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《BATTLE MAGIC ONLINE》

ファンタジー系のVRMMO《FAIRY LIFE CHRONICLE》内の自分の家で、私…羽坂(うさか) 宵花(よいか)は友人の稲雨(いなさめ) 永菜(えいな)と通信していた。


「《BATTLE MAGIC ONLINE》…?」


そんな中で、ふと話題に上がった聞き覚えのないゲームの名前を私は繰り返し言葉にした。


『そうそう、《BATTLE MAGIC ONLINE》、BMOとも呼ばれてるんだけど知らないかな?』

「うーん、知らないな。ここ最近はリアルの方が結構忙しかったから、その時に出たやつ?」


ここ一ヶ月ほどはリアルの方でMMOばりに凄いたらい回しにあっていて、ゲーム類に触れる機会が極端に少なかったんだ。


精神没入型VRゲームの黎明期を過ぎたばかりの今じゃ、こんな短いうちにでも新しいゲームが生まれていたって不思議じゃない。


『正式に発表されたのはそうだね!でも、結構前から噂は立ってたよ?ほら、大手ゲーム会社が結託して、なんか凄いゲームを作ってるってやつ!』

「えっ?それって、このゲームじゃなかったっけ?」


今私たちがプレイしているこのゲーム… 《FAIRY LIFE CHRONICLE》は、私の記憶が正しければ確か、そういうキャッチフレーズで販売を開始したゲームのはずだ。


だから、VRゲーム黎明期を抜け出すキッカケになったゲームとして有名だし、発売から半年が経っているのに未だ新規参入者がかなりの人数存在しているんだ。


『いやー、それがね。どうも、大衆(FAIRY)向け(LIFE)のやつ(CHRONICLE)と並行してPVP推奨のコアなやつも作ってたみたんなんだよねっ!』


なんだかいつにも増してテンションが高い永菜の様子を通話越しに感じて、ブラウザでBATTLE MAGIC ONLINEの検索を掛けてみることにした。


すると、すぐにそのゲームの公式サイトが検索にヒットした。


「ふーん、荒廃した未来の地球がゲームの舞台なんだ」


サイトを開いて真っ先に目に付いた一文を口にしつつ、サイトのページを読み進めていく。


(へぇー、PVP推奨で未来の地球が舞台ならガッチガチのガンゲーかと思ったけど、系統としてはファンタジーなのか)


物語の設定は、崩壊後の世界で文明リセットの代わりに手に入れた魔法という技術を使って、五つのテリトリーが自身のテリトリーの生存の為に争っているというもの。


そんな世界でプレイヤーは五つのテリトリーのいずれかに所属して、崩壊後に現れ始めた魔物を狩ったり、敵対テリトリーのプレイヤーと戦ったり、未開の地を探索したりするゲームのようだ。


『おっ、もしかして調べてくれてる?』

「うん、調べてる。少し気になったからね」


と、そこで私はサイトの中にとある一文を見つけた。


「オープンベータ配信開始まであと三十分…?」

『えっ!もうそんなに経ってる!』


ポツリと呟いた言葉に通信の向こう側がドタバタと急に慌ただしくなる。

私がちらりと時計を確認すれば、そこには12:30と現在時刻を正確に表示している時計の姿があった。






それから三十分後、私の姿は《BATTLE MAGIC ONLINE》のゲーム内にあった。


まあ、あれだ。面白そうなゲームを見つけるとやってみたくなるゲーマーのサガだ。

…といっても、まだキャラクター作成画面なんだけどね。


「うーん、まあいつも通りでいいか」


ぱっぱっとリアルの身体データを読み込み、160センチ後半近い身長を150センチ後半まで下げ、それに合わせて全身を細く整える。


あとはセミロングの黒髪をロングの灰色髪に、黒い瞳を真っ赤に染める。これで完成だ。


オープンベータ自体は既に始まっている、十分前からキャラクター設定は出来たみたいだからもう始めている人もいるだろう。

そう思うと、やっぱり凝ったやつじゃなくて手馴れた普段のアバターが一番手っ取り早い。


『よーし、ギリギリセーフ!やって来たぜ、BMOオープンベータっ!』


そんなことを思っていると安堵と興奮が混じった友人の声がそのままにしていた通信から聞こえてきた。


この様子だと、どうやらリアルの諸々を済ませて万全な状態でログイン出来たんだろうね。

臨戦状態万全、心置きなくゲームを満喫出来るっていう感じだ。


「よかったね、永菜。何とか間に合ったんだ」

『どわっ、宵花、まだ通信そのままにしてたのっ!』

「そりゃあ、どっかの茶髪のロリっ子が何にも言わずにドタバタし始めたからね」


通信の向こう側で行われていたであろうドタバタ劇を想像して、私はくすくすっと笑いを溢す。


普段の永菜の高い身体能力と抜群の運動神経からは想像もつかない鈍臭さは、あまりにも見た目に合っていて、普段とのギャップが激しくて、なぜかどうしても笑ってしまうんだ。


