工事中
工事中
…はっ!?
何時の間にか寝ていたみたいだ、それにしても頭が痛い、なんでだ?
あ、自分で叩いて何言ってんだ、アホか
ベットの上で寝転んでいたままでいたら窓から光が入ってきたのが見えてきた
ベットから起き上がり服を着て窓から外を見ようとすると日の出の光が顔に当たり眩しくて見れたものじゃない、なので目を細め外を見ると眼下で少人数ではあるが人が外で動き出しているのが見えた
考えるにこの町の人達が活動を始める時間は日の出辺りだろうか?
そんな事を考えつつトイレに行った後、洗面所から取ってきた歯ブラシで歯を磨きながらぼんやりと窓から見える風景を眺め続けているとドアをノックする音が聞こえた。
窓から離れドアに小走りで向かい鍵を開けドアを開けると『44--』と書かれている木の板が付いている鍵をこっちに突き出した状態で持ったお姉さんが立っていた
「…|おひゃひょうごじゃいまし《おはようございます》」
「ああ、はい、歯磨きが終わったらこの中に入ってる服に着替えてから私と一緒に下の食堂に行きましょうね」
お姉さんはそう言いながら突き出していた鍵をズボンのポケットに仕舞うと僕のリュックを持ったまま靴を脱いで部屋の中に入って、そのまま足元の予備のスリッパを履いた
お姉さんを待たせる訳にはいかないので手っ取り早く歯磨きを済ませて洗面所で口の中や顔を洗って置いてあるタオルで顔を拭いてから
お姉さんにリュックを渡してもらいお姉さんから見えない所で着替え始めた
だが、着方がわからないズボンのようなのが一枚
「あの、すいません」
僕はお姉さんに物陰から声を掛ける
「なんでしょう?」
「この、ズボンみたいなこれはなんでしょうか?」
僕は物陰からズボンみたいな物を腕だけでお姉さんに見えるように突き出して見せた
「それはズボンの下に着る物なんですが、もしかしてあなたの世界には無かったのでしょうか?」
「それって…下着ですか?」 まさか、そんな筈は無いだろう
「下着では無く下着とズボンの間に着る物で『レギンス』と言います」
「ああ、レギンスですか」 聞いた事あるや
「聞いた事あるのですか、それなら大丈夫そうですね」
「はい、多分大丈夫です」
と、会話しつつレギンスとズボンを着ると、僕はお姉さんの前に出てきて「これで大丈夫でしょうか?」と言いながらお姉さんの前で一回転する
「…はい大丈夫ですね、それでは行きましょうか」
お姉さんが言うが早いかドアから外に出て、僕が外に出てくるのを今か今かと待っている
僕はドアの近くに置いていた鍵を掴み、『靴』を履いて部屋の外に出て
ドアの鍵をかけちゃんと鍵がかかったのを確認すると鍵をポケットに入れながらお姉さんと一緒に階段を使い下りる
しかし1階に下りずに2階でお姉さんが廊下に出てしまった
お姉さんはそのまま廊下を進み『4-2-6』と書かれている扉の前で止まるとその扉をノックし
「チィー兄弟、出て来てください」
と扉の向こうに声を掛けた
「チィー兄弟って誰なんですか?」
「あの三兄弟の事ですよ」
そんな名前だったんだ、いやそれよりも
「食堂に行くんじゃなかったんですか?」
と、お姉さんに疑問をぶつける
「はい、行くには行くんですがついでに三兄弟とこれからの話をしようと思いまして」
ついでなのか
「しかし遅いですね」
お姉さんがその呟きと共に再度ノックをしようと手を動かしたのと
「はいはい、ただ今」
その声と共にドアが音を立てて横に動いて開くのは同時だった
お姉さんの握りこぶしが男性Aの頭の横を綺麗に通り過ぎていく
男性Aは真横のお姉さんの握り拳を見ると口から
「…えっ?」
と驚愕の声を漏らす
