表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3, 花火の帰り道



そのあとすぐに結衣と慎太郎が来て、屋台をまわったり花火をみて、21時ごろに帰ることにした。


結衣と慎太郎は違う方向だったから、帰り道は山本さんと2人きりだった。


僕の心臓は慎太郎たちと別れる前から鳴りっぱなしで、2人で並んで歩き出した頃には、花火のように破裂してしまうんじゃないかと思うほどだった。



僕が緊張して頭真っ白になっていると、山本さんから話題を振ってくれた。


「瑞生くんって兄弟とかいるの?」


「僕はいないよ、一人っ子。だから家の手伝いとか全部僕がやらされるんだ」


「山本さんは?」


「私は兄がいるよ、今は別々に暮らしてるんだけどね」


詳しく聞いてもいいのかどうかわからずに、僕は


「そーなんだ」


とだけ言って話題を変えようとした。だか先に口を開いたのは山本さんだった。


「聞かないの?兄のこと」


「いや、、、聞いてもいいの?」


「だめ。秘密事項なの!誰にも話せない」


僕をからかうようにそう言ってから、またあの時と同じように下を向いて切なそうな顔をした。

顔を上げた彼女と目が合い、少しの間沈黙が続いて、そういう雰囲気になった僕らはキスをした。彼女は再び下を向いて切なそうな顔する。


深い意味はない。完全に流されてしまった。

好きな女の子にあんな風に見つめられたら、普通我慢できない。

正直頭の中は真っ白で、何を言えばいいのかわからなかった。



そのまま沈黙が続いて、気がつくともう駅についていた。電車の中は花火の帰りの人でいっぱいで、とても話せる状況ではなかった。


僕が少女漫画のヒーローだったら壁ドンでもして、人混みからかばうこともできただろうが、それどころではないし、何より僕にそんな度胸はない。その日は山本さんを家まで送ることなく、駅からそれぞれの家に帰った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