『…もしかして、全部聞いてた?』


恐る恐る聞いてくる永菜のその声に、私はとびっきりの笑顔を浮かべて答えた。


「もちろん」

『うわぁぁーー…』


叫び声の後、ツーツーツーと音が鳴る。

どうやら羞恥に耐えかねて通信を切断したようだ。多分だけど今は、オープンベータ用のサーバーがオフラインなのを良いことに、ごろごろ地面を転がっているんじゃないかな。


「さてと、私もそろそろ始めるとしますか」


なんて予想を立てつつ、私はキャラクター作成画面で止まっていた作業を再開した。




【フラットエリア―ベースタウン】


《これよりチュートリアルを開始します》


キャラクター作成を完了させるとステージが切り替わり、そんな言葉が聞こえて来た。

それと同時に『このままチュートリアルを受けますか?(なお、チュートリアルはいつでも受けることができます)「はい」「いいえ」』という表示が目の前に現れる。


躊躇うことなく「はい」を押し、私はこのままチュートリアルを受けることにした。


《クエスト〈チュートリアル〉を受注しました》

《まずはJOBを決めましょう。矢印の誘導に従って移動して下さい》


流れてくる女性の声を模した電子音声とともに目の前に青い矢印が表示され、視界右上のマップにも目的地にチェックが入った。


早速、職業斡旋場と名前が付けられているそこに歩いて向かっていく。



ほんの数分で到着したそこは、随分と廃れた二階建てで木造の建物が建っていた。

若干心配になるが、案内の矢印はこの建物の中に続いている。私は意を決して扉に手を掛けた。


建物の中は外見同様にボロボロになっていた。


そこには人影は一切なく、入ってみたら中身は殆ど伽藍堂、とても職業斡旋場には思えなかった。


「うわぁ…、これはすごいな」


一歩進む度に床に積もった埃が空を舞う。

完全に放置されている様子のそこに若干引きつつも、この建物から目標が更新された矢印に続いて建物の中を進んでいく。


そうして辿り着いたのが建物の地下一階、部屋の中央に青い光を放つ魔法陣が敷かれた一室だ。

もちろん、矢印はその魔法陣に続いていて、私は案内のままにその魔法陣の上に乗った。




《職業斡旋場にようこそっ!》


僅かなロードの後、ステージが切り替わってそんな声が響く。辺りを見渡せば、何にも存在しない真っ白なフィールドが視界に映った。


《早速、貴女のJOBを選んで下さい》


そして、もう一度声が辺りに響き、それと同時に目の前に6つのウィンドウが浮かび上がる。


ーーーーーーーーーーーー

マーシャル

武器を用いた接近戦を得意とするJOB、武術と魔法を組み合わせた特殊な魔法技能を習得しており、攻撃の射程こそ短いが卓越した攻撃力を持つ。

―武者の領域に敵はいない

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

チェイサー

銃型魔装を駆使して戦うオールラウンダーな JOB、スナイパー、アサルト、デュアルとモードを持っており、それぞれに得意な距離がある。

―魔銃が向けられた先に逃げ場はない

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ワンダー

高威力広範囲の攻撃を得意とする後衛JOB、オーソドックスな魔法使いで複数所持する魔導具の使い所が肝要になっている。

―向けられた杖の先には無草の地が広がる

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

メサイア

医術と薬学に精通したJOB。回復魔法の使い手で医術と薬学を攻撃に転用して戦うことも出来、その際は己を偽る仮面を付ける。

―心優しき医師は偽りの仮面を被る

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

コネクト

言葉を介さない意思疎通を可能にする魔法を修めたJOB。意思疎通を行い、心を通わせた相手の力をあらゆる形で借りることが出来る。

―深く心を紡いで友の力を借りる

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

クリエイター

即興錬成によって様々な道具を生み出して戦うJOB。入念な事前準備がものを言い、持てる素材を使って次々と生み出される道具によって敵を翻弄する。

―作り手の戦いは事前準備がものを言う

ーーーーーーーーーーーー


「えっと、私だとマーシャル以外は無理かな」


私の射撃センスはあんまり良くないからチェイサーとワンダーの遠距離職二つはパス、あんまり頭を使うのは苦手だからメサイアとクリエイターもパス。

コネクトは…、まあ、うん。私ってなぜか、ゲームだと生き物に嫌われるからちょっと無理かな。


と言うわけで、私はほとんどなにも考えることなくJOBをマーシャルに決めた。


《では早速、JOBを試してみましょう》