「…私、何かしましたか?」
男性Aがお姉さんに問うと
「出てくるのが遅かったです」
と返すお姉さん
「すみません、昨日の事で疲れて今さっきまで寝てました、弟二人は今も寝てます」
弟二人?じゃあ男性Aさんが長男か
「あら、そうですか。食堂の個室で三人と話をしようと思っていたのですがね…」
「それなら起こすので先に食堂に行ってください、用意ができ次第すぐに行きます。場所はいつもの所ですね?」
「そうです、それではお先に」
その言葉と共に扉が閉まった
お姉さんが階段に向かって歩き出したのでその後を追って今度こそ食堂に向かった
____
お姉さんと僕は食堂の個室の中でお姉さんのオススメの
『タピオカみたいな食感の木の実のスープ』と、おなじみのパンと小さな唐揚げのような物を食べながら、ここの3階は団体部屋、2階は数人用部屋、1階は一人用部屋とお姉さんから話を聞いていると男性三人が朝食を持って個室に入って席に座った
「遅くなってすみません、それで話とはなんでしょうか?」
と、男性Aつまり長男さんがお姉さんに聞いてきた
「はい、話はこの転移人の誠也の『お金を返す』の事についてです。誠也さんがお金を返すのに貴方達は快く承諾してくれましたよね?」
男性Bさんが思い出す素振りをし
「…しましたね」と呟いた
「そこで貴方達の魔物討伐に連れて行ってください、これは命令です」
男性三人は顔に驚愕の表情を浮かべその中の男性Cさんが
「え、命令ですか!?でもそれは何故ですか?お金を返すなら普通に働くのが一番では?」
と驚いた声を出す
「彼に常識等を教えるのと自分だけで戦えて稼げるようにも含めてです、あと貴方達にそれなりの報酬が出ます」
「そうですか、まあ命令ならするしかありませんね」
男性Cさんがそう呟いた後にパンを齧った
「では連れて行く期間と約束事を伝えますね」
と、お姉さんが三人に伝えたのは
僕が三人に連れて行ってもらう期間は今の予定では今日から『20日以上30日以内』この期間は国に手紙を送ったのでそれが返ってくるまでで、その手紙の内容によっては期間が延びる可能性があるとお姉さんは言った
そして最優先は『なんとしても谷崎誠也を守り無事に帰ってくる事』
「…まぁそれは守りますが一つ、気になるのが『私達が稼いだのを分ける』とかはしませんよね?」 男性Bさんが恐ろしい事を言い出した
「それはしませんよ、あくまで貴方達には彼のサポートをして貰いたいだけです」 お姉さんがにこやかに笑いながら男性Bに返す
「では防具や武器等はどうしたらいいでしょうか?」
「防具だけは話をつけてるので取りに行ってください、武器は確かあの荷物の中に剣がありましたよね?それを使わさせてあげれませんか?予算とかの関係で武器まで手が届きません」
あと少ししたら用意出来そうなんですけどねー、とお姉さんは話しながら折りたたまれた紙をを取り出し長男さんに渡した
「わかりました、それとこの紙は見せればいいんですね?」 長男さんが紙を懐に大事に仕舞いながらお姉さんに聞いた
「はい、それを見せたら裏に入れてもらってそこでこの転移人の体や希望にあう防具を選んでください」
…若干本人置いてけぼりな件
「あの、選べるなら動きやすいのがいいです」と僕は呟いた
「動きやすいのですか?確かに動きやすいのはいいですがそれでは防御力が落ちるので意味無いんですよねぇ…」お姉さんはそう呟いて腕を組んで顔をしかめっ面にした
「当たらなければどうと言う事はないです」 僕が呟いたその一言でお姉さんの顔がさらに険しくなった
「…まぁ実際に確かめてください、ですがまともに喰らったら一撃で瀕死でしょうがね」
自分で試せと!?
