1章 十六話 十七話
続き読んで貰って感謝です!
十六話 ここはどこ?
十七話 晩御飯の時間
……んん……ん? 寒い……毛布は……何処だ?
……いや、そもそもこの場所が何処だよ!
辺りを見回すが暗くて石の壁っぽいのしか見えない。
いきなり見覚えの無い所で目が覚めるって恐怖以外の何者でもないぞ。
そんな事を考えながら体を動かそうと思って立ち上がり歩いて前に歩いて行こうとするが「うわぁ!?」と間抜けな声を上げながら前に転倒しかけるがジャリジャリと金属音が鳴り、それと同時に腕だけが後ろに引っ張られ、体が動かなくなる。
「……何? 何が起こってるの?」
あと肩が引っ張られてるから凄く痛い。
手をバタバタさせると何か冷たくて硬い物に当たる感触と同時にジャリジャリと金属音が鳴る。
……もしかしてこれって鎖?
しかも何か、もしかしなくても手首に繋がられてる?
鎖を手で探って握り引っ張って、体を元の立っている状態に戻す。
……えーと? 今なんでこんな状況になってるかを思い出そう。
たしか隊長さんがドアからこっちに歩いて来て……思い出したぞ!
隊長に何かされたんだ! 内容は忘れたんだけど。取り合えず近くに誰かいないか確認しよう。
「誰かー! 誰かいませんかー!」
耳を塞ぎながら大声を出す。金属音が結構響いてたから大声出したらうるさくて耳がやられるかもしれないからね。
叫び終わってから耳に当てていた手を離すが反響した叫び声以外には何も聞こえなかった。
誰も聞こえる範囲にはいないのか、動いて探索しようにもこの鎖がある限り動けないし……。
……よし、寝転がっていよう。
変に動いて怪我でもしたら嫌だし……。
地面冷たっ!
――――
寝転がってどの位時間がたったのか分からなくなっていたが変化が訪れた。
視界に光が入ってきたのだ。
当然、僕は反応した。
「だ、誰かいるんですか?」
「私です私です」
そう言いながら兵士2さんが光る丸い物を片手に持ちながら現れた。
その光源からの光によって今いる場所の風景が明らかになる。
僕の周りは石の壁で覆われており唯一覆われてない前方は黒い棒が縦に並んで塞がれていてさらに奥には同じように黒い棒が横に伸びて塞がれている。
つまりは二重の檻で覆われている牢屋の中だ。
僕は兵士2さんの手に持たれている物を見ると声を出した。
「あ、それ知ってます、フライングストーンってのですよね?」
従妹と一緒にテレビで見たことがある、目潰しの光を出すやつだっけ?
「へ? いや、違います。これは術がうまく作れない人のために作られた人工魔石です」
ニコニコ笑いながら石を持った手を横に振る兵士2さん、光で目がチカチカする。
「術? 人工魔石?」
僕は聞いたこと無い言葉をつい繰り返してしまう。
「……もしかしてステータスの通知を見てないんですか?」
ん? 兵士2さんは何を言ってるんだ?
「ステータスって自分の能力を見るための能力じゃないんですか?」
「むしろ自分のスキルしか見れないんですか!?」
ほえ!? あと声が大きい、物凄く響いてる。
「すいません、スキルって何ですか?」
「ああ、通知見れてないんですよね、能力はスキルに改名されたんですよ」
そうなのかー。
「あと、オリジナルの魔法の名称が『術』に改名されました」
……つまり兵士2さんはオリジナルが使えないんですか。
「それでもステータスで通知なんて出来るんですか? あれは能力を見るための能っ……スキルですよね?」
「……もしかしてステータスも使いこなせていないんですか?」
ステータスにもあるのか……。
「まあステータスは簡単ですから、ご飯を食べながら練習しましょう。取ってくるので少し待っていてください」
兵士2さんはそう言うと、見える範囲から左に歩いて出て行ってしまった。
這ってさっきまで光が見えてた場所に移動しようとするが一つ目の檻にたどり着きそうな所で足と手に衝撃が走る。
衝撃が走った箇所を見てみると手首にくっついてる鎖、そして足首にも鎖が付いていた。おそらく暗くて見過ごしていたのだろう。
「ここまでしか移動できないのか……」
この鎖が邪魔以外の何物でもない。
「おまたせしました、晩御飯ですよ」
兵士2さんがトレイを持って降りてきた。
晩御飯って言う事はもう夜なんですか。
「ありがとうございま……何ですか? その緑色……」
運ばれてきたのは緑色の液体と半分のパンだった。
「それは体にいい栄養たっぷりの野草煮込みのスープです、あとパンは残りの数が少ないので私のと半分こです。明日の朝ぐらいには追加が届くと思うんですけどね……」
申し訳ないなぁ……。
兵士2さんが一つ目の檻の鍵を開けて一段階中に入った。
「すいませんがちょっと一番後ろに下がっててくれませんか?」
「え? はい、分かりました」
言われた通り後ろの壁まで下がると兵士2さんは二つ目の檻の鍵を開けて晩御飯が乗っているトレイを檻の中に入れるとすぐに檻から出て鍵を閉めて外に出た。
動きが速かった、けれど目では追えるぐらいの速さだった。
「早く食べないとスープが冷めちゃいます、早く食べた方がいいですよ」
「……分かりました、いただきます」




