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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
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200  公都ハルト  やんちゃ 3


 護送は何事も無く3時間歩いて公都ハルトの東門に辿りついた。

 門の目の前は都に入ろうと入城待ちをしている民衆がいたがシグナルが番屋に事情を説明して、優先して俺たちは入場していく。

 流石に公都だけ会って高い建物がある。

 オルタイシと比べると迫力は無い。と、思いながらふと気がつく。俺外の城門から入って町を見るのは初めてだ。

 ただ喧騒と人ごみはやはり都を関すだけはあるから賑わいがある。

 俺は屋根つきの荷台の上に軽やかに登り胡坐をかく。

 というのも人ごみに小さな俺は他の連中(シグナル達)から見えにくいため、彼らのために安全で見え易い所に上った。

 ガタガタと揺れるのは御愛嬌でしょうがないだろう。

 それより民衆がこちらを見ているのが面白かったが、民衆は「あの少年は誰だ?」とか「騎士たちが徒歩ってどうしたんだ?」とか「あれっ? あの子何処かで………」とかなり目立っているが俺は胡坐かいて御輿状態だったが急に立ち上がる。

 立ち上がりとある一点を見て、その場から消える。

「消えた!!」

「どこに行った!?」

「!!!」

 民衆は俺の消えたことに驚きその言葉に騎士たちが気付き、隊列が乱れ警戒態勢かしたころ、俺は一人の顔に小さな拳のあとがついた男の襟首をつかみ出てきた。

「シグナル!」

 覇気があり、堂々とする俺に気がついた民衆は驚きながらも道を開ける。

「いきなりどうなされましたリカルド様」

 すばやくシグナルは近づいてきたので、

「スリだ。こいつも盗賊どもと同じ檻に入れておいてくれ」

 ぞんざいにシグナルの前に捨てて、顔をとある女性に向ける。

「御夫人」

 と見た女性はビックリしつつも自分に指を指して『私?』と言うように聞いてくる。

 俺は頷き問う。

「お財布ありますか?」

 その言葉に、お財布? と聞き返すので俺は頷く。そこそこの身なりの夫人は鞄に手を伸ばし気がつく。

「えっ!? ない! 何処っ」

 探しているようだったがこれでは? と差し出すと、私の! と驚いて取りに来た。

 それを渡して俺は

「俺たちに見とれるのは良いけど、財布を取られないように警戒は怠らないほうがいい」

 そう言って、荷台に俺は戻っていく。

 そうして、また荷台は動き始める。

 そして、また俺は消えるように動き騎士たちは警戒態勢を取ると言うことを数度繰り返して公城にたどり着くのであった。


 まず、たどり着くと犯罪者が入る門が違うのでそっちに迂回することになる。と言っても元々は犯罪者が入るところなんてのは無く、騎士がつめている詰め所に移動することになる。

 俺は前門から入る気がないし、シグナルに後はやっておきますと言われたがここの辺を知らない俺からすれば少し探検感覚で楽しいので着いていくと伝える。

 ガラガラと音を立てて騎士の詰め所の入り口に行くと燃えるような赤い髪と金髪の髪をした夷丈夫それと暗部どもに母に抱えられたシルコたんがいた。

 俺は荷台の屋根から飛び降り手を振りながら父たちのほうに駆け寄っていく。

「お帰り」

 気安いのは母である。

「ご苦労だったな」

 偉そうな父がいた。

 暗部たちは丁寧なお辞儀をして帰還で向かえ、俺は「ただいま」といいながら、一月で一回り大きくなったグレートウルフ事と母に抱えられているウルフの子供に近寄っていくと、シルコは俺の差し伸べられる手に嫌々をするように母の身体を上り始めて、頭にしがみ付いている。

 俺はその嫌がれように膝から崩れ落ちて心で唸る。

『ああああああああああああああああ』

 忘れ去られてるっていうか脅えられたーーー!!! またなのか、またぁーーーー!!!

