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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第4話 Fランクの怪物㉘

 「――――やめろ、秋桜」


 「…………っ」

 俺が名を呼ぶと、花子は驚愕に目を見開き、攻撃をやめる。結とセリカは視界から消えていった。

 「な、まえ……」

 花子は泣きそうな顔で俺を見つめる。

 「ずっと思い出そうとしていた。お前の名前を。やっと……思い出したよ。お前の名前は、コスモス。秋の桜だ。どういう字を書くんだろうって、国語辞典で調べたのをついさっき思い出した」

 「よそ見していいのか?」

 頭上から透の黒き剣が俺の脳天にぶちかまされる。俺は即座に回避。剣を召喚し、第二の異能を使うべき意識を集中させる。

 ――――イメージしろ。

 殺すんだ。透を。この怪物を、殺す。イメージしろ!

 《絶対不死》という異能を、漆黒のジェネシスを、打ち破れ!

 「死を受け入れてまで僕を殺そうとするか。自分の命に価値を感じないのか?」

 「惚れた女と大事な家族を守れねえような命なら、そんなもんドブにでも捨てちまった方がマシだ」

 「……狂っているな、君は」

 理解出来ないようなものを見るような目で、俺を見る透。

 お前ほど狂ってねえよ……。と言いたい。

 「なあ、透。お前、善は悪に勝てないと言ったな」

 「確かに言ったが?」

 「善は悪に勝てない。だが、善は悪よりも強い!」

 《処刑斬首》――ショケイザンシュ――

 俺の剣が、6メートルまで刃が伸びる。俺は、ありったけの殺意を込めて、透の脳天へとぶちかます。

 「ふっ、いくらSSSになったからといって、僕の《絶対不死》は破れな――――」

 切り裂いた。透を、頭から局部にかけて真っ二つだ。

 血が、あふれ出す。

 「かはっ」

 俺の口から。

 気付かなかった。背後に花子がいたことに。花子が俺の心臓に、剣を突き刺していた。

 「……秋桜、お前、それでいいのかよ」

 ゆっくりと振り返りながら、俺は言う。

 「……あなたは私を救ってくれた。でも……透も、私を救ってくれた」

 「……そう、か。じゃあ、しょうがないな」

 苦笑しながら、俺はゆっくりとぶっ倒れる。

 血のプールに。死ぬには、あんまりいい場所じゃないな……。生首が沢山、転がっていやがる。

 ――――だが。

 俺はほくそ笑む。《処刑斬首》の能力効果。それは花子が見せたとおりだ。そう、この異能は…………切り裂いた相手のジェネシスを…………完全に消去する。《守護聖女》と異なり、一時的では無く永続的に消滅させる。俺がジェネシスを復活出来たのは、セリカの《聖女抱擁》を受けたからだ。だが、こいつらに《聖女抱擁》の使い手はいまい……。

 結局、殺す者は守る者には勝てない。セリカの異能があればこそ……結の異能があればこそ……透を殺すことが出来たのだ……。

 「透、まさか……アンタ」

 花子は透の死体を揺さぶっている。無駄だ。もう二度と、透が起き上がることはない。それを一番よく知っているのは、俺と同じ《処刑斬首》の使い手である花子だろう。

 「……透! 透!」

 いぶかしむ声が、どこか遠くから聞こえる。

 声が、どんどん遠くなる。

 ああ、死ぬのか……。

 ぼんやりとした、気怠い感触。

 だが、不思議と悔いは無い。

 満ち足りたモノを感じる。

 最期に二人を守れて、良かっ――――

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