1/3
深い眠りの中で
【早起きは三文の得】
ということわざがあるが、三文とは現代の社会において百円の価値も無い。
とは言うものの、毎朝きっちり四時半に目覚めてしまう体になった事を恨めしいとも、損をしたとも感じた事がない。
実に安上がりな男である。
早起きをしていれば会社に遅刻をする事はないし、毎朝の日課であるジョギングのおかげか、風邪や大きな病気をした記憶がない。
会社では無遅刻無欠席。とは言えず、根が不真面目なのでズル休みをする事もある。
まあ、極々まれにだが。
俺にとっての三文とはそんなものだ。
そんな俺に神様は何を思ったのだろう。
三文では買えないモノを俺に与えたのだった。
運命か、偶然か。
眠りから覚めない今、
少しだけ今までを振り返ってみよう。
少し口の中が甘酸っぱくなるだろうけども…。