 プッ! と噴出す母の声が聞こえる。

 父や暗部も笑っている声が聞こえて騎士たちが戸惑っていた。

 気配から母がシルコたんを地面に置いているがシルコたんは速やかに母の後ろに退避した足音と気配が伝わり、俺は不貞腐れて地面に無防備で転がった。

 もうしらん。もうやだ。もうおオルタイシに帰りたい。

 よし、帰ろう。

 俺はパチリと目を開けて、心休める我が家に帰ることに決めた。

 さて、そうと決まれば善は急げと立ち上がったときに事は起こった。

「失礼するよ。」

 声が騎士の詰め所入り口から聞こえてきた。

「ライド()、御子息のお出迎えの所に無粋に入り申し訳ありませんが、少々急ぎの件があり失礼いたします」

 身なりの良く確りとして何処と無く父に似ている男が副官と思われる男を連れて挨拶を父にだけして、チラリと俺を人目だけ見て鼻で笑いやがった。

 俺はすぐにこいつが何者なのかなんとなく理解する。きっと、第二騎士団団長のマフィン(・・・・)とか言う奴だ。

 美味しいよな、アレ。でも今はいらない。

 父は俺たちを隠すように一歩前に出てマフィンに聞く。

「急ぎの用件とはなんだ? 私は聞いていないが、ラフィン」

 睨み付けるように家族団欒を邪魔されて苛立ちがあるのか声音が強い。

 やれやれというように首を振り父に対して是正を行う。

「違いますよ、ライドさん(・・)。私の用件はうちから派遣した大隊長職をしているキカセが誤解を招くようなことをして捕まったというじゃないですか?

 上司として、何がどう誤解が会ったのか確認するために迎えに着たんですよ」

 ははははは。と、笑い声が聞こえるかのような怪しさを含む。

 俺は、思った。

『ラフィンだった! それと、』

「おい、そこのお前キカセの件が誤解だと? ふざけんなよ、このボケナス! 盗賊を派遣した冒険者だと偽り、それを咎めてつめれば切りかかってくるのが誤解か!?

 お前その年で呆けんの早くないか? 

 ソンなんが騎士団長をしてるならどんな事件も誤解で済まさせ、治安が悪くなるわ! 今すぐ団長職を返上しろや、このボケナス野郎!!」

 口悪く怒声と罵声を混ぜながらあったことを事実のまま声を出す。ついでに言うなら最後の言葉は心を込めてけなしてみた。俺を鼻で笑えなくしてやんよ!! そんな気持ちだった。

 男は頬がヒクヒクしているが笑みを増やして答える。

「ははははは、ライドさんの息子さんは下賤な血が混じっているせいで口が飛んでも無く悪いですね。

 どんな教育をしているんですか? 全く。

 それに、切りかかられたといいますがあなたが無事では無いですか? キカセは大隊長職を担うだけあり腕は一流、もし本当に切りかかっていたならば坊やの命は無いところですよ。」

 俺の悪言を逆手に取り、母を侮辱しつつ俺を馬鹿にする手腕をとる。

 そのことに母を溺愛している父は拳を握り、青筋を浮べて素晴らしい笑顔を振りまいて今にも殴りかかりそうな気配で足を一歩前に出す。

「父さん」

「分かっている」

 声をかけると、その一歩以上は進まない。

 それを見てほくそ笑むラフィンに俺は口を開く。

「一つよろしいかな、ラフィンとかいう、おっさん(・・・・)」

 ああ、すまないお兄さんかな? でも父さんと同じくらいだからおじさんでいいよね。と付け足してから、ヒクヒクしているラフィンに現実を伝える。

「キカセとか言う奴が強いって言ったけど、あいつはおじさんが思っているほど強くないよ。

 今ここでもっとも単純に強いものを上げるなら母だし、単純な魔力量が高く強いといったら俺だから……」

 あえておじさんと呼ばれたことないだろうから相手の怒りの炎に薪をくべ、一歩父の変わりに足を前に出して、誰の目にも止まらない速度と回りの空間に被害が無いように空間をコントロールして荒立てないようにして、とある奴の肩に肩車されるようにして続きを奴の耳元で伝える。

