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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
325/367

213 可愛い男娘(おとこのこ)

来週はないよ。次は第二回目の土曜からで。


 拝啓皆様へ、俺は可愛らしく磨かれております。主にメイドさんたちにきゃっきゃっうふふと進められる衣服を着て歓声を浴びて候。


 あの後、リックをからかってお土産のパンを貰い、その内の一個のバケットの中身をくり貫き風の魔法で細かくして屋根のうちに散らす、鳥がやってきてそれを啄ばむのを笑顔で見ていたが、その中にかなり希少でうまい鳥が混じっていて……ジュルリ!

 お土産の肉を増やして意気揚々とそのパンの皮をガリガリと齧りながら屋根伝いに家(公城)へ帰って自分の部屋に入ると隣の部屋から母がタイミングよく入ってきて、こう申された。

「じゃっ、約束通り女装しましょうね、リーきゅん!」

 その声と共に、内の暗部メイドと公城で働く女性メイドたちが様々な女の子物の可愛らしい洋服を持って入ってきて、俺を着せえ人形にして行く(持て遊ばれる)のだった。

 ちなみに肉類の処理は男暗部に任せている。


 そして、現在。

 白とピンクのフリル傘を持たされて、赤い派手な扇子をもち、カラードレスは紅と黒で派手ではないがそれでも目を引くような様相で、紅い手袋をして白い椅子に座り、扇子を開き口元は隠し少し憂いた様に流し目をメイドたちに送ってやる。

「「「ぶはっ!」」」

 と、最後まで食らいついていたメイドが鼻血を噴出して気を失っていた。

 暗部たちは女の子ではありえない鼻に布といった様相で耐えて居るのは流石と褒めるべきなのかは、わからないがその耐久力だけは褒めてやる、心の中でだが。

 俺は口紅が付くことを気にせず白磁に金粉が混ざったティーカップに口をつけるが、他からその光景が見えないように気づかってお茶を飲んで思う。

 ああああああああツーーーーカーーーレーーーーだあああああああああああああ!!!!

 帰ってきて休む暇なく3時間着せ替え人形、着てはポーズを取らされること13着、その都度一人また一人とメイドは倒れていった。

 母は笑っていた。

 ニヤニヤして、怖いことを言った。

『ああ、これで本当に女の子だったらよかったのに………』

 俺は思った。

 何かされる所だった、実母に(恐)! 尻かっ、尻が目的かっ! このとき、一瞬チラッとリックを思い出したが、恐怖のほうが強くて俺は頑張った。

 足が笑わなかった俺を誰か褒めてくれっ!!

「リーきゅん」

「い、イエスッ! マムッ!!」

「とりあえず、今日はそれで過ごしなさい、夜寝る瞬間まで」

 プークスクスと笑っている母に俺は「ノー」とは決して言わずに、短的に答える。

「イエスッ! マムッ!!」

 それだけ言って、母は母の部屋に帰って行ったが俺は思う。

 メイドたちを俺の部屋に置いていかないで欲しかった。

 これ……この屍………14人居るけどどうするの? しかもお持ち帰りしない母に少し違和感が………、いや好みが居なかったのかもだけど…………………まぁ、いいや。俺は俺で遊びに行くか。

 そうして、俺は屍たちもその内起きるだろうと判断して、部屋の外へ出て行くのであった。


 廊下には人影が少ない。

 それもそうだろう。俺の部屋で少なくとも14人倒れている。

 まるで殺人事件さながらだ。死んでいないが、それにしても14人程度でここまで少なくなるのもいかがなのか? 父辺りが、母に男を近づけないように命令している節もあるが、よくよく考えると、このあたりで会う家臣は女が多かった気がする。まぁ、俺にはどうでも良いが。

 差していた傘を閉じて、縦方向にクルクルと回しながら、とりあえず父の部屋に歩いていく。

 知覚で父の魔力を感じて、道すらも網羅していくが俺は面倒だったので窓に足をかけて公城の外壁を歩いていく。

 外には城の庭を歩く執事やメイドに騎士が降り、それぞれの決まった行動をしている。

 誰一人俺の存在を気にしていない。

 まさか、人が壁を歩くとは思っていないのだろう。

 そう、思っていたときがあった。

 一人の男がテラスからこちらを凝視して固まっている。

 俺もそれに気がついて、吃驚しつつもすぐに魔法を発動した。

「っ! ど、どこに行った!」

 唐突に消える俺にその男………ラフィン・ド・エイル・エハール第二騎士団騎士団長がその声を上げて騒いでいる。みっともない、あれが騎士団の団長のすることか? 全く……。

