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変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
変態たちの新居!
8/66

お引越し!の5

「はりきっていけよー志多野ー」

 俺はそのままソファに座っているため、すぐ録画スタート。

「俺は志多野、幽霊や肝試しが寝ることより大好きなんです! んで幼女は幽霊よりも好きだ!」

 田仲をインタビューしていたときには気づかなかったが、窓からの日差しが気持ちよかった。

「新山高等学校、霊学科れいがくかに明日入学する予定。これからはこの家で肝試しを開催しようと思っているからそのつもりで!」

 境は録画一時停止ボタンを押す。

俺の時だけなんか早くない? まだまだ言い足りないんだけど……。

「よし、全員の自己紹介終わったな。よし最後に、五人みんなで録ろうぜ。前澤たちも座って座って」

 境が前澤たちをソファへ誘導する。そして録画開始。

「おとうさあああああん! 愛してるぜええええええ!」

 まさかの大胆告白かよ!

「志多野…………好きよ」

 前澤、お前もか! それにちょっと照れくさいから!

「ハアハアハアハアハア……」

 阿部は興奮すんな。

「ハス…………クしゅんっ!」

 ハスよりくしゃみが強調されちゃってる!

「南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏! 霊の幼女と幼女大好きだあ!」

 まあ、こう流れがきたらそれに乗らないと。

「最後に! この『超豪邸』に住むための掟を、志多野が言ってくれるって!」

「えっ? まじ俺!?」

「そりゃな!」

 境はいつも急だ。でもそれがいい。そうじゃないと境じゃない。

「この『超豪邸』に住む掟! それは『変人か変態、およびそのどちらかであること』だ!」

 この意味は、みんなに解っただろうか。

「いいね完璧……」

 阿部がつぶやく。

「この掟はそれにあてはまれば住めるってことよね。追加する人はいるのかしら」

 前澤は頭が切れる。まさに

「その通りだ!」

 俺が言いきると、境は録画停止ボタンを押した。

「で……今から何するの~?」

 まだ何も考えていなかったことを阿部が聞いてくる。

前澤が壁に掛けられた時計を見た。

「まだ三時じゃない。自分の部屋でも見に行く?」

「行く! じゃあみんな、解散!」

 そう言ってドタドタと境はリビングから飛び出していった。

「部屋の荷物は自分で片付けなきゃダメよ。じゃああたしも部屋行くわ」

「私も私も! みんな後でねー」

 前澤と阿部は田仲と俺に手を振り、リビングを後にした。

「自室行く……クしゅんっ」

 ぺたぺたとゆっくり細い足を動かし、田仲も自室へ向かう。

もう各自室は引っ越す前から決めてあるため迷うことはない。でも全員一階の部屋を選んだ。三階まであるのに……。

 境と田仲は一階を選ぶ理由はだいたい解るけど、阿部や前澤まで一階とは……まあ俺もだけど。

リビングに一人でいるとかなり淋しくて、無駄に広く感じた。なので俺も自室へ行くために部屋を出た。

「元気だったかあああああああぁゴン! それにザレスも!」

 玄関に一番近い部屋から、境と思われる声が聞こえてくる。

声でけえ。

後で行ってみるか……

自室へ向かうため長い廊下を歩き出す。俺の部屋は境の部屋の向かいにある部屋の隣だ。

玄関のすぐ隣が良かったが、田仲にじゃんけんで負けたため、その部屋になった。

 歩いていると、足に冷たいぬめっとした感覚がした。

「な、なんだこれ」

床を見ると透明の水みたいな液体が、すぐそこの扉の下からゆっくりと流れ出ていた。

たしかこの部屋は阿部だった気がする。

 ドアノブを持ち、開ける。

「阿部~何してんだよ。廊下に水的な液体が」

 べちゃっ

部屋の中は全面水浸しになっていた。

「ハァハァハァハァハァ。し、志多野? ごめん、止まんない」

 回転するイスに座りながら一冊の不健全な漫画を持っていた。

その漫画で、なぜ水浸しか理解できた俺って……。

「阿部、よだれが半端なくやばいぞ! 汚い、拭け! 廊下も雑巾で拭け!」

 勢いよく扉を閉める。汚いので、早々に阿部の部屋から遠ざかった。

阿部がどうして一階を選んだか、少し解った気がした。

「はあ」

ため息を吐き、また自室に行くため歩く。

ふと視界の右に映った、扉に掛けられた木の板が気になり、よく見てみると『☆志多野大歓迎☆』と装飾されていた。

――見なかったことにしよう。

そして再び歩き出す。阿部と前澤の部屋を過ぎたのでそろそろ自室だ。

「肝試し、いつやろうか……」

 俺は一人つぶやき、やっとこさ自室の前に来た。

ドアノブに手を置く。

「先に境のとこ行くかな」

 なぜか気が変わり境の部屋に行くことにした。

俺の部屋から境の部屋は近い。

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