本能に従え!
「前澤頭いいな!」
俺たちは適当に店内を歩きながら、他人に迷惑がかからない程度に騒いでいた。
討論の結果、本屋、園芸店、ゲームショップ、食器、ペットショップ、墓石店という順番で行くことになった。ゲームショップは夕真の意見だ。当然行くまでの道のりにも、本屋にも幼女がいるわけで……。
「ロング三人に……ポニテ六人」
「志多野、何やってんだよ」
「見て分かるだろ。どんな髪型が何人いるか数えてんだよ」
当たり前だが幼女限定だ。見た目の平均年齢六歳といったところか。
「今のところポニテが二十七人でトップだぞ」
「どうでもいいわ!」
「かわいいのにな……」
本屋は俺と境は特に欲しかった本もなかったため、本屋の中を幼女を探しながら適当に歩いていた。
どうせ阿部は奥の方にある『BL』の棚で、瞳を太陽よりも輝かせているだろう。
「そーいえばさ。その首にある白いマフラーと頭に乗ってる茶色い帽子みたいな奴何なの?」
たまにその二つの物体が動いているが、それは俺の気のせいだろうか。
「あーこれか? 首の方はレノンだぜ! 頭の方はアリスだ」
そう言って白いのと茶色いモノを撫でていた。
「名前は聞いてねえよ! 何の動物だよ!」
「それ先言えよー。こっちがオコジョで、これがムササビだぜ。かわいいだろ!」
「かわいいけども! オコジョそんなマフラーみたいに使っていいのかよ!」
「今日寒いじゃん!」
「そーゆう問題なの!?」
「レノンあったかいんだぜ! 特別に志多野にも巻かせてあげよう!」
境が丁寧に抱っこしながら俺に渡して来たのが、かなり意外だった。それだけ動物への愛情が強いんだろうな。
それに俺の所へ来た瞬間、レノンが首に巻きついてきたのがもっと意外だった。
「何で自分から首に巻きつくんだよこいつ」
「首が好きなんだろ」
「でもあったけえな!」
「だろ!? マフラー買う必要もないからめっちゃ楽だぜ!」
そして俺の首からレノンを外して自分の首に巻きつけていた。正確にはレノンが自分から巻きついている。
この様子だとムササビも防寒具として頭に乗せているのだろう。
読んでくださってありがとうございます。
志多野が奇妙な調査を行っていますが、あまり気にしないようにしてください。
変態なので。
感想などもらえると興奮します。