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少女との遭遇

 異世界の街一一石畳が続く広場で、真司は呆然と立ち尽くしていた。行き交う人々の香りが彼の嗅覚に洪水のように押し寄せてくる。

「すげえ......人一人一人にこんなに匂いの違いがあるなんて。」

 香水や衣服の香りだけでなく、その人が何を食べたか、どんな生活をしているかまで感じ取れてしまう。

(でも、これってめちゃくちゃ疲れるな。使いこなすのには慣れが必要だな。)

 そんなことを考えていると、不意にふわりと甘くて柔らかい香りが鼻をかすめた。

「えっ、この匂い......なんだ?」

 振り向くと、そこには金髪の少女がいた。肩までのストレートな髪、鮮やかな青い瞳、そして白いワンピースーーどこか透明感のある美しさが彼を圧倒する。


「ねえ、あなた......迷子なの?」

 彼女は優しく微笑みながら真司に話しかけてきた。

 その声とともに、さらに甘い香りが漂ってくる。

「......いや、そういうわけじゃないんだけど。」真司は答えながら、どうしても彼女の香りに意識が向いてしまう。

(これ.......髪のシャンプー?いや、それだけじゃない.......自然な体臭が混ざってる。このバランスが絶妙だ.......嗅いでるだけで幸せになる。)

「どうしたの?顔が赤いよ。」

 少女が心配そうに覗き込んでくる。その瞬間、真司の鼻先に彼女の首筋から漂う香りが押し寄せた。

「っ......!」

 思わず真司は後ずさる。

(や、やばい、クラクラしてきた…)

「ご、ごめん、ちょっと暑くてね。」真司は必死に誤魔化すが、内心では彼女の香りの虜になっていた。

彼女一一名をリリィと名乗るその少女は、真司を見つめて微笑む。

「そうだ、疲れてるみたいだし、私のお店に来ない?冷たいお茶でも出すわ。」

彼女に誘われるまま、真司はリリィの家へと向かう。小さなハーブ店を営む彼女の家には、植物や花々の香りが充満していた。

「どうぞ座っててね。今お茶を入れるから。」

リリィがキッチンで忙しく動く間、真司は椅子に座りながらも彼女の残り香に意識を奪われていた。

(汗の香りがほんのり混ざってる......でも不快じゃない。むしろ心地いい。これが異世界の女の子の香りなのか......)

やがてリリィが戻ってきて、真司の前にお茶を置いた。その時、彼女の袖が軽くめくれ、露わになった脇の下から一瞬の香りが漂う。

「!!!」

真司の頭の中で報が鳴り響く。


やばい、脇の匂いが.....こんなに誘惑的だなんて!嗅ぎたい、もっと嗅ぎたい!)

「どうかしたの?やっぱり具合が悪いの?」リリィが心配そうに近づいてくる。真司の顔のすぐそばに、彼女の体温を感じるほどの距離で彼女の脇が迫る。

「えっと、その......いや、大丈夫!」真司は慌てて顔を背けるが、香りの記憶は彼の脳内に焼き付いて離れない。

フェチ心、溢れる感情

リリィが再び席に座り、真司に向き合う。

「そういえば、あなた......どこから来たの?普通の人とは少し違うように見えるけど。」

「俺は......まあ、ちょっと遠いところから来たんだ。」

彼は話を逸らしつつも、彼女の仕草や香りに気を取られてしまう。目の前の少女が見せる無防備な姿に、真司のフェチ心は限界に近づいていた。

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