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再び出会い



「10年前に人を殺した。」

僕が恋した彼女はそういい、僕の前から

去っていった。







まただ、今日もいつもと同じように僕は夢で小さな女の子に出会った。その子は僕に笑いかけて何か言っている。必死に耳を澄ましてみるが、その声は僕のもとに届かない。


いつもここで目が覚める。朝ごはんを食べてるくらいまでは先が気になるものの、学校に行けば忘れてしまう。

そんな夢が僕のこれからの人生を大きく変えることになるなんて、そんなこと思ってもみなかった。



1 再び出会い


16歳の春休み、特にやることもなく暇だったので同じクラスの片瀬結衣の紹介で、カフェのバイトをしていた。東京の中心部にあり、オシャレな雰囲気で中高生に人気らしく毎日昼ごろになると、とても賑わっていた。


ほとんどの人達が友達と来ているなか春休み最終日、同い年くらいの女の子が1人でお店に来た。僕はなんとなくその子の雰囲気に惹かれて、無意識にじっと見つめていたらしい。後ろから結衣に話しかけられた。


「へー、あーゆう子がタイプなんだ。もしかして一目惚れ?」


「は!?別にだだ見てただけだろ」


「顔にあの子かわいいなって書いてあったよー」


結衣はイタズラそうに笑いながらオーダーを取りに行った。

僕は家に帰ってからも彼女のことが忘れられなかった。もしかすると結衣が言ってたように、本当に一目惚れだったのかもしれない。


でも、もし彼女に恋をしてしまったとしたら、この恋は叶わないだろう。もう一度会える保証なんて、どこにもないのだから。




高校二年生初日。

全校生徒が100人にも満たない僕が通っている学校にはクラス替えというものが存在しない。そのため今年も一年の時と同じメンバーだった。



初日の朝から騒がしい奴がいると思ったらやっぱり横田慎太郎だ。

あいつは僕の幼馴染で、何かしらおもしろい噂を聞きつけると、学校中を回ってばらまくことがもはや日課となっている。噂といっても、誰と誰が付き合ってるとか、先生が奥さんと喧嘩したとか本当にしょうもないことばかりだった。


そういうところは時々どうかと思うが、僕は慎太郎のことが好きだ。いや、こういう言い方をすると勘違いする人がいるかもしれないが、普通に友達として好きってこと。なぜかというと、友達思いのただのいい奴だから。


学校を一周してから教室に入ってきた慎太郎に、今日はどんな噂なのか聞いてみた。


「転校生だよ!しかも女子!!これは期待が高まるなー」


「そんなに期待して可愛くなかったら悲しいだろ」


「ほんとお前冷めてるよなー、だからモテないんだよ」


慎太郎はこういうが、僕は昔からそれなりにモテる。今年のバレンタインにはチョコを5つもらった。一応言っておくが、母親からのは入ってない。



朝のホームルームの時に担任の先生が転校生を連れて来た。僕は彼女のことを見た瞬間、声にならない声をあげ、思わず席を立ち上がった。


「き☆?#@ぇ♪」


「どうかしたか?」


と先生に聞かれたがどう答えていいのかもわからず、黙って席に座りなおした。


彼女だった。


春休み最終日にバイト先のカフェにきた子だ。


もちろん彼女が僕のことを覚えているわけもなく困ったような顔でこちらを見てから軽くお辞儀をして、目をそらされた。


「山本秋です。よろしくお願いします。」


彼女の自己紹介はそれだけだった。




ホームルームが終わってから、結衣が話しかけてきた。


「あの子ってさ、あんたが一目惚れしたお客さんだよね?」


本当に結衣は、勉強は全くできないくせに余計なことばかり覚えている。


「良かったねー」


いたずらそうに笑って、結衣は山本さんに話しかけに行ってしまった。


普通の映画やアニメなら、山本さんが転校してきた時点で、すぐに何かしらのハプニングが起きて仲良くなれるんだろう。だが僕が暮らしている現実世界ではそううまく事は進まず、そこから特に何もなかった。結衣と仲がいいから時々バイト先に来るくらいで、少し話すくらいの友達止まりだ。


大きな変化があったのは4ヶ月ほど後の夏休みだった。



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