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公爵家の長男坊は皆から愛されている。  作者: 雪将
第四章     後編
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193 盗賊と騎士団  糞騎士 3


 始めましてから始まって現在村長宅に居る。

 客人用の部屋に通されており、改めて自己紹介をされた。

「座ったままで失礼します騎士様方。

 改めまして、イルノ村の村長をしております、アルバンと申します。この度は騎士様方に御要請していた盗賊討伐をしていただきありがとうございます。

 こうして子供達も戻ってきた、それだけで我々には望む者はございません」

 が、一つ思うところがあれば、なぜもっと速く討伐をしてくれなかったのか………と最後のほうボソボソと呟いていた。しかも聞こえるように、

 だが、俺達は首をかしげた。

「しからば少し失礼」

 俺は発言すると村長の目がこちらに向く。

 顔には出していないが、その目は訝しんでいる。『なぜ、こんな所に子供が?』と言うような。でも、騎士たちが俺を敬っている所と着ている装備が少なくとも小汚さがないから口には出さない。

「まず名から申し上げても?」

 お願いします。と村長が言うので、

「父はオルタイシの騎士を勤め、現在はエルハルム公爵の子息ライドの子、リカルド・ド・ライド・エスクワイアと申します。お気軽にリカルドとお呼び下さい」

 指名された席より立ち村長の見えるところまで行き騎士の礼で村長に挨拶すると、俺が立つと同時に他二人も立ち上がり、続いてなぜか俺の後ろでシグナルとノビルが礼を尽くした。

 村長は思わず飛び上がり、「失礼いたしました! 御子息様とは露知らず……」とか正直少しうるさかった。ソンなんどうでもいいわっ! と心で思ったが、顔には出さず、相手を立たせつつ落ちつかせてから、ちょっと聞きたいことが出来たのでそれを聞くことにした。

「お一つ村長殿にお聞きした頃がある」

「は、はいぃぃぃ、ぃいぃいかようなことで」

 まだ少し硬いがまぁいい。

「我々騎士団に盗賊討伐を依頼したと聞いたがそれはいつ頃の話? ああ、先に申し上げたいのだが俺達はちょっと理由がありここ(約)一月ハルトには帰っていないのだ。

 此度の討伐に関しては、走っている最中に砦の盗賊以外が商隊を襲っているところに出くわし、そのついでで砦を襲撃したに過ぎないのだが、アルバン村長殿いつ頃そのような話を我が家に出したのか、教えていただけまいか?」

 俺はこのとき少しばかしイラついていた。

 いや、村長の態度にではない。

 またか……また、騎士(色々な家の騎士の振る舞いに)がゴミクソやらかしていやがんのか~。とここの中の口で怒りの息を吐き出す。

 その間シグナルとノビルが身じろぎをして俺から距離をとろうとしている。後ろめいたいことでもあるのだろうか? なぁっ。

 目が合うとビクリと脅えているが、親しみの笑みを浮べると青い顔をし始める。

 失礼な。昔のことを全て許す気は無いがこれから変わろうとしている奴を殴る気は無い。

 あ、あの~と声をかけられてようやく気付く。

「失礼した」

「いえっ、公爵様というより騎士団の方へ届けを出したのはおおよそ20日ほど前になります。………」

 なるほど、と頷き俺は少し考える。

 考えてながらも少しだけ回りの表情を見回すと騎士共はどうでも言いとして村長は、何かをまだ言いづらそうにしている感じがある。

「アルバン村長殿」

 真摯に俺は彼に正対し見つめる。

「!」

「まだ、何か言いたいことがあるなら答えられよ」

 真っ直ぐ村長を捕らえていると最初は身じろぎをし始めたが次第にポツリポツリと語りだした。

 何でも、盗賊が近くの避難所(岩の洞窟)をいつの間にか要塞化したらしく、活動が始まった。

 そのしわ寄せで最初は金銭や食料を要求され、次第に安全で居たければ女の要求もされ始めたのだと言う。

 そのことで騎士団に要請を出したが、以下の通りである。

『騎士団を派遣するにも金銭が掛かる。

 安上がりに仕上げたいなら冒険者を雇え、もし失敗したらどうなるかは我らには関係ないがな』

 と言われたらしい。

 村長は3日3晩考え、村民達とも話説得をしたらしい。

 そして、今より14日前に村の蓄えの金銭を供出したのだと言う。

 だが、そこから一切の返答は無くなった。

 そうしている間に村の外へ勝手に出て行った子供が盗賊に捕まり、盗賊たちから身代金を請求され始めたが、村の蓄えは既に無く、あきらめかけていた所に俺達が着たとのことだった。

 村長は終わりに再度深々と頭を垂れる。

「ありがとうございます」

 と。

「村長殿、二つ言いたい。

 一つはどの騎士団に述べたのかを教えて欲しい。

 それと、二つは供出した蓄えの金額を教えてくれ」

「それはいったい………」

「どうして、とか、どういうこと? とかは要らない。本来公爵家で仕えている騎士は公爵家から給金が支払われている。民から正統な理由無く、金銭を奪うことは道理に反す。民の陳情を上に挙げ処理され命に従う者、それが公に従う者だ。

 此度騎士団が騎士団員かもしれないが誹らぬことをすれば罪に問うべき道理だ。

 故に、払った金銭は公爵家のものとして筋に通っていない、だから返す。今手持ちですめばそれを渡すが、いくらか教えてくれ。

 俺は、村の蓄えがいかに貯財するのが大変か知っている。それを奪うだけ奪って何も音沙汰内手合いはゆるさねぇ」

 だから、いいな。ギラリと視線を吊り上げて村長に尋ねると村長はスゲー怖い者を見る目で、脅されている村人の目で答えた。

 第二騎士団の団員であると言うことだった。

 ちなみの蓄えは俺の持っている金の3分の2で足りた。


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