25 一石二鳥 c
来週は出しません。今出します。
「解かりました。直ぐ兵を出しましょう。」
現大公よりすぐさまその言葉が出てきた。
瞳には強い意志が感じられる。
騎士ロロアは僅かながらにも武者震いをしている。
アリスは居心地悪そうに萎縮し、カールドはこれから起こる大騒動に野次馬根性が見られたから笑顔で一言告げておく。
「カールド! この、者取り騒動お前は強制参加だから俺の家臣と言うなら主犯にしてアリスを手篭めにしようとした奴等をお前自ら手柄を立てろ」
最初の文で(何で俺!?)驚愕な顔をしたが、アリスと言う名、言葉にカールドは横に居るフィアンセを見、自分の浅ましさに頭を垂れ、最後の言葉の後、強い意志を持った目で俺を見つめ返してきた。
まぁ、俺の従士に成ったとはいえ初めて戦争に参加する人間に何も求める事はない。もし求める事があるならば、戦場を体験し生き残る事を考えてほしい。出ないと、今後訓練をたくさんしたのに戦場で役立たずで笑われ逃げたり次の戦場で無謀に突撃し、死んでしまっては意味が無い。
ならば、まずは見ているだけでもいいから、戦いに参加している事を意識(戦の雰囲気)して慣れてもらわなければならない。
最初の戦とは一番大切なものだったりするものだ。
そういう意味では一石二鳥である。
今後騎士になり、人を率い戦える・個人として戦える人を育てるのに使えるし、プラス皇国の治安維持にも繋がる。
うん。一石二鳥だ。
うんうんと1人で頷いていると、カールドとアリスは何かいい雰囲気になっている。魔力を僅かに徴収し何が起こったのか理解する。ざっくりと言うと、
『アリス大丈夫か?』『カールド・・・・、ええ大丈夫よ・・・・』『強がるなよ、アリス。別に君がしたことではないじゃないか』『そうなのだけど、私もどんな理由であれそこに嫁ごうとしていたわけだし・・・・、その事を思うと少し・・』『・・・・君の憂いは』
僕が取り払うとか臭い事を言って、今いちゃついていている。
うーん、興味本位でカールドの格好付けなんて見るんじゃなかったと俺は後悔していた。
俺はロロアに指示を出している現大公に近づき一言だけ伝えた。
「今更ではあるけれど、この者取りの情報は外に漏れないようにしろ。逃げられたら面倒くせぇ」
大公は頷き、それを聞いていたロロアも頷き、それぞれの場所へ走り出した。
俺は後を見て、
「子作り(いちゃつくの)は後でしろ!」
この言葉に奴等は此処が何処なのか思い出したのか飛び跳ねるように離れ、お互いに頬を染めていた。




