初級魔法実践編
書きだめをもっとしておけば良かったと思うのです
_(:3 」∠)_
行き当たりばったりな筆者です。
さて、せっかくなので魔法を使ってみたいな。
とりあえず私は、最も簡単な魔法「第一階位魔法」を初級魔法教本片手に使ってみることにした。
魔法は3種類の発動方法があり、「詠唱」と「魔法陣」、又はその両方がある。
詠唱は魔法を発動するための呪文を唱える方法であり、魔法陣は魔法を発動させるための陣を描き、魔力を注いで魔法を使う方法らしい。
魔法教本には魔法陣と詠唱の両方が載っていたが、詠唱が主流らしいし、魔法陣の書き方を知らないし、書くものもなかったので、そっちで練習することにする。
術としての規模が大きくなると詠唱と共に魔法陣を併用したりしなければいけないらしいが、まあ最初は大丈夫だろう。
それと、魔法を使う際には杖が必要となるらしいが……ないものをねだっても仕方ない。
とりあえず水属性魔法をやってみるか。こちらに来てから初めて見た魔法だしな。
書斎についていた開閉式の窓を開け、そこから打ち出された魔法が出ていくように手を向ける。
よし、準備は出来た。ええっと詠唱は…
「数多に輝く水の精霊よ、流麗なるその力を我に宿し給え」
1年前に見たきれいな水球の魔法をイメージしながら詠唱していくと、全身が熱を持ち始めた。心地よい熱が全身を覆っていくような感覚だ。その感覚が手の先へ集まり始めるのを感じ、私は発動の言葉を言い放つ。
「『ウォーターボール』!」
その瞬間、手の先に集まっていた熱が美しい水球へと変化した。
おおっ、とりあえず魔法が使えたな!
私は魔法を使ったのだ。前世になかったものが使用できたのは嬉しいな。
相変わらず魔法に対する疑問は沢山あるのだが、今は出来たことを喜ぼう。
おっと、少しはしゃぎで過ぎてしまった。落ち着いて実出来ることを確認しよう。
まずはこの水球を動かす事。イメージ、前に前に……よし。少しずつではある水球は前方へ飛んでいく。
その感じで左右や上下に水球を動かしていく。
慣れてきたところで八の字に動かしていったりと動きを大きくしてみたりする。
うん。なんか楽しい。魔法属性による見た目もあるだろうが、自由に操れるヨーヨーみたいだな。
さて、水球の扱い確認も出来たし、あとは発射だな。
私は開いた窓に狙いを定め、水球を構える。
イメージとしては弾丸。引き金を引いたら勢いよく飛び出していくように。
ついでに手も銃の様な形にしつつ、脳内で引き金を思い切り引く。
「パァン!」という音と共に、水球が手から勢いよく外へ飛び出して行った。
「よしっ、せいこう……」
それへの感傷に浸る時間もなく、私の身体は床に崩れていった。
あれ、なんで……?ああ、魔力切れか……
確か魔法教本には、魔力がなくなりそうになると、身体が危険信号を出して魔力回復を最優先させるとか書いてあったな。
何かをしようにも体が言う事をきかず、そしてやってくる強烈な疲労感と睡魔。
気がつけば、私は気絶したかのように眠っていた。
ただ、意識を手放す前に私は見た。
水球の形が大きく崩れ、私のイメージした物の形となっていることに。
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見習いシスター メレナの日記
文月の刻 第十六日 晴れ
春が終わり、そろそろ夏本番となっていきます。
お仕事を終えた私の癒しは子供たちの可愛いところを見ることです。
いや、深い意味はないですよ。ただ純粋に子供たちを見るだけです。はい……
……そんな話はいいんですよ。
最近オルトちゃんが書斎に籠るようになりました。
私達シスターは文字なんて教えてないんですが……なーんて思ってたら、どうやら神父様が聖書を読み聞かせてる時に流れのまま文字を覚えさせたそうです。
神父様曰く、「この子は神のお言葉を聞き、理解している。ならば主の教えを読めるようにしても良いではないか」
……とおっしゃっていましたが神父様、オルトちゃんは二歳児です。
オルトちゃんの同年代の二人……ソール君とアクラ君はやっと歩き方もしっかりしてきて、走ったり、跳んだり、活発に外のお庭で動きまわるようになったんですよ。
それに、言葉だってやっとぽつりぽつりと言える程度ですよ。
そんな子達が言葉と文字をすぐに覚えるなんて……
……オルトちゃん、貴女は天才ですか!
やっぱりそうですよね最初見た時からそんな感じがしてましたよあの頃は確かに何かを感じさせていた気がしましてやっぱり……
……おほん、オルトちゃんにお願いです。できればソール君とアクラ君と一緒に遊んであげてください。
みんなと遊ぶのは楽しいですから!ねっ!