確認メニューでもOKを選んでマーシャルを選択すると、再度声が聞こえて目の前に目標だと思われる特徴のない黒い人形が現れる。

そして、すぐに視界の上部に『バッグから武器を選択、装備して目標を攻撃してみましょう』というメッセージが表示された。


「バッグ…?あっ、これか」


今度は視界右下、そこに向かって伸びる矢印を追えば小型のポーチが腰に巻かれていた。

手を伸ばしてポーチに触れれば、ポーチの中身だと思われるウインドウが小さな音を上げて目の前に現れた。


バッグの容量は3×5の30枠、つまりアイテムが30スタック収納出来て、そこから職業のランクを上げていくことで五枠ずつ増えていくようだ。

それで、今収納されているのは以下の通り。


ーーーーーーーーーーーー

謎材質の剣 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

謎材質の刀 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

謎材質の槍 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

謎材質の斧 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

謎材質の槌 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

謎材質の手甲 ATK+1 ∞/∞

カテゴリー:マーシャル

ーーーーーーーーーーーー

メインジョブ6種

ーーーーーーーーーーーー

マーシャル

接近戦を得意とするJOB、武術と魔法を組み合わせた特殊な魔法技能を習得しており、攻撃の射程こそ短いが卓越した攻撃力を持つ。


攻撃力  ★★★★★

防御力  ★★★★☆

機動力  ★★★☆☆

攻撃速度 ★★★★☆

射程距離 ★☆☆☆☆

攻撃範囲 ★★★★☆

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

チェイサー

銃型魔装を駆使して戦うオールラウンダーな JOB、スナイパー、アサルト、デュアルとモードを持っており、それぞれ適性が異なる。


スナイパーモード

攻撃力  ★★★★★

防御力  ★☆☆☆☆

機動力  ★☆☆☆☆

攻撃速度 ★☆☆☆☆

射程距離 ★★★★★

攻撃範囲 ★☆☆☆☆


アサルトモード

攻撃力  ★★☆☆☆

防御力  ★★★☆☆

機動力  ★★★★☆

攻撃速度 ★★★★★

射程距離 ★★★☆☆

攻撃範囲 ★★☆☆☆


デュアル

攻撃力  ★★★☆☆

防御力  ★★★☆☆

機動力  ★★★★★

攻撃速度 ★★★★☆

射程距離 ★★☆☆☆

攻撃範囲 ★★☆☆☆

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ワンダー

高威力広範囲の攻撃を得意とする後衛JOB、オーソドックスな魔法使いで複数所持する魔導具の使い所が肝要になっている。


攻撃力  ★★★★★

防御力  ★★☆☆☆

機動力  ★☆☆☆☆

攻撃速度 ★☆☆☆☆

射程距離 ★★★★☆

攻撃範囲 ★★★★★

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

メサイア

医術と薬学に精通した回復魔法の使い手。また、医術と薬学を攻撃に転用する裏の顔を持つ。


表面モード

攻撃力  ★☆☆☆☆

防御力  ★★☆☆☆

機動力  ★★☆☆☆

攻撃速度 ★★☆☆☆

射程距離 ★☆☆☆☆

攻撃範囲 ★☆☆☆☆


裏面モード

攻撃力  ★★★★★

防御力  ★☆☆☆☆

機動力  ★★★★★

攻撃速度 ★☆☆☆☆

射程距離 ★☆☆☆☆

攻撃範囲 ★☆☆☆☆

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

クリエイター

即興錬成によって様々な道具を生み出して戦うJOB。入念な事前準備がものを言い、持てる素材を使って次々と生み出される道具によって敵を翻弄する。


攻撃力  ★☆☆☆☆

防御力  ★★☆☆☆

機動力  ★★☆☆☆

攻撃範囲 ★☆☆☆☆

射程距離 ★☆☆☆☆

攻撃範囲 ★☆☆☆☆

ーーーーーーーーーーーー


『練閃』 クールタイム30秒

一拍の溜め動作の後、一歩で攻撃対象に接近して目にも止まらぬ斬撃を放つ。

命中するとその部位に『斬印』が刻まれ、一度だけその部位に受けるダメージが大きく増加する。


『流転』 クールタイム100秒

攻撃を受け流した後、一瞬で相手の後ろに回り込み、受けた攻撃のダメージを半分上乗せした斬撃を放つ。


力尽きた

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