2.魔将の眼
中世の中国ってこんな感じなのかな、歴史疎いからわかんない(汗)
間違ってたらすみません
「おーい、起きてるかー?」
意識を取り戻すと、そこは白く輝く神聖な空間だった。目の前には、どこか気楽な雰囲気の女神が腕を組んで立っていた。
「ようこそ、異世界へ。いや、なんていうか、災難だったね? でもまあ、これも運命ってやつかな」
「……は?」
「いやさ、あんた相当麻雀強かったんでしょ? だから、こっちの世界でもその力、活かせるんじゃないかってことでね」
「待て待て、俺死んだのか? なんでこんな場所に……?」
「うん、残念だけど、完全に終わったよ。乗ってたタクシーに居眠り運転のトラックがぶつかってきてね。ちょっと痛かったでしょ?」
「……まあな」
「でね、この世界、麻将が全てを決める世界なんだよ。王様も、騎士も、商人も、みーんな麻将の実力で決まるの」
「は? そんな馬鹿な話が……」
「いやいや、これがマジなんだって。そもそもこの世界、昔からそういうルールで動いてるの。戦争? 政治? そんなの関係ないよ。全部、麻将で勝ったやつが決めるの」
「本当にそんな世界が……」
「まあ、最初は信じられないかもしれないけど、すぐ慣れるって。で、あんたには特別な力をあげるよ。《魔将の眼》っていうんだけど、場の流れを読むのがすごくうまくなる能力ね」
「……なんだそりゃ」
「要は、相手がどんな手を狙ってるのか、どんな流れが来てるのか、感覚的に分かるってこと。もちろん、万能じゃないし、使いこなすには慣れが必要だけどね」
「……チートかと思ったが、そう簡単な話でもなさそうだな」
「そりゃそうでしょ。なんでもかんでも楽勝じゃつまらないし。それに、こっちの世界の将士もみんな能力を持ってるんだから、あんたが強いからって簡単に勝てるとは限らないよ?」
「なるほどな……で、俺はどうすればいい?」
「簡単。とりあえず、異世界に放り込まれるから、そこで麻将で勝ち上がって偉くなればいい。運が良ければ王様にだってなれるかも?」
「はぁ……ところで、あんたは何者なんだ?」
「ん? 私? うーん、一応女神ってことになってるけど、まあ適当にこの世界管理してるだけかな? そこまで深く考えないでくれる?」
女神は胸を張り、にこりと微笑んだ。
「そうそう、自己紹介がまだだったね。私はラピリエ。この世界を見守る女神よ。でも、格式ばったことは苦手だから、気軽にラピリエって呼んでくれていいよ」
「……女神ってそんな軽い感じでいいのか?それに、世界管理とかいろいろ気になるし,,,,」
「いやいや、細かいこと気にしてる暇ある? ほら、そろそろ出発の時間だよ!」
「え、まだ話の途中——」
「まあまあ、大丈夫大丈夫。あんたならやれるって。じゃ、頑張って!」
女神ラピリエが軽く手を振ると、基将の視界はふたたび光に包まれた。
眩い光が晴れると、基将の足はしっかりと大地を踏みしめていた。
「ここが……異世界か?」
目の前には、石畳の広場が広がり、周囲を見渡せば、まるで中世の中国のような光景が広がっていた。朱塗りの大きな門がそびえ立ち、通りには布をまとった商人や武装した兵士たちが行き交っている。煙と香辛料の香りが混ざり合い、異国情緒を強く感じさせた。
「おい、あんた! どこから来た?」
声をかけてきたのは、布製の帽子をかぶり、剣を腰に下げた男だった。年の頃は30代前半、鋭い眼光が基将を値踏みしている。
「えっと……俺はどこから来たんだろうな……」
「怪しいやつめ! ここは大将国、麻将によってすべてが決まる国だ。もし素性を証明できないなら、賭場で腕を見せてもらおうか?」
基将は驚いた。いきなり麻雀で身分を証明しろと言われても、そんな話があるのか。
「……まあいいか。ちょうど試してみたかったところだしな」
男はニヤリと笑い、基将を近くの建物へと案内した。そこは立派な屋敷で、外には「天牌閣」と大きく書かれた看板がかかっていた。
「ここは天牌閣、我らの国の将士たちが腕を競う場だ。ここで実力を証明できれば、お前の素性については問わん」
「なるほどな……やるしかないか」
基将は息を整え、麻雀卓の前に腰を下ろした。異世界の麻雀がどんなものなのかは分からないが、基本ルールは共通しているはずだ。
「それでは始めるぞ」
目の前には、三人の対戦相手が座っていた。初老の賭博師風の男、若い女の将士、そして筋骨隆々の武人。彼らはそれぞれ、異世界の麻将の腕に自信がある様子だった。
(こいつらの打ち筋を見極めれば、いけるかもしれない)
そう思った瞬間——。
視界に異様なものが映り始めた。牌の周囲に、かすかに光の流れのようなものが浮かび上がる。
(これが……《魔将の眼》か?)
相手の手の進行、場の流れ——すべてが手に取るように分かる。
(なら、負けるはずがない……)
異世界最初の戦いが、今始まる。
こんな能力ほしいな、、、