1ヶ月で終わった物語
かなり短いですがもし良かったら読んでみてください。
昨日、親友が学校を休んだ。次の週もそいつは学校に来なかった。どうしたんだろう?
心配になって連絡をした。
「もしもし、どうした?」
意外と元気そうでほっとした。
「どうしたって、1週間も学校こないからさ。」
「あぁ、そういうことね。いやもう学校とかどうでもよくなってさ。」
「え?どういう事?」
「だから、もうどうでもよくなったんだって。」
「つまり、もう学校こないの?」
「そういうこと 、じゃあね。」
「あっ、ああ。」
急なことだった。
翌日皆でそいつの家に行った。家の人はちょうどいなかったので入れてもらった。皆で説得すれば来てくれると思っていたが、そんなに甘くはなかった。皆に来いよ来いよ、と言われても心に変化は無かったようだ。その日は皆すぐに帰った。
帰ってからずっと考えていた。
いじめか?
勉強が追いつかなくなったとか?
先生に不満があるとか?
答えは出そうになかった。とりあえずその日はそのまま寝た。
次の日も皆で家に行くことにした。だけどさすがに大人数だと迷惑だということで数名で行った。先生も来たが逆効果だったようだ。
日が立つに連れ、誰もそいつの家には行かなくなった。説得しようとするだけ無駄だということは皆気付いていたようだ。だけど、俺は諦めることが出来なかった。長い付き合いだし、仲も良かったから。だから毎日会いに行った。心の何処かで気づいていた。無駄だということは。それでも俺は見捨てるなんてことは出来なかった。
不思議だった。皆が楽しそうにしていることが。いつもみたいにくだらないことで笑っている皆が。腹立たしかった。皆にとってあいつはその程度の存在だったのかと。何も言ってやれない無力な自分が嫌だった。
自分の無力感に腹が立つ。
周りの人間は全て敵に見えた。
どうすればいいんだ。
そう思っていた次の日、ついに言われた。
もう来ないでくれ、迷惑だ、と。
本当に無力だった。
全てがどうでもよくなった。
学校が面倒になった。だから未来なんて捨ててやった。高校?大学?仕事?どうでもいい。もうどうにでもなってくれ。
頭のなかは真っ白だった。やりたいことも、やらなければいけないことも、何もわからなくなった。
最近ちゃんと寝てない。
食事もまともにとってない。
生活全てが面倒だった。
息をすることさえも必要ないのでは?そう考えるようになった。
そしてついに俺は、ベランダから飛び降りた。
ああ、あいつは学校に行ったのだろうか?人生を楽しんでいるだろうか?せめて最後にお別れぐらいしておきたかったなぁ。
まるで飛んでいるかのように長く感じた。長い滞空時間が終わり、一瞬の痛みと共に、俺の意識は消えた。
たった1ヶ月の出来事で俺の中学校生活は終わり、
人生という名の長い物語は終わりを告げた。
意識が戻り久しぶりに楽しみなことがある。天国に行けるか、地獄にいくか。さて、どうなるのだろうか?
どうやら天国に行けるらしい。
「天国か。」
言葉を言うのも久しぶりだった。その時、
「おーい。」
という声が聞こえた。その声には聞き覚えがあった。
「な、なんでお前がここに!?」
振り向いたそこには1ヶ月前学校に来なくなったあいつがいた。
「なんでって、人生だるくなったから天国生活始めようかと思ってさ。」
「なにそれ、笑わせようとしてんの?」
まったく今日は久しぶりなことだらけだ。
何年ぶりだろうか、涙を流したのは。
完
最後まで読んでいただきありがとうございました。少しでも楽しんで頂けたのであれば幸いです。