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15粒の砂  作者: 緋鞠
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目の前の世界が揺れる。

何かが壊れそうになる・・・


私と彼の肌と肌が擦れ合う。

静寂の中で、私の声と彼の吐息だけが響く。

何もかも忘れてしまいそうになる。


――――時計の針の音が割り込んでくる。

確実に、刻は朝を迎えようとしていることを、私に知らしめるように。

時計の針はどんどん大きくなっていく。


目眩を感じる・・・・。


「――――加奈子?」


その声に、彼女は我に返る。

どうしたの、と頬に優しく触れてくるその手を、彼女は柔らかく握り返す。


「大丈夫。なんでもないの」

「女性のなんでもない、って言葉は、本当は何か言いたいことがあるんだって、サイトに書いてあったよ」

「ふふっ・・・どういうサイト見てたの?」


加奈子は、そう言いながら、彼の手を解き、仰向けに寝そべる。

私の心を自分の所へ置いておきたいから、そういうサイトをチェックしているのだろうか。

それとも、『私の心』ではなく、元々引き止めたい対象が前にも居たのか・・・・


と考えながら、考える事をやめる。


考えても、どうしようもない事だ。彼に聞くわけにもいかないのだから、

答えなどない。答えのないことを考えても、自分の意識がいい方向に向くわけがない。


「もう少し休んでから・・・出ようか」

「うん、そうね。了一さんも寝ないと、明日が大変」

「大丈夫、体力あるから」


二人でくすくすと笑い合う。


時計の針は動く。

時間を止めようなどとは思わない・・・この時計の針が、二人の愛を深めているという合図なのだから。

この瞬間だけは。


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