表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
変態たちの新居!
6/66

お引越し!の3

で、リビングに着いた。また中が凄いのなんの。

玄関よりも広い。当たり前か。

窓からの日差しで、白貴重とするリビングは砂浜をイメージさせるかのようにキレイだった。広さは学校の教室一個半と言ったところか?

「よし! じゃあ始めようぜ」

 境が十人は座れそうな白いソファのど真ん中に俺を座らせた。

「ビデオカメラ設置完了! 最初の司会は志多野、頼んだ。録画スタート!」

「え!? ちょっこれもう始まってんの?」

 うん、とみんな頷く。一人だけを録画している場合、その人以外の声は入れてはならないというのが俺たちのルール、らしい。

「げは、んん! 失礼。ではこれから【引越し無事終わったよスペシャル、ちなみに明日俺たちが入る『新山高等学校しんざんこうとうがっこう』の入学式だぜ】を始めます」

 噛んでしまった……

「あと、これは激烈な下ネタが含まれる危険性があります。注意してください。全てノーフィクションです」

「はいカァット! いいねえ。最初噛んだのいいねえ。じゃあトップバッター阿部!」

おおっと、トップから危険だ。もしかしたら一番危険……てか危険な奴は多分阿部だけだ。

阿部がソファに座ると同時に録画開始。

「名前は阿部明美あべあけみで~す。永遠の二十歳だよ! この度新山高等学校、教育科に入学できました~」

 ここでみんなで拍手。

「んで~、少年と幼女大好きです! 世間でいうショタコン、ロリコンかな? でもここから重要……だって私、腐女子ですから!」

 来た……今から爆弾発言連発か?

「たいてい妄想してよだれ垂らしてます、多分。どんな妄想するかは、男の子同士が「クしゅんっ!」したり~」

 ナイス田仲! 完璧なタイミングのくしゃみ!

「それで「クしゅんっ!」を「クしゅんっ!」で「クしゅっ!」みたいな妄想をしてま~す。最後に、変態は褒め言葉です!」

 はあ、危険だった。毎回阿部は危険だ。阿部は何も喋らなければ男たちの虜にできるのだが……ダメだな。

「うん実に良かった。じゃあ次、前澤!」

 これもまたソファに座った直後録画スタート。

「前澤、立派な男よ。半人前のニューハーフだけど。今はとある店で働いてるわ。どんな店か、収入はどのくらいか、聞かないほうが身のためよ」

 ストレートの黒い髪が窓からの日差しによってきらびやかに光っている。

「ちなみにこの家の支払いは全てあたし持ち」

 カメラのレンズを獲物を見据える猛獣のように、鋭い瞳で睨みつけて

「積極的な男は大好きよぉ。逆に感じやすい男も……あたしがエスコートしてあ・げ・ル」

 ゾッと背筋が凍りつく感覚に襲われた。気のせいか?

「特に志多野、あんたは大歓迎よぉ」

 気のせいではなかったようだ……。

「余談だけど新山高等学校の接待科に入学するわ」

 余談にすんなああ。大事だからさ! 

前澤が立とうとした瞬間に境が録画一時停止ボタンを押した。

「相変わらずだな前澤は、じゃあ次は俺だよな。前澤、録画よろしく」

 境がソファの感触を味わいながら座る。

何も言わず前澤は録画開始。

「俺だ! 境だ! 動物だ! 動物大好きだ! この家に住む以上、動物をたくさん飼うぜ! 好きな動物はワニ、ワニには思い出がたくさんあるから……」

 照れくさそうに馬のような茶色の短髪をぽりぽりと掻く。

「あと、お父さん! お父さんめっちゃ好き! 何歳になっても俺はお父さんと風呂に入りたい! 一緒に動物を観察したり育てたり釣りしたり、楽しいことしたい」

 なんとも境らしい。いわゆるファザコン。猫のようなかわいい目をして好きなものを存分に話している。

いやかわいくない、男だからな。隣で阿部はよだれを垂らしているが……

「そんで明日、新山高等学校動物飼育科に入学するぜ! 将来はお父さんの動物園を継ぐことだ!」

 力強い決意の言葉を残し、録画一時停止。

「いつもどおりだねえ」

 阿部が腕を組み、しみじみ言う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