第十七回
球技大会の思い出
カゴの中にボールが入ろうが
枠の中にボールが蹴り込まれようが
あるいはソフトボールをバットの芯がとらえて
そのボールが高々とフェンスを越えようが
僕にはどうでもいい
その楽しさが理解できない
まったく理解できなかった
そんな僕を
スポーツの勝ち負けですぐムキになる君たちは
理解できない
理解できないどころか
運動音痴なお荷物だと言って迫害した
でもこれだけは言わせてほしい
君たちが僕に我慢していたように
僕も君たちに我慢していた
そこに存在することの苦痛
そこに存在することの罪深さ
そして僕は
スポーツが育んでくれた健全な精神とやらのたまものだが
シニカルな笑みを浮かべて
過ぎ去りし日々を振り返る
遠い思い出の小さなトゲは
今もこの胸に刺さったままで
再生
またもや職を失ったおかげで
俺は今日もオフだ
財布も軽いが
肩の荷も軽い
どこへなりとも行ける身の上だが
外は晴れでも家にこもって
ひたすら本を読みふける
胃に穴があくまでその場にとどまり
血ヘドを吐くまで戦うよりも
それよりもずっと大事なことが
きっと人生にはあるのだと
そこまで考えたわけではないが
ただその場で枯れるのを待っている
哀れなお花さんではないのだと
太陽に向かって中指を立てる
さあ振り出しに戻ったぞ
サナギになろうが蚕になろうが
背を向けた先で向かい合う何かを
愉快な何かを今は信じて
平和の敵
拳をぶんぶん振り回し
つばをびゅんびゅん飛ばしながら
怒りもあらわに平和の大切さを説く
先生 もうわかりました もうわかりましたからつかんでいる襟を放してください
先生は わかればよろしい と言って
ようやく僕を放しました
平和の敵は目の前にいる