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変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
新たなる出発点!
16/66

変態と混浴など却下!

 入学式が終わってから、境と俺に話しかけてくる人が殺到していた。

俺の顔は(前澤と阿部が言うには)悪いほうじゃない(良くもない)し、境だって小学生みたいな外見で至って普通だ。

いや、高校生にもなってまだ小学生のおもむきがあるのはちょっと異常か。背も低いし。

そんな俺たちに話しかけてくる理由はもちろん、入学式中の、あの羞恥心の何物でもない、挨拶だ。

今思うとなぜあんなことをしてしまったのだろう……。

自分の言動に深く反省する。

「はあ。全く、境のせいで精神的に疲れた」

 ようやく話しかけてくる人も少なくなり始めた頃、俺は肩を落とし境に愚痴をこぼしていた。

「しょーがねえだろ! あまりにも生徒会長がかわいそうだったんだよ!」

 大声で喋るな恥ずかしいだろ。

かわいそうだったけども。

「もう帰ろうぜー。前澤、帰ったら風呂入れてくれ」

 俺は棒読みで前澤に言い、とぼとぼ正門に向かって歩き出す。

「分かったわ。そのかわりあたしと入るのよ」

 その後に前澤たちも続く。

「よし、境も一緒に入るぞ」

 前澤と二人だけで風呂に入るわけにはいかない。

「げっ、まじで」

 露骨に嫌そうな顔を見せる境。

「男だけのお風呂!? 私も入る!」

 阿部が片手を上げながらジャンプを繰り返す。

ジャンプのせいで特別な日しかやらない後ろに束ねたお日様のようなオレンジ色の馬の尻尾が上下にゆっさゆっさ揺れ、制服のスカートがひらひらしてパンツが見えそうになる。

周りにいた男が過剰に反応して阿部(主に下半身)を見ていた。

阿部はパンツなど見られても気にしないタイプだ。

今の発言が、それを納得させられる。男だけの風呂に自分も入ろうとするなんて、こいつ何者だよ。腐女子だけど。

「ダメだ」

「ダメだな」

「ダメだわ」

 阿部は男二人と女モドキ一人に拒否され、ふくれっ面をする。

湯船をよだれ船にされるわけにはいかない。

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