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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
326/367

214 護衛騎士 1

すまねえ、遅くなった。


おおよそ、5分後に示談投稿する。


 俺はノックを二回して声をかけた。

「失礼したいのだけれども、入ってよろしいかしら?」

 口調は令嬢全である。声変わりも無いから、それっぽく言えば女の子である。

 いや中身は男であり、おっさんである私はお腹のそこを黒くして扉の前で笑みを浮べている。

 部屋の中からは副官と団長がお互い顔を見合わせているのを感知しているが、団長は頷き、副官はこちら(扉)へ向かってきて、俺の顔に中からの光が差し込んできた。

 うっ、眩しい! ロミオの頭みたいにっ! には、ならず、ただ扉が開いた。

 中からはルダンとは別の一人の殿方が現れて、私を見て口を開いた。

「! お嬢さんー……は、どちらの子かな? ここが第三騎士団の団長室だけど間違えていないかい?」

 少し首をかしげるような口調だったが一応どちらかのご令嬢と思われるくらいの令嬢然とした立ち振る舞いに疑問を飲み込んで顔色と声色変えずに笑顔で尋ねてきた。

 俺は……いや、私は優雅に軽めのお辞儀をして笑顔で、

「間違っていないです、えーと………」

「ああ、これは失礼しました。私の名は、ルオル・ド・エスクワイア。

 第三騎士団副団長をしております。よろしくお願いします」

 名前がわかりません。と、名乗りもしないで名乗らせる気満々な私に、目の前の殿方は笑顔を変えずに謝辞を一つと、名を明かしてくれる。

 最後のお願いしますの後に、あなたはどちら様ですか? という副音声を混ぜルオルは俺の前に立ちふさがった。

 なので、

「始めまして、ルオル様。私の名前はリカルド・ド・ライド・エスクワイアと申します。以後お見知りおきいただけますと感謝に耐えませんわ」

 カテーシーを取り、淑女としての作法を披露する。心の中での俺は目がギラーンと輝いているが、ルオルの後の方で変な声が聞こえた。

「ブルウウゲガッ!!」

 どうやら、俺の姿はルオルを影にしてまともに見れていなかったのか、あまり気にはしていなかったが、俺の名前を………おっと、私の名前を………・



(カールドたち)

「もういい、言いなおさなくていいです!」

「そうですそれで遅々として進まないなら、注釈は俺にしてください。面倒くさい!」

「俺、頑張ってるのにショック(笑)」

「やかましわっ! わらってるじゃねーか!! (スパーン!)」



 じゃぁ、俺の名前を聞いた瞬間に誰が着たのか気が付いたルダンは仕事机から立ち上がり後に引き下がりながら(俺から距離を置いて逃げようとするように)、変な声を出していた。

 ルオルは後を振り返り、ルダンの情けなく脅えた姿を見て呆然としたが、ふと何かに気が付き恐る恐ると確認のためのようにゆっくりに見える速さで俺に視線が向けられた。

 俺、笑顔。

 ルダン恐慌。

 ルオル色々な感情から固まる。いや、男子が女装していることに突っ込めないでいる。

 ルダンは、俺のすることに下手に突っ込めないでいる。

 俺はただただ、笑顔だが、ただ一言騎士に問う。

「ルダン。ワタクシに騎士として何かいうことはないのかしら? それとも私を無視しているのかしら?」

 何だろう? 弱いもの苛めをしている気分になってきたぞ。まぁ、ルダンだし、いいか。

 だって、ルダンだし。



(アスト冷静な突っ込み)

「ルダン氏、可愛そうに。そして相変わらず初代様が鬼畜過ぎる」

「きゃはっ!」

「「「………」」」

 冷たい視線でゾクゾクする奴が仲間にいたが、あいつは当に死んでいるなぁ。



「いいいいいいい、いえっ! そそそそそそそのようなことはああ、ありませんっ!!!」

 脅えるルダンは脅えながらも口を開いたがその口調は緊張が見て取れる。

「そう、ならいいの。

 それより…、ここ…、お茶も出ないのかしら…?」

 俺はルオルの横を堂々と通り過ぎ正面は団長机に、向かって右に2席あり(副団長と書記)、左のソファーに当たり前のように進み座り、ただただ笑顔をルダンに向けると、汗がたらたらと出ていた騎士は全力の駆け足で、扉を飛び出していった。

「ただいま、お茶をお持ちしまーーーーすっっっ!!!」

 ルオルは軽く押されて少しだけ蹈鞴を踏み走って出て行ったルダンの行く先を見つめているのだった。が、俺は、

「少し、お話しませんこと?」

 扇子で口を隠して怪しく高慢ちきと少しの流し目で我侭なませた令嬢然の俺はルオルに話しかけると、彼の顔は引きつっていたのだった。


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