫ですわ。もう、からかって差し上げないことにしておきます。
ナーシャ伯母様に言われたので」
「リリアス同様に、ナーシャの言うことは聞くのか………」
「母はどうなのかは知りませんが、俺は筋の(子を思う)通った母親の味方です!」
そっちかよ。という感じで俺を見つめつつため息を吐く伯父に俺は、
「お邪魔しました。やりたいことはやったので帰ります」
それだけ言って背を向けて店の外へ歩き出したのだった。
外にいたアイシャと言われたオバサンが手を振ってきた。
俺はそのオバサンの側に行き貴族令嬢として間違いの無い行動をする。
紳士と淑女の礼を混ぜる。つまり、右手を胸に、左手はスカートをつまみ左足を後に下げ頭を下げる。
オバサンが驚いた姿勢をとっている。
「先ほどは騙すような振る舞いをして申し訳ない……」
俺は人好きのような笑みを映え、アイシャさんを見る。
「母の悪戯の一環で女の子の格好をさせられ、一日女の子のように振舞うようにといわれてしまっていて、中身が男であることを伝えられなかった」
大変失礼をした。頭を下げながら謝辞を述べる。
アイシャは俺をジーッと黙って見ていたが、
「あ、あんた………、あんた男の子、なのかい?」
俺が無言でいると、快活に笑いながら、凄いことを言ってのける。
「まじかい! こんな可愛い男の子がいるなんてっ、うちの子にならないかい!?」
驚いてたんかーい!! いや、確かにここはオルタイシでは無いから、この礼はイランのか………そして、俺、今、誘拐されそう?? 後の連中が剣に手をかけようとしている。
二人にだけ、魔力を飛ばす。
二人揃って、ビクリと動きそれ以上はというかルダンの汗のかき方が異常な件について。じゃねぇ、少し相手の耳に声を飛ばすと息をついている。
全く、脅しすぎて面倒になった。その内、どうにかしなければ、何か武器でも作って褒めてやるべきか………いや、一層脅えそう。色々マイナスに考えると面倒だな。
こういう時ってどうするんだっけ………俺は俺の前世の軍人時代を思い出し、一つの名案を思い出す。同僚に恐怖が消えるまで飲まされる。(良し、コレにしよう)
ならば、アドソンに命じて酒場に誘わせよう。と、アドソンの口説き文句を構築しだしていた。
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『アドソン、お前に心よりの頼みがある。』
はっ。と恭しく膝をつく俺の唯一の騎士。
『ルダンが面倒だ。暗殺しろ』
あっ、間違えた。
『………酒場と色町に誘え』
い、いかなるり、理由ですか………? 首をかしげる。
『少々脅しすぎた。』
俺は素知らぬ顔をしつつ空を見る。
ああ………。となんとなく察するアドソン。
たぶんこんな感じになる。良し!
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「アイシャおばさん、光栄な話だけど。母さんはあれでかなり甘えん坊なんで、放っておくわけには行かないんだ」
笑顔でアイシャに断りの言葉を送ると、豪快に笑って「そうかい」と快活に微笑んでくれた。
最後のほうにリリアスちゃんは親思いの子供を生んだんだね。うらやましぃねぇ~とニコニコしていた。
俺もそう思う。と言ってみたら、近くにいたオバサンたちが一瞬きょとんとしてから大爆笑していたのだった。
俺は人の笑顔が好きだ。
(アスト)
「同時に、人をからかうのもでしょ」
「ふっ、突っ込み不在だからって張り切るなよ。でも、アストよ、お前勘違いをしているぞ。
今まで突っ込みを担当していた者たちは一律して俺に扱かれているが、お前平気なのか?」
そっと、人の影からこちらの様子を伺っているブライアンに対して、アストはそっと顔色を青くしだしている。
今俺はどんな顔で笑っているのだろうか?
その日アストはそのまま顔色を悪くして家路に着くのであった。




