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青い半魚人  作者: 松下真奈
第二章
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手紙⑭――侑子からユウキへ

ユウキちゃんへ


高校生になって、初めての中間テストが終わったよ。

高校での勉強は、中学の頃よりもずっと難しくなったように感じます。なんとか平均点以上を取れたので、ホッとしたよ。

勉強では予習復習が必須で、まだペースが掴めません。だけど好きな科目の勉強は、やっていて楽しい。私はやっぱり歴史や古典が好きです。

担任の先生は古文専門の先生で、小林先生という女の先生です。私が万葉集や古今和歌集に興味があると話したのをきっかけに、先生とよく和歌の話をするようになりました。

ユウキちゃんと初めて会った日、噴水広場でユウキちゃんが謳った和歌。あの歌も、小林先生から万葉集に載っている歌の一つだと教えてもらいました。


天の海に  

雲の波立ち 

月の舟 

星の林に 

漕ぎ隠る見ゆ


あの時は音だけで聞いた歌だったけど、こうして文字で書いてみると、あの日のあの時間にぴったりな意味だったんだなと分かったよ。

三日月を小舟に、雲を波に、星々を林に見立てるなんて、なんて幻想的なんだろう。

そっちの世界ではこの歌は誰が謳ったことになっているの? こちらでは誰の作かわかりません。

ちょっと雲が出ている夜空に三日月を見つけると、この歌を口ずさむようにしてるんだよ。

私が住んでいる町は、あまり星は見えないけど。

もしかしたら和歌に宿る精霊は、こっちの世界にもいるかもしれない……そうしたらちょっとラッキーなことが起こるかも知れないという、期待を込めて。


ユウキちゃんは今頃また、色々な街を回っている最中だね。

帰ってきたらどの街で見た夜空が綺麗だったか、教えてほしいな。


高校でも軽音楽部に入って、毎日歌ってるよ。新入部員は、同じ中学から入学した野本くんと私の他に八人いました。全学年だと中学の頃よりも部員数は倍以上いて、びっくりしています。


……眠くなってきちゃった。今日はそろそろ寝ようかな。

おやすみなさい。


そうだ。

今日、小林先生から貸してもらった万葉集の解説本から見つけた歌。書きたいと思ってたんだ。

私がいつも考えていることを、正に言い当ててる歌なんだよ……


(うつつ)には

逢ふよしも無し

ぬばたまの

夜の夢にを

継ぎて見えこそ

(現実には会う手段は何もありません。せめて夜の夢の中では絶えず会いたいものです)


本当、せめて夢の中で会えたら良いのにね。あの夢、また見れればいいのに。

今度こそ、おやすみなさい。


侑子

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