「……こんなことが出来るんだ。おっさん。」

 世界の広さを知らない蛙殿。

 確り肘を頭に乗せて昔下痢になるツボと言われていた百会(本来は精神安定とかホルモン調整、鍼灸にて)を圧迫してやる。

 奴の身体は声と重力と痛みが重なることで、ビクゥゥゥ!!! と、驚きすぐさま一番問題の痛みの解決に俺を振り落とす勢いで頭を押さえに掛かった。

 俺も速やかに肩から飛び上がりラフィンの近くに飛び降りる。でも、いつでの速やかに動けるようには身体に魔力を漲らせておく。

「人を馬鹿にするのは自由だけど、相手の力量がわからなくて相手を馬鹿にする存在をなんていうか知ってる?」

 近場で真っ直ぐいい笑顔を向けてラフィンに伝えると頭を押さえていたラフィンは無言で俺の言葉を促しているように見えたから満面な笑顔で教えてあげた。

「馬鹿っていうんだよ」

 バーカ。と声がしそうな気持ちで笑顔でいると、ラフィンはプルプルと震え顔が真っ赤になっているが、ここで先に剣を抜くと抜いたほうが不味い状況になるのを分かっているため息を整えて心を落ち着かせ始める。

「と、まぁ、魔力のコントロールでおじさんの目に止まらないほど早く動ける俺はキカセ程度には遅れはとらねーんだ。今のでわかんねーなら、マジで団長を退きなよ」

 のんびりと歩きながらもといた場所にゆっくりと帰っていく。

 父は自慢げに満面な笑みで腕を組んでいる。戻ってきている俺に、オブラートに何も包まないで、

「良くやったリカルド、だがいきなり人の肩に乗るのはいけないことだぞ、ひ(やわい)ラフィンが壊れてしまうからなっ!」

 マジ、スゲー嬉しそうだった。満面な笑顔だぜ。ちゃんと叱れよ。親だろ、

「し、失礼した。た、確かに、私が気がつかないほどには優秀な御子息なのは理解しましたが………」

「だったら、理解してさっさとどっか行けー」

 ようやく理性を取り戻したラフィンに棒読みで茶々を入れて、怒らせる方向に俺はシフトする。

「ううん。理解はした………」

「尻尾巻いてどっか行けー」

「理解………」

「早くしろー」

「理………」

「はーやく! はーやーく!! はーーやーーくっ!!!」

「………」

「はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく! はーやーく!」

 淡々と言う俺に対して言葉を発する直後から言葉を挟む俺にラフィンは………切れた。

「黙らんかっ!! この、クソガキがぁ!!」

 叫んだが俺は脅えず止まらず。それどころか、

「はーやーく! ほらっ! はーやーく! ほらっ! はーやーく! ほらっ! はーやーく!………………」

 へーい、へーい! と、煽った。

「それ以上言うなれば親の変わりに躾けてやろうかっ!!」

 怒声を上げて腰に刺さっている剣の鞘を握ろうとしているが既にそこに剣は無く。俺は、ゆっくりと、そして大きく指を上に向けて、注目を浴びる。

「自分の物はちゃんと自分で管理しなよ。お・じ・さ・ん!!」

 愉悦に歪んだ俺の笑み向けていると俺とラフィンの間にラフィンの剣がクルクルと回りながら落ちてきて地面にビーンという音を立てて刺さった。

 ラフィンは無言だった。副官はずっと無言だった。

 俺はシルコたんに振られた悲しみをついでにぶつけ心の安定をつかむ。

 腕を組む父と俺にラフィンは舌打ちを打ちそうな渋く苦い表情をして踵を突然返して詰め所の入り口に戻っていくが俺は入り口に入る瞬間透明な硬い塊を足元に設置して奴に引っ掛けさせたら蹴っつまずいで扱けて地面に手を着いていた。

「俺は、だっせっ!」

 聞こえるように、「けけっ」と笑うように言葉を吐くと、後から母さんが軽めに俺の頭にチョップをしてきて、

「まったく、やんちゃが過ぎるわよ、リカルド」

 朗らかな笑顔で窘めてきたがその後は頭を撫でられ、いつの間にかシルコたんが足元に来ておりくんくんと臭いをかいでじゃれ付いてきた。

 思い出してくれたらしく。俺はシルコを抱っこして思う。

 うん、重くなった。

誰かー、だれかー、愛を打っているところを知りませんかー?(投稿日2021.10.29)


あと、


悪役令嬢は観察する


というのを短編で書いたから興味ある人は言ってみて(21.11.14 2236時)

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