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ダンス・ウィズ・デスティニー -少年よ、勝利に賭けてみないか?-  作者: フォックストロット・ファンケルビー
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仲間になら信頼できる!とでも思ったか?

「シュン...」

周りの者は少々青ざめた表情で俺から離れていく。


え、なに?顔になにかついてる?


多少傷ついたが、まぁこれも試練の一環だ、と自分で納得し、俺は一旦自分が今入っている状況を再確認した。


まず、魔法学院ウォアーには入学できた。

わぁい!おめでとうトビアス!

ふっ、有難う、心の中の声よ。


次に!俺は自分のディエティーを選ぶために、このホールへ来た。

するとどうでしょう!俺にはディエティーが二人もついていることが判明!

一番最後にディエティー二人持ちは、なんといない!俺が初めて!

すごいとしか言いようがないらしいが、自分ではあまりわからない、今考えると確かにちょっとすごいんじゃね?程度である。


今夜止まる宿を探しに建物を出た。


「しっかしここの敷地はでかいなぁ。」


今まで都会のほうで住んでいたため、こんな広い野原を見たことがない。永遠に続く緑を見ると、ちょっとだけわくわくしてくる。



歩き回っていたら先生らしきものに引き留められた。

彼女はおしゃれな白いジャージコート、それに合わせた白黒のニーソックス、しかも幼姿であるため最初はこの学院の付属小学校から迷い込んだのかと思っていたが、首にかけている関係者用のネームプレートを見れば、先生だということが分かった。

いやぁ、助かったよ。気づく前に声をかけていたら絶対ひどいことになっていた。この方は多分ほかの人から幼い子扱いされていて大変苦労しているに違いない、そのため純粋な間違いでも多少は起こるタイプだろ、もう少し大人になってもいいのに、ったく。


「あんた、あたいのことなめてんか?」

先生が怒っている、しかもからんでくる。

めんどくさい人だ。

「あぁ?聞こえてんだよ、あんたの愚痴が。」

先生はさらに怒ってしまったのか、手にはいつの間にか竹刀があり、地面をたたいている。

彼女の反応からすると、俺は考えずに自分が思っていたことを口に出したのであろう、いや、そんなはずがない。どうしてだ、なぜ俺の思っていることが分かる。

ハッ、と気づいた。

この人は俺のことが好きなのか?

「んなわけあるかボケぇ!」

竹刀が顔面に迫る。俺は悲鳴をかすかにあげながら必死によける。よけた際に足が崩れ、俺は前に転ぶ。

なんの幸運なのか、俺はそのまま先生の顔面をつかんでしまい、勢いで地面にめり込んでしまった。

彼女は失神した様子で、目は回転している。

周りがやけに静かになったかと思うと、皆は動くのをやめ、俺のことを見ていた。

俺はすぐさま先生を持ち、とにかく逃げた。


そのあと、俺の武勇伝の一つに、「学校初日に先生との喧嘩、挙句の果て先生の顔面を地面にめり込んだ」と今でも伝えられているらしい、って古い友人から聞くだろう。


―――


まあそのあと色々とあったが、結局その先生に説明+謝罪をしたら、俺のハウス、デスティニーの宿場に案内された。そこはいかに怪しいとでも言えるビルであり、なんか窓の一つから煙が立っている。


「って、あれ火事じゃないっすか?」

あわてて俺は煙の方に指をさす。

先生は鳴れているかのように、あくびをし、「どうせまたガキどもらが遊んでるだけだよ、気にするなよ。まったく、若いのにいちいち突っかかるねぇ。」


あれ、今なんかふつうに愚痴られた。俺何かしたっけ?


建物に近づくと、、そこには多数の生徒達が戯れ、カードで遊んでいた。


聞いてみると、皆ある程度の額を博打で稼げなければ宿場には入れないらしい。


もう外で野宿は当たり前という、なんとも言えないクソルールである。


だが俺だったら違うだろう。なにせ今までずっと裏カジノでカード技術を学んできたのだ、ここで役に立つために俺はこの18年間ずっと訓練したのだ。

自身満々な俺、適当に皆がおるところに自分も席をつき、ギャンブルを始めた。


―――


野宿など初めてである。


どうやらデスティニーに入っている人達は常人よりも運性が高くなるらしい。

ハウスの一人として長くいればいるほどだ。


運悪く、俺が席着いたのはもうドームに入っていて、他の生徒を入れないために遊んでいる上級生たちのグループであった。それを気づいた瞬間俺は立ち去ろうとしたが、なんかごっつい面のおにぃさんが後ろに立っていて、俺はなかなかたちがられなかった。


先輩たち、ひどぃぞ。。。


彼らはどうやら皆カードプレースメントが上手く、聞いてみれば有名なカジノのディーラーばかりであった。何故こんな学園にそんな人達が集まってるかは余りわからない、っていうか自分もディーラーであるため、ほかのやつらもそうであろうと思うことがなかったのには、ちょいと恥ずかしい。


俺は見た事のないテクニック、そして焦っては冷静な判断ができなくなるという最悪の事態に陥った。


乾杯だ。先輩たちは満足そうに頷き、俺から服もとった時点で、俺を彼らの戯れから放り出された。俺はパンツ一丁の姿のまま、人から逃げるように森へと逃げた。


これから長々と野宿するだろうと思いながら、夕飯の獲物を狩りに行ったのだ。決してほぼ裸ということにはじいているわけではないぞ?まぁ、筋肉など全然ないし、ちょっと細い方ではあるけれど。。。


