1章 二十一話 二十二話
続き読んで貰って感謝です
二十一話 主人公睡眠中に神からのお知らせ
二十二話 従妹との遭遇
……ん? ここはどこ!? 僕は谷崎誠也!
いや、見覚えがある、神と初めて会った場所だ。
「おい! 大丈夫か!?」
いきなり声を掛けられる。
その音源を確認すると神がいた。
「あ、神さんだ、ちょっと聞きたい事があるから質問するね。ちなみに拒否無し」
今はなぜこんな所に居るのかは放っておきもっと重大な事を聞く。
「何じゃ?」
「従妹がいたんだ」
原因は神しかいない。
「は?」
またまたーとぼけちゃって。
「何で従妹があそこにいたかって事ですよ、転移はあなたがやってるんでしょ? なんで従妹まで転移させた?」
神かなんだが知らんがタマゴみたいな頭して、頭取って中身チューチュー食ってやろうか?
「……なんかすまんの、調べるからちょっと待っててくれ」
「えー、全知全能のカミサマならシャッと終わらしてくれないの?」
「……我々は全知全能では無い」
「え? じゃあ神様じゃないんだ、やーい嘘つき!」
「子供か! 神=全知全能ではないし嘘をついてはいない! こっちだって色々あるんじゃい! 調べないぞ!」
「自分の失敗棚に上げてそんな事言うの?」
言い合いで両者沈黙するが結果が出てたようで神様が反応する。
「……おっ、出てきた出てきた」
「分かったなら結果教えてくださいよー」
「えー、簡単に言うとお主を轢いた車に轢かれて死ぬ運命ノー所を転移したと書いてあるの」
「……従妹を助けてくれてありがとうございました」
結構失礼な事言っちゃった。
「あー、まあ、そもそも転移させるのは死亡間近の者だけじゃ、転移させているので行方不明者として扱われているらしいが生きているだけマシじゃ」
(まあどうせ『無くなる』のならせめて役立って欲しいからの)
ふーん、神隠しかな?
「あとなんでここに呼び出したか分かるか?」
神様が聞いてくる。
「へ? いや、分かりませんけど……」
「実はお主に異常が起こったとお主に付けている物から通知があったのだ」
「異常? 付けてる物?」
「……付けてるのは万能機じゃぞ」
「あ、そっか、そうだった」
忘れるなんてボケて来てるのかな?
「異常はお主が人間の範囲から飛び出したと出ているが……理由をしらんか?」
「人間を超えた?」
なんだか岩壁に挟まれそうだな。
「一体どんな意味なんです?」
「そのままの意味じゃ」
「……僕は人間ですよ」
「……謎じゃなぁ」
こっちこそ謎だよ!
「あなた神ならさっきみたいに調べれるんじゃないんですか?」
「……歳は取りたくない」
おい! 神!
「あなた神ですよね、歳取るんですか?」
神は不老じゃ無いのか?
「命あるかぎり劣化は避けられん」
不死でも無いってどう言うこったよ。
「結果が出た……なんじゃこりゃ」
一体どうした?
「何が出てきたんですか? 神さまさん、ねぇねぇ」
気になってしつこく聞く。
「……お主の一族自体異常じゃな」
……前に同じ事言われたわ。
「神様も家族のことをバカにするのか?」
「違う、お主の一族に人間以外の種族が入ってきている、おそらく魔素を吸収して力を出したのだろう。本来魔素が必要な種族が地球に何故か存在してその子孫のお主が魔素を大量に摂取したせいで乾いたスポンジのように魔素を吸収したのだろう。それに加えて刺激も必要だと思うが、心当たりはあるか?」
家族が人外だと今明かされる衝撃の真実、疑いたいがこんな嘘を付く必要性が無いと思う。
「現にお主が成長するはずだった分成長しているはずだぞ」
「えっ! まさか背が伸びてたりは……」
「している筈だの」
「やったー!」
よし! 完全に信じよう!
