表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態の日常的生活  作者: 荒崎 藁
変態たちの新居!
10/66

お引越し!の7

「志多野ー、今日の晩飯な……っておい、また卒塔婆かよ。それにその意味不明な文字の紙」

 そんなとき、境がやって来た。すごい呆れ顔だ。

この良さが解らないなんて、まだまだだね。

「これがないと落ち着いて寝れねえんだよ」

「これがあると落ち着いて寝れねえんだよ」

 境は俺と全く同じ口調で、全く真逆なことを言う。

「そんなはずない! これがあるから毎日気持ちよく安らかに穏やかに眠れるんだぞ! きっと安らかに眠ることができる霊でも俺に添い寝してくれてるからかな」

 俺はそうだと嬉しいなあ、と思いながら期待に胸を膨らませる。

あんまり認めたくないけど、俺は霊感ゼロだ。

「結構その光景を想像すると怖いんだけど……」

 実際に俺もその光景を想像してみる。

……実に夢のような時間じゃないか! 少しテンションが上がってきた。

「おい、もし霊が添い寝してたとして、その霊がオッサンや熟女だったらどーすんだよ」

 ジたーーーー。

さっきのヘビの時とは違う寒気がする。

「やめろ! せめて女子中学生……いや! 女子小学生にしてくれ!」

「普通に『幼女』って言やあいいだろ」

「幼女だ!」

「おせえよ! ちなみにその幼女の服装は?」

「もちのろん白装束!」

「その幼女は生きてる?」

「生きてる!」

「霊関係なくなったぞ」

「じゃあ死んでる!」

「かわいそうに……てかなんだ、この言い合い」

「兎に角俺は、幽霊の幼女といっせ……」

「ストォォップ!」

 境が腕を伸ばし手首を曲げ、ストップポーズをする。

「分かったから、今日の晩飯の話だ!」

「米と塩か? それに水と花……あとはその人が好きだった食べ物を」

「墓参りじゃねえよ!」

 なんでだろう、境が息切れしている。顔も赤い。

「俺のツッコミスキルを上げて何がしたいんだよ志多野は」

「世界を滅ぼそうとしている魔王討伐?」

「俺に聞くな! ツッコミじゃ魔王討伐できねえだろ!」

「何を言う! ツッコミは千のダメージを与えることができるぞ」

「つええなおい! いやだからそうじゃなくて! 早くしねえと前澤が次のストーリーに進めないんだって」

「ちなみに次のストーリーどんなん?」

「ああ? それは志多野が言った通りの料理を作るための材料の買出し……ってだ・か・ら!」

「そーゆうことかよ。それならそうと早く言えばいいのになあ。まあ、前澤の手料理は美味いから何でもいいんだけど、とりあえずガム」

「いくら前澤でも作れる物と作れない物がある。それに晩飯にガムはいやだ」

「そうか……そう来るなら、俺は容赦しない」

 すぐ近くにあった卒塔婆を一本、俺は両手で持ち、剣のように構える。

「悪いが、そう長くは相手にできないぞ?」

 ニヤつきながら境も近くにあった卒塔婆を持ち、構えた。

ひゅーーーーーー。

俺の脳内で勝手に風を吹かせる。

「いざ!」

「いざ!」

 境が俺の言葉を追いかけるように言う。

「己の信念を貫き通すために!」

「我が信念を貫き通すために!」

 二人の信念が、ぶつかり合おうとしている。

「参る!」

「参る!」

 最後は二人の言葉が重なった。

力強く床を蹴り、全速全身。そして卒塔婆を振りかざす。境も同様だった。

風を裂くように振り下ろす。

「安心しな、みねうちだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