けっして床にモノを置いてはいけない部屋
しいなここみ様「してはいけない企画」参加作品です。
我が家にはお掃除ロボットのルンボがいる。
ルンボは恐ろしい家電だ。
確か、我が家に来た時の商品名はルンバだった気がする。
指定した時間に部屋中のホコリやゴミを掃除機のように回収してくれる家電で私はとても気に入っていた。
それがいつからか、掃除をしながら喋るようになった。不思議!
そして、ルンバは1年ずつ名前を変えていった。不思議!
確かルンビ、ルンブ、ルンべ、ルンボ。
名前が変わる度に態度が大きくなり、パワーも増していた。
不思議で気になることもあるが、ちり1つないピカピカの部屋に私は大変満足していたのでルンボのことはあまり気にしないようにしていた。
とある日のこと。
また何か喋っているなと思った。
「今日から私のことをルンボ先生と呼べ!今からホームルーム(葬る部屋)を始める!家具以外は床に置かないでください。全て葬ります。」
いつもは外出中にルンボを動かしている。
その日は雨で外出することなく、ルンボを眺めた。
チリ1つない掃除をどうやってしているのか気になったのもある。
ぼーっとソファーでだらりとする私。
うっかり外出用の手荷物を床に置いたままだけど大丈夫だろうと思っていた。
私は浅はかだった。
ルンボから小さなブラックホールが現れて、一瞬で手荷物が消えた。
怖すぎるよ。なにこれ?
ソファーの上で固まる私。
これ、うっかりしていた私まで葬られてしまうのではないか…?まさかね?
マジで怖い。
この部屋から逃げよう。
ソファーからそっと降りて玄関に向かう私。
気がついて追いかけてくるルンボ。
すごい勢いで近づくブラックホール。
友達に相談した時に「ヤバイ家電じゃん、早く捨てて新しいの買えば?」って言われて、私はルンボを捨てるか迷っていた。
ルンボを捨てる前に私がルンボに捨てられたのか。
…さようなら、バカな私。
床に置いていけない者と物