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青い半魚人  作者: 松下真奈
第二章
131/140

手紙⑮――ユウキから侑子へ

ユーコちゃんへ


歌をありがとう。

あの歌、俺も知ってるよ。

いつも同じことを考えてた。

せめて夢の中で会えたら良いのにね。前みたいに。


あの夢、全く見なくなってしまったけど、今でも細かいところまでよく覚えてるよ。

夢の中ではあまり見えなかったし聞こえなかったはずなのに、ユーコちゃんと会ってから、補足されるように夢の細部まで思い出せるようになったんだ。

それからはずっと、記憶の中のあの夢にはいつだって君がいる。

鱗を「きれい、きれい」って嬉しそうに撫でて、水かき越しに遊園地の灯りを見て喜ぶユーコちゃんがいる。

観覧車やメリーゴーランドに乗って、たくさん歌ったね。あの時歌ってたのは、ユーコちゃんの世界の歌なのかな。童謡みたいだった。 

夢から覚める直前。

いつもコーヒーカップに乗った。

向かい合って座って、君がハンドルをこれでもかって程回すんだ。

よく覚えているよ。

あの回転の中で、これで終わりだなって、いつも名残惜しく思っていたこと。

もっと一緒にいたかったな。もっと歌いたかった。

そんなことを思いながら、目を覚ましてた。

今の気持ちも、あの夢から覚める時に思っていた気持ちと変わらないんだよ。

君ともっと一緒にいたかった。

隣に並んで、歌いたかった。

新しい曲ができる度に、ユーコちゃんだったらどんな声で歌うんだろうって想像する。

ユーコちゃんは良い耳をしてるから、すぐに正確に歌えてしまうんだろうな、とか。ここを歌う時は交互に声を重ねていったら最高に気持ち良いだろうな、とかね。


もうすぐ次の巡業が始まる。

また手紙が出せなくなるけど、沢山写真を撮ってくるよ。歌も書く。

巡業先の景色を見ながら君のことを考えると、良いメロディが浮かんでくるんだ。

夜空はやっぱり、街の光が少ない場所が綺麗に見えるよ。

ライブハウスがあるような街中じゃなくて、移動中の山の中とかね。

たまに車中泊をするけど、夜中に車から出て駐車場から少し離れるんだ。そうするとびっくりするくらい綺麗な星空が見える。

夢の中の遊園地、そういえばこんな夜空の下にあったなって思うよ。

営業中の遊園地のはずなのに、星がよく見えるんだよな。夢だからかな。


俺からも歌を贈るね。

意味は分かるかな? 

小林先生に聞いてごらん。



妹に恋ひ

寝ねぬ朝に 

吹く風は

妹に触れなば

わがむたは触れ



ユウキ

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