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3.異世界麻将の洗礼

いきなり、異世界に飛ばされて、突然、麻雀を打ってもそこまで違和感感じてないのは、基将はそうとう麻雀好きですね、、、

基将は目の前に並べられた牌を見つめた。見た目は確かに麻雀牌——だが、何かが違う。


(……ドラがめくられてない?)


 通常、日本の麻雀では開局時にドラ表示牌がめくられる。しかし、対戦相手の三人はまるでそれが当然であるかのように淡々と牌を取り始めていた。


「ちょっと待て。ドラがめくられてないんだが」


 基将がそう指摘すると、初老の賭博師風の男が眉をひそめた。


「ドラ? なんだそれは?」


 若い女の将士が腕を組んで呆れたように言う。


「異国の者か? ここではそんなルールはないぞ。いちいちそんなことを言っていると、勝てるものも勝てなくなるぞ」


 筋骨隆々の武人も、腕を組みながら頷いた。


「この国の麻将において、必要なのは流れと実力のみ。そんな運頼みの要素など不要だ」


(なるほどな……)


 基将は心の中で呟いた。異世界に来た以上、ルールの違いは当然あるだろう。しかし、ドラがないというのは思った以上に大きな変化だ。


(ドラがないなら、打ち筋も変わる……点数計算やリーチの価値も大きく変動するな)


 不安を抱えながらも、基将は手を進めた。


 配られた手牌を整理し、じっくりと眺める。ここは慎重に行くべきだろう。役の組み立て方が異なる可能性がある以上、まずは様子を見るしかない。


(とりあえず、メンタンピンを狙ってみるか……)


 そう考えながら、不要牌を捨てていく。


 しばらくして、基将の手は一向聴になった。順調な流れだ。だが、ここで試したいことがある。


(《魔将の眼》……このスキルの力を見せてもらおうか)


 基将は意識を集中し、スキルを発動させた。その瞬間、視界が一変する。


 相手の手牌にかすかな光が宿り、見えないはずの情報が基将の意識に流れ込んできた——が。


(……何だこれ?)


 相手の手牌の役が、まったく見たことのないものばかりだった。


 「七星不靠」

 「一色三節高」

 「花竜」


 そんな役は、基将の知る麻雀には存在しない。


(どういうことだ……?)


 スキルのおかげで相手の狙っている役が分かるのは良い。しかし、それがまるで未知の言語のように思えた。


 異世界の麻将——それは単なるルールの違いではなく、基将の常識すら覆すものだったのだ。


(やばいな……これは、俺が知ってる麻雀じゃない)


 未知の役、未知のルール。すべてを知り尽くしていたはずのゲームが、新たな世界でまったく別の顔を見せていた。


 基将は眉をひそめ、汗が滲むのを感じた。


(勝てるのか……? いや、それ以前に、このルールが理解できるのか……?)


 頭の中で無数の疑問が渦巻く中、目の前の対戦相手たちは当たり前のように打ち進めていた。


(まずい、完全に異世界のルールに適応しないと……このままじゃ、ただのカモになる……!)


 数巡後、基将はテンパイにこぎつけた。迷いを振り払い、安牌としていた四枚目の北を切り、立直を宣言した——その瞬間。


「待て、お前何をしている?」


 初老の男が鋭い声を上げた。


「何って……リーチだが?」


「そんなもの、この国の麻将には存在しない」


「は……?」


 基将が呆気にとられていると、さらに驚くことが起きた。切った北に対し、賭博師風の男が静かに牌を倒した。


「フー!」


挿絵(By みてみん)


「なっ……!? ちょっと待て! 1索も四枚見えてるんだぞ! 国士無双はありえない!」


 しかし、男はニヤリと笑った。


「国士無双? お前は本当に異国の者だな。これは『七星不靠チーシンブーカオ』だ」


「七星……不靠?」


 基将は自分の知識にない役名に戸惑い、唇を噛んだ。


(七星不靠……? 聞いたこともない……)


 指先にじんわりと冷たい汗が滲む。異世界の麻将は、ただルールが違うというレベルではなかった。何も知らない自分は、まるで幼子のように翻弄されている。


(くそっ……俺の知識なんて、ここじゃまるで通用しない……!)


 何が正解で、何が間違いなのかも分からない。基将は悔しさに拳を握った。

異世界最初の麻将は中国国標麻将でした。


役は多いですが、覚えると楽しいですよ♪

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