そう思ってしまったのがいけなかったのか
お姉さんに
「貴方が防御力いらないと言ったからでしょうが!」
と怒鳴られてしまった
怒るのはもっともである
「すみません、魔物の事を何も知らないので防御の重要性が分かってません。しかしそこまで怒る理由があるなら防御重視にします」
「…いえ、こちらこそ魔物の事を知らないと言う事を失念していました。魔物は凶暴なので防御重視で戦った方がいいのです」
僕とお姉さんがお互いに謝罪する
その間に男性三人は食事を終えており
「…では出かけに行く準備をしますね、集合場所は掲示板前で」
と長男さんは言い残して個室から出て行った
____
僕とお姉さんは食事を終えて
食堂から出るとお姉さんがギルドの仕事に行くと言ったので
僕は
「何か魔物退治に必要な物はありますか?」
と聞くと
「いえ、今は特にありません。必要なのは物を入れるリュックぐらいですね」
と返ってきた
それと外出時には部屋の鍵はカウンターに預けておくらしい
お姉さんと別れて部屋に行きリュックを引っ掴んで1階の掲示板前に行くと既に男性三人が鎧のような物を着て立っていた
カウンターに鍵を預けてから
「遅くなってすみません」
と謝ると男性Bが
「いえ、我々も本当に今来たばかりなので大丈夫ですよ」
と言った
そのやり取りを見ていた長男さんが
「じゃぁ防具屋に行くぞ」
と、言うが早いか歩き出した
僕と男性BCさんは長男さんを駆け足で追いかけた
____
ギルドから出て4人で少し歩いて行くと目的の防具屋に辿り着いた(道中鎧を着て動くのは動きにくいのでは?と聞いた所慣れたそうだ)
防具屋の中に入り長男さんが紙を見せるとお姉さんが言った通りに裏に入れてもらい体に合う防具を試していった
結果的に体に合うのを選び、今は選んだ一部の物を装備する事になった
装備しているのは手甲のような物とそれの足版の脚絆と軽い胸当てと硬い帽子だ
それなりに動けるまでの装備にしないと動きにくいのだ
装備を全部つけたらさすがに戦えない
なので余った装備はギルド内の自分の部屋に置いておく事にした
今装備しているのは一応防御重視である
僕ら4人は門を記録をつけてから通って外に出た
その時隊長さんを見かけなかったので近くに居た兵士1さんに聞くと今日から休みだそうで娘といっぱい遊ぶと楽しそうに話していたそうだ
そして外に出ると長男さんが森に向かってそこで魔物を倒すと伝えてくれた
その森へ歩き出すと共に僕と男性三人はお互いに自己紹介等をした
男性A・長男さんの名前はチィー・ダリー
男性B・次男さんの名前はチィー・エント
男性C・三男さんの名前はチィー・バルト
だそうだ
そして三人共ギルドに入れているので怪我等が早く治る能力?を持っているのは明らかだ
そして魔物の事(しかしこれら事実とは限らないらしい、まだ分からない事が多いのだとか)
魔物は魔素が集まってできる(この時の魔素の動き等は不明、そして魔素が集まる時なぜか微風が吹くらしい)
そして体内に魔石と命名された濁った色の結晶が最低一つあってそれが損傷等した場合生命維持が出来なくなって死ぬらしい(魔石が何の働きをしているか不明)
そして所有者等はなぜ所有者等があるのかと議論になっているが(ステータスや鑑定とかの議論はどうなんだ?)これは『分解』に関係するのではないのかと言われている
分解は所有者が決まっていない・分解を発動する人の所有している魔物(又はその一部)を文字通り分解して『元素』に変えるらしい
あの門で『消した』と言った人はこれを使ったと言ったのだろう
そうこう話していると森に着いた、道のりは体感で歩いて30分位に感じられた
そして森に入るときにダリーさんが持っている荷物の中から剣を二本とタオルに包まれている剣を出してきた
「鞘が無いって話だったからタオルで包んでるんだ」
とダリーさんは言いながらタオルに包まれた剣を差し出してきた
そして僕は差し出されている剣を持つと一つ気がついた
このタオルが巻かれてる剣とダリーさんが持ってる剣、ちょっと違う
ダリーさんの剣の形が例えるなら十字に対して僕が持ってるのはその左下に『L』の字がくっ付いているかのようにハンドガードが付いているのだ
そして、剣のタオルを外すと共に思い出した
「あ、思い出した。これ切れ味無いんだ」
その一言に三人が驚愕の声を漏らしエントさんが
「ちょっと見せてください!」
の一言と共に半ば奪うように僕の手から剣を奪うと三人で剣の刃の部分を穴が開きそうな勢いで見つめた後
バルトさんとエントさんが
「どうする?戻って訳を言う?」
「いや、それだと時間が足りない」
と話合った後
「「…どうする?兄さん」」
とダリーさんに振った
そしてダリーさんから返ってきた返事は
「………まぁ持ってるだけマシだ!このまま行こうぜ!」 おい、そりゃ無いよ
と、僕らは森の入口で騒いでいた
だからだろうか
森から『緑色』が現れた




