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第十八回
雪解け
雪解けはあるのだろうか
この降りやまない悲しみに
春の訪れはあるのだろうか
この日の差さない人生に
幸せはあるのだろうか
このちっぽけな 手の平に
冬ごもり
熊は山の中に
蛙は土の中に
冬ごもり
春の日差しの夢を見ながら
芸術教育
芸術の素晴らしさを押しつけて来る先公が
僕たちの心をゆがませる
なんでわからないんだと
怒鳴りつけるのをやめてください
あなたこそ僕たちの心が
なんでわからないんだ
自問
人は人の鏡だという
それは本当だろうか
とすれば どちらが先だったのだろう
俺が不愉快な人間だから
あいつらも不愉快な人間になったのだろうか
あいつらが不愉快な人間だから
俺も不愉快な人間になったのだろうか
謎だ
謎だ
謎
謎
謎だ
鏡に向かって問うてみる
答えはない
ただ問いかけが
返って来るばかり