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若学者 2 

c


 最初はカールド(若学者=子孫)が家に帰り、彼の部屋の中で、もっと言うならドアを開けた真横で『ウェイ!』を仕様と思っていたんだが、途中でやめて、彼に気が着かれない様に憑いていくことにした。

 すると、どうだろうか? 魔法図書に居たときに彼の魔力と共に好きな女の子との情報が流れてきたじゃないか? これは・・・・・ニヤリと思うよね。

 だから、気付かれないように憑いていった。

 まあ、半透明に成ったり、透明に成ったり出来るから気付かれようがないんだけどね。くくくくく。

 彼が、思い人と話し始める少し前に実体化して、喋っている間も笑顔で手を振ったり、人差し指で『シー』とやったりしていた。


 でだ、ハイ問題の押し倒しシーンに入ります!


 アリスは「キャッ」と小さな悲鳴をあげ、男は「わっ! わああ!!」と驚きの声を上げて地面に吸い込まれていく。

 痛くないはずなのに「痛ちちちち」と声を出す。

 それから、カールドは俺を思い出したのか首を振り返りつつ俺を見て騒ぐ。

「な!? 何でいるんだ!!!」

「いちゃ悪い理由があるのか! 子孫(小僧)!!」

 ここは俺の庭だ! ぁ、もっ、付け足せばよかった。

「答えになってねぇ!!」

「解答にはなっているはずだが」

「いや、そういう話じゃねーよ!!」

「まぁ、確かに。でも今は、お前の下敷きになっている御婦人に目を向けるが、男じゃねーかい?」

 ガナッて騒いで、興奮している若僧に少しドスを混ぜながら、彼の心を冷静に戻す。

 俺の険に少し及びこしに成り、冷静さを思い出したのか、直ぐに自分が巻き込んだと思われる女の子をカールドは見た。

 女の子は・・・アリスは、こんな間近くで、大人に成ったカールドを見たせいか、見てて面白いくらいに顔面真っ赤。

 もう、見てバレバレだよねー。これを気がつかないのは当人同士だけというテンプレ。

 馬鹿じゃねーの。と思いつつも、しょうがねーなーとも思う。

 だって、恋愛って当人同士が一番鈍感なのは何処の世界でも9割同じだと思う。間違ったら怖い恥ずかしいは誰にでもある。その後、学校で誤解が拡がり、居づらくなって、学校からスケープゴートが普通に出るのだろうな。

 まあ、こいつらの場合は、もう二度と故意に出会うことがなくなるだろう。

 だが、俺にそれが関係あるかというと、関係ないよね。はっ(にやり)

 そんなこんな考えていた時、子孫共は。



「ご、ごめん。アリス」

 今気がついたかのように、必死に謝るカールド。

 しかし、奴の手が彼女のおっぱいに手が行っていない時点で、揉んでいない時点でこの物語の主人公が彼でないことを指しているといえよう。

「う、うん・・・」

 手を、胸元で組むように身を縮めて頬を赤らめて少し寂しそうにしていた。

 カールドは「今すぐ退くよ」というとゆっくりと彼女を気遣いつつも上から退こうとしている。

 でも、事件は起こった。

 アリスがカールドに抱きついたのだ。

 カールド「え? ええ!?」と言って固まる。

 リカルド事俺は、勝手に魔法を使い、彼女の魔力吸収しながら、確認で記憶も貰う。

 で、ふーん。なる程と納得した。

 俺は優しい先祖だから、彼らの恋を後押しすることにした。

 でも、この光景は黙って見て置こう。

 

 で、5分たった頃アリスが口を開く。

 それまでカールドの奴、身動き一つしないで手も出さない。

 俺は心の中で苛苛しながら思う。

『このへタレ! 揉め、せめて、揉め! キスとか、しろ!! 女にそこまでさせて何もしないとかマジ金玉ついてんのかこのインポ野郎!

 俺の子孫だから死ねとは言わないけど、何もしないならモゲロ。ついでに禿げろ。

 女から、自分はあなたが好きと言葉ではなく行動で移してるんだから気がつけクズ!』

 いつ終わるとも知れない抱き付きを腕組んでみている俺の気持ちを考えてくれねーかな? いや、声かけるとか無粋はしないが。


 で更に5分。

 なげぇ。そして、すげぇと思う。

 野次馬が回りに一杯。女のこの方はカールドの胸に顔を埋めているから解からないのは、ギリギリわかるが、カールドは、視線とか振動とか色々気付いてモゲロよ。


 更に更に5分。

 いい加減店の外に行き帰って来ない看板娘の心配といつの間にか店の前の人だかりで着ている事に気がついた店主が出てきて、声を出す。

「何しとっとや!!?」

 「「はっ!!」」と気がついた二人が情況を確認するように回りを見て驚いている。そして、自らの行動に顔面真っ赤にして離れそれぞれ相手の顔を見ないようにそっぽを向いているが、店主はその光景を見て静かに激怒していた。