 俺は既に光学迷彩系の魔法を発動して、ラフィンや回りにも全身に魔法を発動して、父の部屋に歩いていった。

 俺は壁から飛び降りて、ふわりと父がいる部屋のテラスに降り立ち、ノックをする。

 父は後ろ背にして書類を見ていたがノックに反応し振り返り、俺を見とがめてギョッとしている。

 窓の鍵を開けてくれないので俺は魔法でそれを空けて、父に声をかける。まるで、本当の御令嬢のように、

「お父様、ご機嫌麗しく。では………」

 それだけ言って父の書斎を後にするかのように父の部屋を通り廊下に出て行こうとしたら、扉が開いた。

 開いたその先にはナイスミドル父が老けたらこんな感じになるのかな~というような立派は服を着たお爺さんがそこにいて、俺を見とがめてこちらもギョッとして固まっているので、

「御爺様、ご機嫌麗しく。先日のお茶は楽しかったですね。また夜、遊びに生かせていただきます」

 見事なカテーシーを披露して、父に用があると判断して道を譲った。

 まるで洗練された御令嬢のように凛々しく、その上で余裕と教養が見え隠れする動きと動作であるが故に、祖父は、

「っ………えっ………?」

 なんだかわかっていないようだったので、俺は思わず扇子を開いて口元を隠しクツクツと笑う。

 そこに父が口を開いて祖父に伝えた。

「父上……それ、リカルドです………」

 声をかけられた祖父は父のほうを見て、リカルドという単語にすばやく首を回した。

「………っ! えっ!!」

 祖父の後ろにいたバツチャーは祖父と同じだったが声だけは出さないで二人して俺を見ている。

 俺の立ち振る舞いが一切洗練されすぎて、見た目も(おんな)()てか女子にしか見えない。

 思わず凝視してくる二人に、

「御爺様、それにバツチャー……。

 俺が本当に令嬢だったら二人の行為はとても失礼に当たると思うんだけど、自分たちのしている行為気が付いている?」

 扇子越しに声変わりしていないが先ほどと違った、本来の俺の声と口調で二人に釘を刺すと本当に俺であることが分かったのか二人はシンクロしてビクリと肩を震わせて、祖父のほうが声を出した。

「一体全体、どうしてそんな格好を………」

 趣味なのかと聞いてきそうな感じであるが、俺はちゃんと答える。

「母に奇襲をかけ返り討ちに会い、お仕置きと女装を選ばされ、女装して許しをもらったから、ついでに夜寝る瞬間までこの格好でいるようにと言明されました」

 その答えで祖父は父を見るが、父は頷くだけ。

 また視線が戻ってくると、

「リリアスはなかなかどうし…強いのだな……」

 そう述べて一つ息を吐き、首を振った。

 祖父には祖父の思うことがあるのだと思うが俺は俺なので、改めて凛とした振る舞いで、頭を下げて、部屋を退出していったのだった。


 現在の俺はとある人物の横を光学迷彩系の魔法を駆使してすり抜けている。

 ラフィンが、「私は見たんだ!! 壁をっ、壁をっ、地面の用に歩く、麗しの妖精さまを!!」見つけるんだ!! と叫んでいる。だが、まだ、ここまでは大丈夫なのだがこの後の言葉が怖い。

「そして結婚は種族的に無理だろうが、私の! 私と契約をしてもらうのだぁぁぁ!!」

 そんな言葉を聞けば御尻が引き締まるだろう。

 息を殺して、隠れたくなろうだろう。

 逃げればいい? 遠回りしろ? フッ、誰が怖いからって遠回りするものかっ!! 隠れていても逃げるという行為は俺の中には無いんだよっ!! だから、尻とふんどし引き締めて気配は殺し、透明のまま横を通りすぎていくのだった。

 そして、今日一番の目的の人がいる。

 目の前の部屋の中から、一人は知っている人のの声ともう一つは聞き覚えのない男の声が聞こえてくる。

「く、くそう! 何で書類はこう、面倒くさいんだっ!! やっぱりお前がっ」

「いいですけど、リカルド様に見られたら、何されるかわからないって団長が言われていましたよね。よろしいんですか? 大丈夫なんですか?」

「くそう! さっさとここの処理の仕方を教えてくれっ」

「偉そうですねって、ここ前に教えませんでしたっけ? というか、本来は団長の仕事を押し付けられていたんですからちゃんとやってください!」

 騒がしく仕事をしている声が聞こえ続けるのだった。


214 護衛騎士


 俺はノックを二回して声をかけた。

「失礼したいのだけれども、入ってよろしいかしら?」

 口調は令嬢全である。


 から、  はじまるよー

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