「で、魔素を吸収した事に心当たりはあるか?」
「いや、普通に食っちゃ寝生活でした」
「……ならお主が摂取した物の中に魔素を大量に含んだものがあった可能性がある」
摂取した……。
「たしか口にしたのは、腹痛の原因の水と兵士さんがくれた物だけです。その中で一番最近は野草のスープと半分のパンです、あと魔素をコントロールする練習もしました」
「……おそらくそのスープに魔素を含んだ物があったのだろうな・それに魔素のコントロールはおそらく体内の魔素も刺激してしまったのではないだろうか? 本来人間は体内に魔素が存在出来ないはずじゃがお主は純粋な人間とは言いがたいから存在していても不思議は無い」
「……そうですか」
「あ! そうじゃ! あと一個伝えようとしてたんじゃ!」
「危ない!」
「あの後使いを捕まえたのじゃがな」
いきなりの超展開。
「どうもお主がいた世界の神と転移した世界の神同士が結託して世界を変えようとしているらしいのじゃ。つまりどうにかしないと世界が終わると言う訳じゃ」
えぇ……結構ヤバイじゃん。
「まあ、こっちで何とかするからの。あとお主の従妹に伝えてくれ、『申し訳ない』と」
「……分かりました」
「では戻すぞ」
「分かりました、また会話できるのなら経過を教えてくださいね」
「うむ、わかった」
そして、意識は闇の中に消えていく……
――――――――
通う高校に一番近い場所が伯父さんの家なので住まわしてもらって高校に通っていた。
「おい」
従妹とも休日には一緒に遊んでいた、だから従妹とは結構仲がいい。
「日織と言う名前に聞き覚えがある子を待たせているんだ」
あの日も家を出る時に玄関で従妹と喋っていたのが向こうでの最後の会話だ。
「早く起きろ」
起きろと急かす隊長さんの声が頭に響く。
僕はむくりと起き上がり隊長の姿を視界に入れると。「……おはようございます」と挨拶するが動揺が原因なのか声がちょっとおかしい。
理由? 神様直々に一族人間じゃねえって言われたら誰だって動揺するでしょ……。
「……すまないが今は昼なんだ」
前にもこんな事あったな。
「あー……はい、わかりました。今は昼なんですね」
「ああそうだ、それとお前が最後に叫んだ名前の子を探したんだが見つからなかったがその名前の子を知ってる子共が外に居るんだ」
その言葉を聞くや否や隊長に急いで近寄り「本当ですか!?」と叫びながら隊長の手を掴む。
「あ、ああ、それとお前が暴れていた時の話だ。あの時の事を覚えてないとはいえ不問に出来ないがある程度は軽くなるようにしてやる、おそらく罰金辺りになると思うがその時は後でお金を稼いで刃物持って入って来た時の分と一緒にすぐに渡してくれればそれでいい。それまでお前の荷物は預かっておく、それと手を離してくれ」
「ありがとうございます!」
感謝の言葉と共に手を離し、そのまま土下座する。
「起き上がってくれ、それと今から名前を知っている子を呼ぶから少し待っていてくれ」
……隊長、本当にありがとうございます。
隊長がドアから外に出て頭を町の方向へ向け「入れてきてくれ!」と隊長が呼ぶと少し間が空いてから、足音が『ジャッジャッ』と聞こえてき。その足音はドアの前で止まり「はい、連れて来ました」と兵士2さんがドアから中に入り『名前に聞き覚えがある子』を連れて来るがその連れて来られた子の姿はなんと従妹であった。
日織!? なぜ日織がここに? 見つからなかったのではないのか!? と困惑と共に疑問が頭の中に出てくるがそんな事はどうでもいい。
「日織……僕だ! お兄ちゃんだ」
ドア方向にジリジリ近づきながら目の前の従妹に話しかける。
「は? お前は一体何を言っているんだ?」
隊長さんが不審に思ったのか話しかけられるが無視する。
「お兄……ちゃん……?」
日織に何故か首を傾げられた……あ!
「ああ、そうだ! 成長してるけどお兄ちゃんだぞ!」
家族がいきなり成長してたら誰でも戸惑うよね!
その言葉を聞いた日織は驚いた顔をした後にいきなりボソボソと独り言を呟く。
「おい、本当に姉ちゃんの兄ちゃんなのかよ」
「うん本物だったら今からやる事に反応するよ」
姉ちゃん? 本物? 今からやる事? 一体全体何の事だ?
従妹の独り言を変に思い僕は歩みを止めてしまう。
止まった瞬間、従妹が右手をグーの状態で前に出し親指を上に向け人差し指をこちらに向ける。つまり手銃だ。
その手銃を見た僕は『あ、あれか』と納得する。
「おい、一体何を?」
隊長が喋るが言葉を返す暇が無いのでまた無視する。
その瞬間従妹が「バン!」と叫ぶ。
そして僕は胸を押さえながら「うっ!」と声を漏らし床に倒れる。
「「……」」
隊長と兵士2さんは急に起こった出来事に驚いたのか立ったまま動かない。
そんな中でいきなり「……お兄ちゃんだ! 本物だ! 夢じゃないんだ!」と堰を切ったように叫びだす従妹。
その大声を合図にしたかのように隊長達が動き始め、僕もついでにむくりと上半身を起こす。
だが上半身を起こした僕の所に従妹がいきなり「お兄ちゃん! 喰らえ!」と体当たりを出してくる。
「いいタックルだ、感動的に抱きしめたい、だが避ける」
その場で横に転がって体当たりを回避する。
不安定な姿勢で受け止めたら逆に怪我しそうだからね、タックルは基本的に当たらないようにする物だ!
「もう! 何で避けるの! でも、本当に本物の正真正銘のお兄ちゃんなんだね!!」
従妹は歩いてこっちに近づいてくる。
「当たり前だ!」
むしろ偽者でもいたのか? そんな事を考えながら互いに互いを抱きしめる。
そして衝撃発言を従妹が発する。
「本当にお兄ちゃんに会うの何年振りか分かんないよ!」
……まるで意味がわからんぞ!? 僕を轢いた車が原因でこっちに転移したんだから日のズレは1日ぐらいだからそんなに日は経ってないんじゃないのか?
「「「……一体何がどうなってんの?」」」
僕と隊長と兵士2さんの声が初めて重なった瞬間ではあるが意味はお互いに違う物であった。




