1 歴史を紐解くもの c
ここに1000年続く大公国が存在する。
国名はエルドールハルハウト皇国。
首都エルハルム。
玉座に座るは、第28代ルーファス・シン・リカルド・エルハルム大公である。
が、ふとここまで読んで疑問に思う者をいるだろう。
というのも皇国を名乗っているのに玉座に座るは大公と言う事に。
大公国の歴史学者たちは当たり前に知っている理由。
そして、その理由は大公国民全てが知っている事から一般的な事実である。
今より400年ほど前の事になる。
当時の国王エルドールハルハウト皇帝は全ての皇帝としての任を一番の信頼を寄せているエルハルム大公に譲ると皇帝の位を譲渡した事に始まった。
当時の大公は何を思っていたかは知らないが、皇帝の名をもらう事は、臣下として恐れ多く、また名乗る事は出来ないと断り、しかし、皇国の名が歴史から消えることが無いように国名をエルドールハルハウト皇国とし、当時の諸侯をまとめ戦が起こらない様にするためにも玉座に座り王政を振るった事から始まる。
だが、何を思っていたかはわからないにしろ、大公家は心から皇帝を敬愛しており、皇帝が居たことを、皇帝に敬意を送る日として、その日を祝祭の日とし、国を上げての祝い(祭り)の日とした。
また、皇帝を名乗ろうともしなかったが、大公の由来でもある。
そして、今日はその祝祭の日であった。
第28代エルハルム大公はあることを決めていた。
エルハルム大公家にとって、もっとも謎の多い人物の隠された秘宝を公開することに。
これは現大公ですら、今まで初代大公について、誰も知らないお話の始まりである。