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1.三連覇そして転生

異世界転生ものが好きで、前々から麻雀と組み合わせてなにか作れないかなと思っていて、ようやく筆を持ちました。


拙い文章かとは思いますがもしよろしければ、読んでみてください。

プロローグ


 卓の上には、静かに並ぶ牌の山。観客席からは固唾をのむような静寂が漂っていた。


「これが、最後の局か……」


 麻基将あさ もとまさはそっと息を整えながら、自らの指先に神経を集中させた。日本最高峰の麻雀大会、「麻雀最強戦」の決勝戦。三連覇をかけた大一番が、今まさに終局を迎えようとしている。


 対面には、日本麻雀界の若き天才・時井透ときい とおるがいた。わずか25歳にして数々のタイトルを手にしてきた男。世間では「麻の後継者」とも称され、近い将来、間違いなくトップに君臨するであろう逸材だ。


 そして、上家には山本和茂やまもと かずしげ。70代半ばのベテランプロで、堅実な打ち筋と安定した成績を誇る。守備を重視するスタイルで、攻撃の機を見極める能力に長けている。


 下家には牛山実侑うしやま みゆ。30代前半の女性プロで、異名は「雀姫じゃんひめ」。攻撃的な速攻型でありながら、状況に応じた対応力の高さで知られる。


(この四人での決勝戦……まさに最高の舞台だな)


 オーラス、トップから親番の時井44000点、二着目に基将21000点、三着目に山本20000点、四着目に牛山15000点。


 基将が優勝するにはここで倍満をツモあがるしかない。


 基将は自らの手牌を見つめた。待ちは五萬と八萬の両面待ち。役はメンタンピン三色ドラ1。ツモって裏ドラが1枚でも乗れば倍満となる手。


 時井もまた、牌を握る手に力がこもっている。彼は流局して伏せれば優勝。


 一方、山本は逆転手の役満をテンパイし、珍しくツモる手に力が入っていた。


 牛山も同様に役満をテンパイし優勝条件を満たす手をいれていた。


(ここで決める……!)


 基将は静かに山へと手を伸ばし、次のツモ牌を引き寄せた。


「……ツモ」


 その瞬間、場の空気が一変した。


 基将はゆっくりとツモ牌を卓に倒した。


「メンタンピンツモ三色ドラ1……そして裏ドラ……」


 静かにめくられた裏ドラの表示牌。


「乗った……!」


「倍満、4000/8000!」


 一瞬の沈黙の後、会場は大歓声に包まれた。


『麻基将、三連覇達成だー!!』


 実況席から興奮した声が響き渡る。観客は総立ちとなり、優勝を称える拍手を送った。


 時井は悔しそうに牌を睨んだまま、やがてゆっくりと顔を上げる。


「……完敗です、麻さん」


 基将は微笑んだ。


「いい勝負だったな。お前なら、次は勝てるさ」


「……ありがとうございます」


 時井は深々と頭を下げた。


 山本は静かに頷き、牛山はため息混じりに肩をすくめる。


「やっぱり、簡単には勝たせてもらえないか……」


 こうして、麻雀最強戦三連覇の偉業が達成された。


 祝賀会では仲間たちと酒を酌み交わしながら、勝利の余韻を楽しんだ。麻雀界の著名人たちが彼の前に集まり、祝福の言葉をかけていく。


「お前なら、世界戦も狙えるだろう?」


「日本の麻雀は強い。だけど、お前はそれ以上だ」


 基将は笑って杯を傾けた。


「いや、俺もそろそろ潮時かもしれねぇよ」


 冗談めかして言うが、その胸の内には満ち足りた気持ちと共に、一抹の空虚感があった。


 三連覇という偉業を成し遂げたにもかかわらず、なぜか心の奥にぽっかりと穴が空いたような感覚があった。


(俺はこれから何を目指せばいい……?)


 若い頃はひたすらトップを目指し、勝利のために全てを賭けてきた。しかし、50歳になり、すでに自分の名は麻雀界の歴史に刻まれた。


 これ以上何を求めればいいのか。


 答えは出なかった。


 そんな思いを巡らせながら、基将はタクシーを拾い、自宅へと帰る道を選んだ。


 窓の外を流れる街の灯りをぼんやりと眺めながら、彼は改めて自分の人生を振り返った。10歳で麻雀を覚え、麻雀とともに歩んできた40年。その道の先に何があるのか、今はわからない。


 スマートフォンを取り出し、SNSを見ると祝福のメッセージが無数に届いていた。「三連覇おめでとう」「やっぱりレジェンド」「いつか挑戦したいです」——だが、それを眺める指が止まり、ふっと息をついた。


(これが、俺の人生のピークなのか?)


 考えれば考えるほど、心の中にぽっかりとした空虚感が広がる。


 そんな折、交差点に差し掛かったタクシーがゆっくりと減速した。


 その時——。


 視界の隅に強い光が飛び込んできた。


 轟音。


 身体が宙を舞い、衝撃とともに世界がスローモーションになる。


(……あ、これ、やばいな)


 脳裏をよぎったのは、勝利の余韻と、満ち足りた人生の最後の瞬間だった。


「……こんな形で終わるのか……?」


 視界が暗転し、まばゆい光に包まれた。

みんな、役満テンパイしすぎじゃね?(笑)

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