え?俺は狩りが出来るかって?バカを言うな俺がそんなのできるわけがない。都会の子をなめるな。

だがこれからの事、また先輩みたいな人たちに絡まれることを考えると、他に頼るよりはまず自分で生きていく作法を学ばなければいけない。

古代の人々もそうしてきたのだ、自分ができなければおかしいという所だ。


というわけで、森に入って自分で獲物を捕らえようとしたが、忍よっていると思っていたのに、動物が小さな音すらも察知し、逃げていくことだ。


うむ、うまくいくわけないっか。


というわけで自分で罠を作ろうとした。ロープなんか持っているわけがない、なので小さな穴を掘り、長い枝2本重ね、その上に近くにあった植物類で穴を隠す。あとは待つだけという事なので、とりあえず一旦ハウスへ戻る事にした。


もう慣れている人達はグループを作り、皆キャンプ状態でワイワイしながら何処からか飯を食べていた。誰のグループにも入っていない人達は少なく、外際で彼らの事をジッと見ているのは自分だけであった。


「お?もしかしてトビアスか?」


ここで俺の元に来た一人の男。


金髪に常時笑顔という、リアルが間に感じれる奴だ。何故俺に話しかけてくる、どっか行ってくれ。


と思いながら、よく見たら彼は赤の他人ではない事が判明した。昔俺が少しの間スリの作法、ちょっとしたシャッフリングのテクニックなどを見せてあげた者だった。


「あ、久しぶりだな-」


あれ?名前なんだっけ。


「ええっと、モンタギュー?」


俺の問いに彼は軽く笑う。


「なんだよトビアス、もう僕の事を忘れたのかい?マルコムだよ、マルコム。」


そういやいたな、そんな奴。


「あぁ、そうだったそうだった、悪い。」と謝りながらも、俺の周りにどんどん寄ってくる人混みを横目でみた。


なんだ。やはり何処にでもこういうイニシエーションはあるってことか。


俺の面を見て何を考えていたのかを分かったかのように、マルコムは言う、


「フフ、ゴメンねトビアス。ここのルールで、新人は先輩達からたっぷりと可愛がられなきゃいけないんだよね。」


マルコムの目を見る。実にいい目をしている。情けなどは欠片もなく、これから起こることをたいそう楽しみにしていることが伝わる。


そういや彼に初めて会ったとき、彼は町の連中にいじめられていたのか、道路の横で泣いていたよな。


「マルコムも、すっかり腐りきったのだな。これじゃあの時助けたことを後悔してしまうよ。」


マルコムにそう言ったら、彼は笑顔のまま一瞬凍りつき、一瞬だけ彼の笑顔は怒りでゆがんだ。


すぐに彼は立ち直り、醜悪な笑顔のまま、彼は言った、


「そっか、そりゃごめんね。」


すると後ろからなんらかの衝撃を感じた。振り向こうとしたら、体が言うことを聞かずに倒れた。どうやら棍棒らしき物で叩かれたらしい。そのまま地面に倒れている俺を、無数の人達が蹴り始めた。


マルコムはその中の者ではなく、離れた場所で見ているだけであった。


「本当にゴメンね、トビアス。でもあまりにも反抗的な者は、こうやって大人しくさせるのが一番効率良いって、僕も初日に分からされたものでね、まあせめてこれから仲良くやっていこうね?」と言うだけ言ったら、彼はキャンプへ戻り、俺の始末を彼のグルがやるかのように迫ってきた。

最初のやつが俺の腹に思いっきり蹴りを入れたところで、俺は失神をした。


―――


俺は身体中痛みを感じながらも、どうにかして背中に寝る事ができた。夜空はやっぱり綺麗だよな。そうやって上を見上げていたら、ハウスの4階の窓の一つから美少女の顔が見


えた。朝俺にぶつかった奴だった。彼奴もデスティニーだったのだな、と思いながら、苦笑いした。顔を動かすだけで痛い、身体中が痛い、何よりまだまともに考え事できる時点で何かおかしいと感じた。もしかしたら俺いかれちゃったかもな。


そんな酷な状況の中でも、俺は笑うしかなかった。目から流れる赤く染まった涙が地面にポタポタと落ちながらも、俺は笑顔をやめなかった。


「お前は、強いな。」


何処からか声が聞こえた。


その声は俺の体の芯をも揺らす程の声であった、なのに聞くのが辛いわけでもなく、ただたんに響いた。声がきた方向を向いても誰もいない。


「我に会えるにはまだ早いからのう、お前は今はこれだけで勘弁してほしい。」


そうやって時間が経つにつれ、俺の体の痛みは消えた。


「これからの成長、期待しているぞ。」


声はそう言い、消えた。


俺はそのまま地面に寝転がったままでいた。


もう十分動けるくらい体は癒えたにも関わらず、ただ単に疲れていたのだ。


すると森の方から、なんらかの悲鳴が聞こえた。


すると体は勝手に動き出し、俺はその声の方面へと走って行った。

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