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入門

 「さあエルナ。まずはおつかいから始めようか」


 まず私がエルナに教えようと思うのはおつかいだ。パシリではない。おつかいだ。


 「ちなみにエルナはこの街のどこに何の店があるのかって大体把握してたりするのかな?」


 「はい、一応この街で生まれ育ちましたし大体はわかると思います」


 「それは素晴らしい」


 本当に素晴らしい。もし貧民街以外の店を知らない、なんてことがあればどうしようと思っていたところだ。


 「では早速おつかいに行ってほしいんだけど、そうだな……なんかビビッときた娯楽小説と適当においしそうなお菓子を買ってきてもらっていいかな?」


 「はい!…………え?あ、あの?」


 「ん?どうした?」


 エルナが何かを言いたそうにしている。言いたいことははっきり言ってほしいものだと思いつつ、エルナが言葉を続けやすいように続きを促す。


 「その、注文が曖昧過ぎて……その、わからないです」


 「ふむ」


 なるほど、確かに。つまり私の好みをある程度教えておく必要がある。ということだな?


 「違います」


 「え?何がだい?」


 「師匠が今考えていたことが、私の聞いていることと違う気がしました。あのですね、私は具体的なものを聞いているのであって師匠の好みから推測したりはできませんからね?」


 なん……だと……。確かにそういわれればそうだ。よく考えればであって数日の相手が満足するものをしっかり持ってくるのは至難の業だろう。


 それはそれとして師匠呼びはいいな。素晴らしかった。ぜひ今後も続けてほしい。


 「じゃあとりあえず今回は聖術を教えようかな」


 「え、聖術ですか!?教えて下さるんですか!?」


 「ああもちろん。さすがに聖女の弟子が聖術の一つも使えないのは困るからね」


 「ありがとうございます!…………え?せ、聖女?誰が?リリーさんがですか?」


 「ん?言ってなかったっけ?そうだよ」


 するとエルナの顔がだんだんと驚愕に染まる。


 「言ってないです聞いてないです知らないです!!!」


 うお、すごい勢いだな。そんな驚くことか……?驚くか。うん、驚くな。


 「まあまあ落ち着いて、それと私のことは師匠と呼んでくれると嬉しいかな」


 「わ、私……聖女様の弟子、ですか?」


 「そうだよ、改めてよろしく」


 「はぇ~」


 まずいエルナが固まった。これでは聖術が教えられない。……まあいいか。放っておけばそのうち元に戻るだろう。

 そう思い自分の部屋に戻ろうとする。


 「ま、待ってください!せ、師匠!大丈夫です!聖術を教えてください!」


 おお、立ち直りが早い。いいね。何やら先ほどよりもやる気に満ちている感じがするので結果オーライというやつだな。


 「じゃあとりあえず初級聖術から教えようかな」


 「はい!!」

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