「・・・・カールド君・・・・、娘に二度合わないでくれ。それと・・・店にも来ないでくれ・・・」

 「えっ!」とそむけていた顔をカールドは店主に向ける。

 もう一方は慌てるように叫ぶ。

「お、お父さん!!」

「『なんで、そんな!』みたいな顔すんな子孫。俺が言うのもおかしいが、お前の思い人ちゃんは来月結婚前提のお見合いをするんだよ。」

 ねた晴らしをすると、何であんたそれ知ってるの!? と三人が俺に顔を向けた。

 俺は子孫にだけ解かるように魔法を使い、耳元で「いや、別に図書館の利用で魔力を貰ってるといったろ? 問答無用に記憶(コピーした思いでとか)とともに魔力を貰っただけだが、何か問題ある?」囁くような音量で語りかけた。

 俺のやっている事が最低? 人でなし? ははははは、俺魔法生命体だから人でないし、倫理とか道理とか無視してナンボだろ?

 ビクリと目を見開き、子孫カールドはアリスを見た。

 だから、こそもう一言だけ子孫カールドの耳元で囁いてやる。

「借金があるんだよ。金100枚ほど。パン屋を守るため、最悪家族が路頭に迷わない為に誰かが、割を食わないと生きていけないんだよ。

 だからこそ、俺はお前に聞くぞ! 如何するんだ。お前幼馴染の彼女アリスのことが好きなんだろ?」

 それを聞き終わると子孫カールドは顔を下に向けてしまった。

 それと同時に、店主が口を開いた。

「なっ、何で赤の他人のあんたが家の事情を知ってるんだ!?」

 勿論彼の言っているのは結婚前提のお見合いの話であるが、

「言って信じるなら喋るけど、信じないなら言うだけ意味が無いだろ? 如何する? 信じるなら喋るけど、聞く(信じる)? 聞かない(信じない・喋らないよ)?」

 喋ってみて思ったよ。

 傍から見たら俺彼らを馬鹿にしているように見えるな。

 現に見た目おっさん(俺の年齢から見たら小僧)が、一瞬呆気に取られるも直ぐに、口調が怒りを含んだものになる。

「なっ、何を別けのわからない事を言っている!! いや、そんな事はどうだって言い!! 人の家のことに口を出すようなことだけはするな!!!」

 オッサンは、動揺を隠すように娘の目の前に行き、彼女の腕を掴み立たせる。

 立ったのを確認するとそのまま引っ張って行こうと歩き出す。

 アリスは「お父さん!」と、父親の行動に戸惑いを見せている。

 俺は、地面に顔を伏せている情けない奴のところに行き、無表情で子孫の腹部を蹴り上げる。

 「ぐはっ!」と声を上げて、地面に転がる子孫。

 その唐突の声にパン屋の店主とアリスは立ち止まり、声の主の方を向く。

 無言のまま転がる子孫の元に行き、もう一度腹部を蹴り飛ばす。

「ガッ! ・・・・・・ぅぅぅ」

「なっ! 何をしているんですか!?」

 アリスは父の手を振り切って、子孫カールドの元へ駆け寄り、声をかけているが、俺にそれは関係ない。

 回りは突如おきた暴力行為に回りはとても静かだった。

「子孫よ。カールドよ。騎士という存在を知っているか?」

 アリスの言葉を無視して、俺は半眼で静かな声で子孫に、回りに聞こえるように語りかけていた。

 突拍子も無い言葉に回りは静かだ。中には考えているものやそれが如何した? 意味不明? 見たいに見てくる奴らが居たが無視して、俺は上から目線で言葉を続ける。

「騎士を知らんのか?」

 上から目線の言葉にゲホッと一つ子孫はむせつつも言葉にする。

「・・・・・し、知っているが・・・・・・それが・・・・・なんだ・・・・・?」

「そうか良かった。ならば、騎士とは一体なんだ? 答えろ」

 俺は手のヒラを子孫に向けると何か酷い事をすると思ったアリスが子孫を庇うように抱きつくが、彼の身体は淡く光輝く事態に見舞われる。

「な、何だ・・・これ?」

「カールド! 大丈夫なの?」

 子孫は自身におきている事に目を見張り、アリスは子孫に何が起きているかわからず焦っているように見えるが、俺はちゃんと答えを教えてやる。

「回復魔法だ」

 問答無用に突然暴行したと思えば回復魔法をかける俺に恐怖と驚愕の視線を向けてくる。

 だからこそ、痛みも引いた頃にもう一度見下ろすようにクズを見るように言葉を吐く。

「子孫。もう一度聞くぞ、騎士とは一体なんだ? 答えなければ、又殴り直す。答えるまで続けるからな」

