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変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
新たなる出発点!
15/66

バカとバカはバカだ

入学式が始まって、何時間経ったのだろう。

空席だった俺たちの周りも満席になって、ただならぬ雰囲気を醸し出している。

今年の新入生は六百三十二人だと、校長の長ったらしい話の中で言われた。

「では続きまして、生徒会長から新入生へ祝福の言葉を頂きます」

 どうせこれも長いんだろ。

この手の話は長いくせに面白みがないからなー。

 しかも女か……。もう顔から礼儀正しさが伝わってくるぜ。

「新入生の皆さん、おはよぅーございます!」

 ・・・

明るく元気に、且つ丁寧に生徒会長は挨拶をした。

挨拶をするのは極々普通のことだ。が、この間は何だろう。なぜ、話を進めないのだろう。

まさかこんな重い空気の中、この生徒会長は俺たちに『おはようございます』を求めているのか?

みんな言う気配ゼロだな……。なんか生徒会長がかわいそうだ。

そんな状況なのに生徒会長は笑顔を保っている。いい加減話進めてくれ……。

心が痛む。

「おはよーーうございまあああああす!」

 突然、重力よりも重いこの空気と静寂を破ったのは、左隣にいる境だった。

おまけに席を立っている。

境…………お前は一人で走りすぎだ。

俺だって一緒に走ってやるよ!

「おはよーーうございまあああああす!」

 俺も席を立ち、隣の境に笑いかける。

 境もそれに応え、そして俺たちは羞恥の半端ない重さによって席に着いたのだった。

ただ生徒会長がこちらに向けてくれた微笑みだけが救いだった。

 しかし俺と境は入学式が終わるまで、ずっと俯いていた。


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