遊びの誘い
書きだめが切れた?ならば早く書けばいいじゃない!
……書ければいいなぁ
災厄少女「出番早く下さいよ。何時までタイトル詐欺するんですか?」
……ごめんなさい
初めて魔法を使ってから二ヶ月が経った。
魔力切れで意識を失ってからほぼ1日眠って過ごしたらしく、メレナさんがものすごい心配していた。
……魔力切れの反動があんな感じとは魔法教本には書いてなかったんだし、予想も出来なかったんだよね。申し訳なかった。
この二ヶ月でわかった事が幾つかある。
魔法のことなのだが、まず一つ目。
"魔法は放つ前に形を変えられる"
それだけかもしれないが、それはかなり重要な事だと私は思う。
基本的に魔法「ウォーターボール」は直径約5cmくらいの水球を生み出す攻撃魔法だ。
だが、球体よりも威力が出る形に……例えば、銃弾や槍状の形状を変えてしまえば、恐らく同じ第一階位魔法でも威力がかなり変化するのではないか。
場合によっては針のような細さにすれば音もなく殺せてしまう……なんて考えてしまう。職業柄かね。
さて二つ目。
"魔法は大きさを変えられる。しかし、変化させればさせるほど魔力を消費する"
これは言葉の通りだろう。
魔法を大きくして火力を上げるのも、小さく精密な作業をするにしても魔力を使う。
この法則があるから魔法を針の細さに加工しても縮小で恐ろしいほどの魔力を使ってしまうんだろうな。残念。
この二ヶ月は基本的に魔法の研究と自分の最大魔力の底上げを行った。
魔力の底上げはのやり方は教本には書いてなかったが、私が勝手に
「魔法は体力と同じで使っていけば量が増えるのでは」
なんて考えて、寝る前に適当な魔法の拡大、縮小を繰り替えして魔力がなくなればそのまま睡眠……とやっていたら気がつけば魔力切れが減っていた。
つまり、魔力を使い切る事で最大魔力量が増える……と。
まあ、教本で書かれていたように魔力が増えるであろう10歳までの期間限定となってしまうのだが。
そんな感じで二ヶ月過ごしていた訳だが、いつも通り教会の書斎に籠ろうとドアノブに手を伸ばした私にメレナさんから声がかかった。
「あの……オルトちゃん?」
「ん……メレナさんですか、なんでしょうか」
メレナさんが会話を振ってくるのは珍しい。
いつも遠巻きに見ているか独り言を聞かせてくれる程度だったのだが。
初会話じゃないか?2年間で初めての。
「ええっとオルトちゃん。最近ご本のお部屋に行っているけど……ご本読むの楽しい?」
「うーん……楽しい、ですか。そうですね……」
少し悩む質問だな。どちらかと言えば知識を深めているというのが理由だ。
が、楽しいのも事実。
いいや待て。確かに精神はとっくに成人しているが、外見は二歳児の幼子だろうが。
ここはメレナさんが話しかけてきた事の意味を察せれば……
「楽しいですよ。メレナさんも、本を読みますの?一緒に読みませんか?」
「…………………えっと、そうね……」
……違ったらしい。確かに前世ではこういった心情を読み取ったら……
ああ、仲間たちに「なんか人と一歩ズレてますね。全然違いますわ」とか言われてたわ。
「ごめんね、一緒にご本を読むのまた今度にしましょう。今日はオルトちゃんにお願いがあって来たの」
「お願い、ですか」
「ええ、実はオルトちゃんと同じ位の男の子が二人いるの。オルトちゃんと一緒に遊びたいーっていっているんだけど良いかな?」
「いいですよ。遊ぶのはいつになるんですか?」
同じ位だと二歳の子か……
二歳の子って何をして遊ぶんだ?前世ではずっと軍事訓練してた訳だから、何をするのか想像できない。
考えを巡らす私の裏腹に、メレナさんは嬉しそうに声を上げる。
「ありがとう!えっと、今からでもいいかしら?二人共別のシスターと一緒に中庭で待たせているの。」
今から、か。いや全然いいんだけどさ。うん仕方ない。魔法は少しお預けかな。
「わかりました、中庭ですね。」
「そうよ。では、一緒に行きましょう!」
そう言うとメレナさんは私の手を引いて歩き出した……って歩幅の差を考えてくれっ!速いってば!
※オルトは二歳児がどんな話し方をするのか知りません
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