 まるで死刑宣告を、拷問宣言をして死の圧をかける。

 俺の本気の目を前にして、血の気が下がっていくのか二人して蒼白な表情をして、怯えている。

「おい! あん・・・・・・・・っ」

 この事態を見ていたアリスの父親がカールドへの暴行や娘への飛び火しそうな強攻に声を大にして口にしてみたが、俺の瞳を見て呼気が荒く鳴り出す。

 戦争も殺しも知らない人間が命を欠けて生きてきた世代の殺気を浴びればこうなるのは必死。

 故にだ。

 解かるように行動に表わしてやる。

 左手を上げ、何かを握るように締め上げるようにゆっくりと手を閉じていく。

 すると、「グッ! ガァアアアア!!」と首に手を当て、もがき苦しむアリスの父がそこにいた。

 突如、リカルドとアリス父の距離が離れているのにアリス父が苦しみ悶えるのに理解が出来ない二人。(実際は野次馬達もだ)

 でも、俺が何をしているか直ぐにわかったカールド(子孫)が怯えるがそれでも大きな声を出した。

「やっ、やめろ!!!!」

「やめて欲しければ、お前の思い人の父が死ぬ前に質問に答えろ」

「わかった! わかったからっ!! 先にいまやっている事をやめてくれ!」

 叫ぶように悲鳴を上げるように答える子孫事カールド。そのカールドを黙って見つめる。その横では、吸気を止められていたアリス父がゲホゲホとむせながら地面に崩れ落ちて俺を横目で怯えた目で見てくる。

 「お父さん」と駆け寄る娘を目の端で見咎めるが視線は迷わずに子孫に向けたままである。

「さっさと、答えろ! 次は・・・」

 地を行く感情の無い声で、先ほど見咎めた女をチラ見する。

 それを直ぐにそれに気がつき吠えてみせるが、俺の視線は一切の感情なんか無い。

「アリスにっ、アリスにっ! ・・・」

「それが嫌なら答えろ! 騎士とは一体なんだ?」

「・・・・騎士とは、主君に忠誠を誓った者や戦場で貴族(主人)を守ったものに送られる貴族位・・・・だ」

 苦虫を噛んだように、負けを認めたように、恐怖し怯えるように、それでも戦う危害を無理矢理作って睨みつけるように、ゆっくり息を吸い、歯を食いしばり質問の答えを口にした。

 俺は奴の言葉を無言で聞き、僅かに首肯する。そして、口を開く。

「当りだが、半分以上外れだ。」

「「「・・・・・・・・」」」

 カールドは黙った。自身の言った騎士の説明が足りないといわれた事に。

 アリスは黙った。そんな事を言わせるために、そして、違うと言い切った男に畏怖を覚えて。

 周囲は黙った。カールドが行った事が騎士の本分だろ? 何で違うというんだこのアホは。

 だから、言葉をつぐむのはリカルドである。

「騎士とは、貴族と平民の間の存在である。時として、平民に寄り添い、時として主君を守る。

 同時に騎士とは、貴族の始まりの貴族だ。

 誰しもが一番最初はただの平民だった。

 そこにリーダーが誕生し、王や民を守る戦士が現れた。

 そのリーダーなる存在が王だ。

 その戦士なる存在は騎士だ。

 時代と共にもっとも功績を立てた存在に生まれた貴族位を着けていった。

 これが貴族の始まりだ。


 騎士には騎士の本分がある。時代により違いはあるが、おおよそは変わらない。

 民を守る事。

 主人を守る事。

 騎士の振る舞い、清廉潔白であること。

 これ等が優先される騎士の本分である。


 では、騎士への叙勲は如何されるのか。

 稀だが、その主人の気まぐれなんてモノもあるが、多くは戦場や政治の場にて多大な功績を得たものこれ等が騎士として叙勲される。

だが、もう一つの方法で叙勲される事もある。

その存在への敬意である。強くも無く権威もない、財力なんてもっての他だ。それでも、困難を知り、自身の弱さを知りながら強敵に(困難に)立ち向かう勇気を持っている者、勇敢である者に対して敬意を表すとき叙勲される事がある。

 それもまた、騎士だ。


 そして、もう一つ騎士と呼ばれる言葉がある。男と書いて騎士と呼ぶ。そういう意味を持つことがある。


 おカールド・・・・男(騎士)じゃねーな・・・・・」

 情けないとは、つけなかったが顔と態度で案に示してやったさっ。



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